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提案

 



 ミクスを助けたレンジはどこか寒気を感じたものの、目の前の脅威がそれを考える暇も与えなかった。


「aaaaAA!」


 黒騎士はレンジまで一直線に迫る。


「おっと、危ないな・・・」


 レンジは盾に刺さっていた剣に触ろうとして、手が止まる。

 正確には手が動かなくなったというのが正しい。

『接触しようとした剣に精神汚染能力を観測しました。注意を』

 機械的音声と共に県から吹き出しのようなものがサングラスに写る。


「なるほど、ではカウンターブラスト」


 レンジは盾をひっくり返すと盾の崩壊エネルギーを移動エネルギーに変えて黒騎士に放つ。

 亜音速にまで達する速度で放たれた剣は黒騎士の首を吹き飛ばす。

 すると、黒騎士は光の粒となって消えてゆくのだった。


「あらら、やるねえ…さすが、―――だね」

「今、なんと?」


 黒騎士が消されて男は少し驚いたような嬉しそうな顔をする。

 レンジは地面におりながらその男を見つめる。

 SPスキル展開時のスーツの付属品であるこのサングラスはスキル・ジョブ補助道具であり、多くの情報を可視化できる。

 今もこの場に集まった人たちを観察し、察知の能力にSPジョブを掛け合わせた考察を用いて大まかな戦闘能力を算出したが、あの男だけは戦闘能力の解析が終わらないのだ。

 神であろうと解析して見せたこの力。

 それが効かないあの男はレンジにとって真っ先に情報を集めるか静かにさせる存在であった。

 しかし、ほかの人物はあの男を知っているうえで攻撃したようでもあった。


「ミクスさん、あの人。何者ですか?」


 レンジが指さした男を見てミクスは苦い顔をした。


「彼の名前を私たちは知りません。ただ、彼は自分のことを〈不老者〉と呼びます・・・」

「不老・・・だから、この大会に?」


 不老、つまり年齢は無限である。そんな種族であれば確かあんな大人がこの選別戦に参加できるわけもない。


「いいえ、・・・彼は選別者です。この大会最後の篩です」

「っと、とりあえずおろしますね」

「お前さん、新人の癖にやるじゃないか


 地面についたレンジはミクスに彼がどんな存在なのかを聞こうとする。

 しかしその前に、こげ茶色の肌のドワーフ女性が話しかけてくる。

 俺は少し身構えるがその前に彼女が「待て待て」と慌て、提案をしてくる。


「三銃士、刀剣兄妹が別の狂戦士にやられた」


 気づけば、あの刀を持った兄妹の姿がなく、黒騎士に用に蒼細くそして脈動する戦斧を持った蛮族のような戦士がいた。その戦士の足元には2本の刀が光となって消えてゆくところでありだれのものであるかを物語っていた。

 その狂戦士は次にあの男を狙っており男はこちらの様子をうかがっているようだった。

 男のその余裕に違和感を抱き、警戒をしながらもレンジは彼女の言葉を聞く。


「私と影王はあの試練に対して共闘を決めた。ミクスとあんた名前は?ってこっちが先に乗ったほうがいいか。私はイグニ・アーベント。イグニと呼んでくれ」


「これは失礼。僕はレンジ。家名はないよ。・・・乗るのはいいのだけど、あの男が試練?どういうことでしょうか?」


「そのままですよ。あれはこの選別会に現れる謎の人物。そして、あの聖女様ですら引き分けるのが精いっぱいであった相手であり、これはライファ―に対しての神の試練なのですよ」


 その言葉にレンジは驚きを隠せず、ミクスは拳強く握りしめるのであった。






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