最初に狙うべき相手
その内に秘めたる力にエイジは恐怖した。
戦闘が始まり、俺を含めた全員が最初に広間にいた男に遠距離攻撃を仕掛ける。
炎が、雷が、氷が、爆弾が、飛ぶ斬撃が、・・・様々な攻撃が彼を襲う。
そうして起こった土煙の中から何かが飛び出し―――
「っ!?―――かはぁ!」
3人組の剣士の一人が地面に埋まり、となりにいた二人が足蹴りで吹き飛び意識を奪われ光の粒となって消滅した。
「異能起動、〈支配〉。付与〈耐久性上昇〉」
一気に3人を沈めた影は近くに落ちていた剣を取ると、右手から紫の靄を出し、剣に吸収させる。すると剣は漆黒に染まり脈動するように赤細い線が走る。
「〈狂剣〉アロンダイト」
彼はその剣を地面に刺し、周囲を見まわして呟く。
「この人数は、面倒だね・・・。支配派生〈契約〉:暗黒剣士」
ふたたび音の右手から紫色の靄が現れ、周囲の魔力を支配し一つの魔方陣を形成する。
その魔方陣より現れたのは、巨大な両手剣を背負った漆黒のフルプレートの騎士。
「その剣を使用して、暴れまわれ」
男の言葉に従うように漆黒の騎士は目の前のアロンダイトを手にする。
すると、剣の赤細い線が騎士をむしばみ、騎士は吠える。
レンジを含めた全員がその異様な光景に、言葉をなくしていた。
「aaaAAAAAaaaaaa・・・・!」
そして騎士はまず真っ先に男を襲った。
「そうだよね・・・。でもーーー」
男は襲ってきた騎士の胴体を横蹴りして吹き飛ばす。
「―――まずは剣聖ちゃんのレベル。確かめさせてもらうよ」
その先にいたのは、剣聖と呼ばれた少女だった。
漆黒の騎士は空中で態勢を整えるとそのまま剣聖に斬りかかる。
「っ!?」
とっさのことに反応の遅れた剣聖は剣で弾くも上空に吹き飛ばされてしまう。
そこに黒騎士は手にしていた剣の一本を彼女に投げつける。
攻める天井と剣。天井にぶつかると同時に突き刺さるタイミングで放たれた剣。
ここでリタイアと思われた彼女に痛みはなかった。
「おいおい、女性を狙うのはあんまり褒められたことではないよ?」
そこには天地がひっくり帰った男がいた。
天井に足をつき、片手を伸ばし淡い緑の光の壁に剣が刺さり、もう片方の手で剣聖を抱えた彼がそこに立っていた。
レンジは男が黒騎士を蹴った瞬間防御スキルと重力魔法を展開していた。
天井へと跳躍し、重力を形成。彼女にかかる重力を軽減しながら片手で受け止め、防御スキル〈堅牢なる盾〉を使用して剣を受け止めた。
しかし、スキルによる特殊な障壁を投擲の剣で少しばかり貫かれるというのはレンジ取っては予想外であり、改めてこの場にいる人物たちのレベルの高さを思い知らされてしまった。
「大丈夫ですか、お嬢さん?」
「え、ええ。そのお、お嬢さんと呼ぶのは・・・」
「おっと、失礼しました。それでは剣聖様と」
「いや、そのミクスと・・・」
「え?」
「あ、いや。ミクスレイ・ルン・フォートレイと言います。ミクスと呼んでもらえると嬉しいです・・・///」
「なるほど、了解しました。ミクスさん」
レンジがそういって笑いかけると剣聖は顔を真っ赤にする。
その様子に、観客席で見ていた3人の心の中でレンジへの制裁が決まった。




