第797話 今後の相談3(パラスの出自。)
「で、パラス、先ほど『パラスは女神じゃない』と言っていたのはどういうことなのですか?」
ジーナが聞いて来る。
「私は物語の中で成人する前に亡くなってしまうのです。
父は海神ですので順調に成長すれば私は海の女神だったでしょう。
ですが、途中で退場する為、能力が低いのです。
一応、若き女神と一緒に修練はしているので、そこそこ出来ます。
それと今回実体化するに当たって亡くなる原因になったアイギスの盾と父親譲りの三叉の矛と笛を持ってきました。
なので少しですが精霊として対応出来ます。」
「確か、数個の全方向の攻撃をある程度は完全に防げて、水流を操れるのでしたか。」
ジーナが考えながら言う。
「前者がアイギスの盾の効果、後者が笛の効果になります。」
「・・・パラス、アイギスの盾とは何でしょうか?」
武雄が聞いて来る。
「タケオに言うならイージスの盾です。」
「・・・イージス・・・という事は・・・もしかしてイージスシステムが使えるのですか?」
「あぁ、確かにタケオだとそっちの認識の方が浸透していますか。
私達は概念で作り出された者ですので、命名され広く知られているのならそれは出来ます。
イージスシステムも武雄達に認識されているので私だと簡易的な物は出来ます。
ですけど、出来る事と言えば飛翔物の補正ぐらいですね。
この世界には魔法や弓がありますが・・・相手と近いので使う機会がないと思いますが。」
「「・・・」」
精霊達以外が武雄を見る。
「・・・1000m先の狙撃補正は出来ますか?」
「1~2mの補正でしょうか。
やってみないとわかりません。」
パラスが言ってくる。
「・・・タケオ、1000mの狙撃・・・何か作ったの?」
コノハが聞いてくる。
「・・・では、その辺の話をしますか。」
武雄は新たな仲間に武器や政策の話をするのだった。
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「つまりタケオの主装備は遠距離は対物ライフル、中距離は拳銃、接近戦は小太刀なのね。」
コノハが頷く。
「ええ。ですが、対物ライフルは魔力を最低150使います。
魔法師達から見たら無駄な消費らしいです。」
「この世界の者はそんな距離では戦わないでしょう。
タケオ、この世界に銃は不要だと思いますか?」
マリが聞いて来る。
「先ほども言いましたが、現状では小銃や拳銃を普及させる気はありません。
あくまで私か私に近い人達用の武器と考えています。
そして小銃改シリーズは意図して魔力量が多くかかっています。
仕様を高く設定していますからおいそれと使おうとは思わない内容になっています。」
「そうね。タケオが剣と魔法が好きなのはわかるけど・・・
タケオ、その第一研究所の魔法量の低減アイテム、良い案ね。
小銃に頼らないで魔法師が成長しそうだわ。」
「ええ・・・パナ、他の精霊達が銃を作り出すと思いますか?」
武雄が隣に大人しく座っているパナに聞く。
「私達は知識面では直接この世界への干渉はしません。
知識に関しては、あくまで契約者の助言者としての立ち位置が求められています。
契約者にすべてを教えはしませんが、困っているなら助言をし、行動をさせます。
もちろん、契約者が精霊に対して『銃はどう作るか』とか聞いて来たら教えるかもしれませんが・・・
基本は契約者もしくは他者に考えさせる事を行い、何かを直接作る事はしないと思います。
あとは契約者を守る為に行動したり、精霊同士で戦闘したり、契約者が望むなら不幸を撒くために戦闘には参加するかもしれません。」
パナが言ってくる。
「戦闘には参加するのですか・・・厄介ですね。
まぁそれは後々考えるとして・・・『今現在、小銃を保管している所はわかるか』と言ったら?」
「・・・精霊の質にも寄るでしょうね。
ですが、どんなに特化をしていてもどの国、どの街にあるというのはわかるでしょうが、正確な位置というのはわからないはずです。」
パナが言ってくる。
「そうね、どんな物を作るにしても他者に作らせる事になるわね。
だからアリスとの契約の際も助言すると言ったでしょう?
小銃も剣もそう。製造方法は伝えるかもしれない。でも口頭でしか言わないからそれを創造できるかというと誰でも出来るとは限らないというところね。
それに作り出せる技術があるかというと・・・物足らないかもしれないわね。」
「なるほど。
ですが、パナが研究をしたいというのはどうなのですか?」
「題材はタケオが用意して、どんな内容の研究をさせ、どんな報告書を作るのかを指示しないといけませんね。
パナが独自に何かを作るというのはしないわね・・・しちゃダメよ?」
コノハがパナに言う。
「わかっています。
研究題材の指示をくれればその通りに実験データをまとめて報告します。
まぁ、ちょっとした言い回しで私が言いたいことを掴み取ってくれると信じています。」
「パナ、私が言うのもなんだけど・・・実験のデータ取りって楽しいの?
あれって単調なのでしょう?」
「ふふふ、これが面白いと思う人もいるのです。
わかる人にしかわからない感覚なんですよ。単調なのが面白いのです。」
「わからないわ・・・西洋の神々は変人揃いだし・・・」
コノハがヤレヤレと言いながらため息をつく。
「・・・タケオ、その小銃改をジーナに使わせるのですか?」
マリがコノハの言葉に何か言いたそうだが我慢してタケオに聞いて来る。
「・・・1回撃つのに魔力を150使いますから・・・
ジーナは魔力量が1万を超えているとなっていますが、それでも安全を考えれば10発くらいしか撃たせられないですかね。」
武雄が考えながら言う。
「拳銃はどうなの?」
コノハが聞いてくる。
「準備段階で500程度かかって装備しているだけで魔力100を消費し続け、1発撃つごとに75消費でしたか・・・」
「呪い系かしら?」
コノハが苦笑する。
「・・・まぁかなり魔力を無駄遣いしますね。
拳銃と小銃改3は私専用武器になります。」
武雄も苦笑する。
「ならタケオ、ジーナには小銃改1はさせる気ですか?」
パラスが聞いてくる。
「結果的にはパラスの誘導がどうなるかによるでしょうね。
ジーナとヴィクターは魔法を発動出来ませんので、予備的な遠距離道具でしかないですね。
戦闘では小太刀と警棒での接近戦が本命でしょう。
マリ、すみませんが部下達を鍛えてください。」
「はっ!タケオの期待に沿えるよう、ヴィクター、ジーナ、パラスを仕上げてみせましょう!」
「「「よろしくおねがいします。」」」
マリにヴィクターとジーナとパラスが頭を下げるのだった。
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