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第193話 楽しそうなグループと静かなグループ

 俺が魔物を倒し終え、帰ってくると騒動は既に収まっていた。

 他のみんなは既に食べ終えており、弁当箱を片付け始めている。そんな中、俺はまだ食べ終えていないので掻き込もうとするとスイが俺の耳元で聞いてきた。


「大丈夫だった?」


 魔物の件だろう。俺はもちろん大丈夫だ。デスワイバーンを見た後だとそこら辺の魔物はたいして怖くは無い。

 デスワイバーンの方が圧倒的に強かった。だからあれに着いていけていたスキルを使えば大抵の魔物は大丈夫だろう。

 まぁ、今回はスキルも要らなかったんだが。

 少しブーストの力に任せて殴ったら直ぐに倒すことが出来た。


「まぁ、大丈夫だな。傷一つ負わなかったぞ」

「そう……、なら良かった」


 最近のスイがなんか優しくなったような気がする。こうやってよく心配してくれるようになったし。


「よし、急いで食うか」


 俺は元々早食いな方もあり、結構な速度で食べ終えた。まぁ、早食いは体に悪いからあんまりやらない方がいいんだけどな。

 食べ終わった俺達は更に歩き出す。

 道中、魔物が定期的に出てくるのでそれをローテーションで倒しながら歩いていく。


 サキとユキはいつの間にか仲良くなっていた様子で、二人仲良く話しながら歩いているが、俺とスイは置いていかれた感があって寂しかった。


「なんだか、子供が自分から離れていく親の気持ちがわかった気がする」

「ヒロト、やっぱりあなた疲れているのよ」


 そこには同意してくれないらしい。しかも本気でおかしくなったと思われたのか優しく頭を撫でられる。

 年下の女の子に頭を撫でられるって、犯罪臭がものすごいな。しかもスイは可愛いからとても困る。


「そんなに寂しいなら私とあなたで仲良くしようか?」

「え?」


 まさかスイの口からそんな言葉が出てくるとは思っても居なかったので少し驚いて素っ頓狂な声を出してしまった。

 俺と仲良くするとか言ったのか? あの俺の事を『サキを汚す悪役』的に考えていた、あのスイが俺に!?

 怖い。いったい何を考えているかが分からない。


「大丈夫か? 体調でも悪いのか!?」

「失礼ね! 私だってあんたを見直すことだってあるんだから」


 どうやら見直してくださったらしい。

 まぁ、俺もその方がやりやすい。一緒に冒険していくのにギスギスしていたら嫌だからな。ギスギスした雰囲気は俺が嫌いなものの一つでもある。


「んじゃ、何話そうか」

「突然ねぇ……そんなに急に振られてもないわよ」

「だよなぁ……あそこの二人は何でそんなに盛り上がってるんだ?」


 やっぱり女子ってすごいなと思う。

 男同志だったら話題なんてすぐ尽きてしまうだろう。例え仲が良くても少し話して終わりってパターンが結構多い気がする。日本に居た頃は何かで遊んでいないと話が続かないってことが多かった記憶だ。まぁ、俺に友達なんて居なかったけどな。

 それに比べて女子は話だけで一時間以上も話せることもある。男なんて話だけでつなごうとしたら15分も持たなかった。

 この結果は傍観者としてクラスの人々を見ているうちにわかったことだ。


 女子と男子のペアでもそうだ。男子が混ざるだけで会話が続きにくくなる。しかも、その女子が可愛ければ可愛いほど男子はドギマギして女子が頑張って繋げようとしても微妙な雰囲気になって続かないのだ。


※これは彼個人の意見です。


「それじゃあ、どっちが早くあの山に行けるか勝負する?」

「俺は勝負事はあんまり好きじゃない。めんどくさいからな」

「今まで散々面倒くさいことを巻き起こしてきた人が今更何をおっしゃいますか~。今現在だって面倒くさい事の真っ最中じゃないですか~」


 それを言われてしまえば痛いのだが、でもここで勝負なんてしたくない。

 冒険に出ても問題の無い時期とは言え、雪はまだところどころ残っており、道が凸凹していて進み辛い。こんな所で体力を消耗している場合じゃない。


「じゃあ、あの家を探索してみましょう?」


 流石にずっと平坦な道をただ歩いているだけで飽きてしまったのか、明らかに廃墟と化している家を探索しようと言い出してきた。

 確かにあそこなら確実に人はいないだろうし、休憩するにはいいかもしれない。だけど、あそこは結構出そうな雰囲気がある。

 まぁ、ルーダンで散々見たから今更どうという事は無いのだが、問題はユキだ。

 ユキは今日仲間になったばかりだ。ルーダンに行った時には居なかった。だから大丈夫かと心配になったのだ。

 まぁ、聞いてみてからだな。


「おーい、二人とも!」


 俺とスイが話している間に結構なスピードで歩いて先に行ってしまっていたサキとユキを呼び戻す。


「ど、どうしたの? 先に行かないと日が暮れるよ」

「いや、なんでそんなに急いでるんだ? ってか止まれーっ!」

「ヒロト、私は止まったら死んでしまう病にかかってしまったの」

「お前はマグロか!」


 そんなこんなで色々なことを言いながら先を急ごうとしている二人にブーストで一瞬にして追いついて事情聴取をする。


「で、なんで逃げた」

「や、やだな~。お兄ちゃんとスイちゃんから逃げる訳ないじゃん。ね、ユキちゃん」

「そ、そうだよ。疑心暗鬼も過ぎると嫌われるよ」


 しかし俺は知っている。サキは嘘を着く時は絶対に俺の目を見ない。いつもは目を見て話すサキが目を合わせなくなったら嘘をついている証拠だ。

 それがまさに今。

 そしてユキの事についても修行中にわかったことがある。それは、嘘を着く場合は尻尾が、暴れ回る。物凄い暴れ回る。

 そして今、その尻尾がサキとユキの後ろで逃げられないように立っているスイの顔に往復ビンタをしている。

 普段の尻尾はそんなに長くないくせに、こういう時にのみ伸びる尻尾なのだ。


「で、本音は?」

「えっと、二人の会話で『あの家探索しよう』って聞こえて、私達も見て見たら何か出そうな雰囲気だったから、捕まる前に逃げようって……サキが」

「ユキちゃん!?」


 あ、速攻で友達を売った。


「酷いよユキちゃん!? ユキちゃんだって賛同してくれたでしょ?」

「ちょっと何言ってるか分からないよ?」

「酷い!?」


 そうが。ユキは自分が助かるためなら他人を利用できるタイプか。将来ビックになりそうだな。

 でも俺は怒っているわけじゃないんだけどな。


「ヒロト、あなたは真顔になっているんだから、そんな表情で見つめられたら怖いわよ」


 なるほど、この俺の表情を見て二人は怖がっていたのか。


「とりあえず、あそこの家で休憩にしようか」

「「いやだーー!!」」


 とりあえず素直に言わないで逃げたから、その罰として探索に同行してもらおう。

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