第798話 85日目 今後の相談4(パラスの能力とパナの研究課題。)
「それと・・・イージスシステムは防空管制、つまり敵を捕捉し、追尾するという事を主眼に置かれた物ですけど・・・
たしか統合管制が出来るのでしたよね?」
武雄がパラスに言ってくる。
「はい。某国の戦術に特化しているシステムですから。
情報を皆で共有し、判断を行うなら全ての艦船に情報が瞬時に反映されるシステムになります。
・・・必要な物がなさ過ぎて、この世界ではたぶん出来ません。」
「・・・パラス、これは使えますか?」
と武雄は言いながら1組のサファイアのペンダントを大袋から取り出す。
それは前にテトが鑑定したネックレスでチビッ子精霊達が見つめる。
「5個のサファイアネックレス・・・儀式宝飾ですか。
・・・これはたぶん中央にある円形の部分を持っている者の意思を他の4個に伝達する事を可能にした儀式宝飾かな?」
コノハが言ってくる。
「この世界にはないはずですけど・・・ある所にはある物なのですね。」
パナが眺めながら言ってくる。
「これは・・・戦闘に使えるのでしょうか?」
マリが聞いて来る。
「タケオ、これをどうしたいのですか?」
パラスが聞いて来る。
「通信システムを構築出来ないでしょうか。
テトの話だと『神事のダンスの際にこのペンダントをバラバラにして5人で付けて無声でやり取りをしていた』らしいとの鑑定をしてくれました。
これを私と研究所の幹部で装備して任意で交信が出来るようにしたいですね。」
「んー・・・タケオ、それはちょっと難しいですね。
するのであれば・・・例えば私を連れているジーナを基点にして交信することなら出来るでしょうけども・・・それに交信範囲もジーナを基点に半径500mくらいしか出来ないかと。」
「十分でしょう。」
武雄が頷く。
「移動中や小隊行動をしている時の即時通信網の整備がしたいだけですからね。
本当なら遠くの出来事を瞬時にわかるのが理想ではありますですが、半径500mでの無声でのやりとりが出来ればそれだけでも十分です。
それとテトからは『身体には影響はない』と言われましたが、これは何か影響があるのですか?」
「・・・この装飾だと1人の意思を他の4人に無制限に伝達しますよ。」
コノハが難しい顔をさせて言ってくる。
「・・・それはダメですね。」
武雄も難しい顔で答える。
「ええ。これは神事の舞か何かの動き出しや動きを切り替えるタイミング取りでしょう。
で、パラス、これ使えるかしら?」
コノハがパラスに聞く。
「んー・・・少し時間は頂きますけど・・・
コノハとマリの協力があれば行けるかと思います。」
「ふむ・・・某は構いません。」
「私も良いわよ。
タケオ、どういう仕様にしたいの?」
コノハが聞いて来る。
「そうですね。
身体への影響は少なくする事と装飾部に触れる事で装着者への発信が出来る事が一番の理想ですね。
任意で発信が出来ないと不便でしょうからね。
あとは交信の範囲は最大でお願いします。」
武雄が言ってくる。
「わかりました・・・明日までには仕上げておきます。」
「時間がかかるのではないのですか?」
パラスが頷く横でジーナが聞いて来る。
「はい。明日の朝までかかってしまいます。
女神であれば数分で出来るのでしょうけど・・・私だと相当かかってしまします。」
パラスが申し訳なさそうに言ってくる。
「いえいえ、十分に早いですよ、パラス。」
ジーナが苦笑しながらパラスを労う。
「コノハ、マリ、すみませんが、よろしくお願いします。」
「ええ。」
「はっ!」
「タケオ、私は何の研究をさせて貰えますか?
何でもしますよ?」
パナが聞いて来る。
「えーっと・・・パナは薬を作っていたのですよね?」
「はい、万能薬です。」
「医者だったのですか?」
「父が偉大な医者でしたので私もその流れで診断も出来ます。
ケアも確かこの世界では怪我をして1日以内に治さないと完治は出来ないでしょうが、私なら1か月前の傷も治せます。」
パナが普通に言ってくる。
「・・・1か月前って・・・凄いわね。」
ジェシーが言ってくる。
「それ以外は出来ないのですけどね。」
パナが苦笑する。
「わかりました。
と、研究する内容ですけども。
朝霧、おいで。」
武雄が朝霧を呼ぶと朝霧は武雄の足元にやって来る。
「この子達、スライムの研究をして貰います。」
武雄は朝霧を持ち上げて皆に見せるように掌に載せる。
「「「スライム?」」」
チビッ子精霊達が不思議そうな顔をさせる。
「はい。この子達5種類の体液の混合比率でどういった物が出来るのかの確認をして貰います。
混ぜる順番、加熱の方法、そして結果・・・現状では単体での効能はわかっています。
また、消しゴムの製造方法もわかっていますね。
ですが、それ以外での活用方法を見つけようと思います。
エルヴィス家で行われているスライムとの住み分け事業において居住地域の完璧な保護をするには結局の所、こちら側で利益が無いとスミス坊ちゃんより先の・・・将来に渡っての保護には繋がらないでしょう。
『可哀相だから』、『非力だから』という人情に寄っての保護は長期的に見て上手くは行かない物です。
スライムは有益であり、共存する事で自分達の生活が向上するという風に考えさせないと保護は出来ません。」
武雄が言ってくる。
「・・・その通りですね。」
「タケオ様、かといってスライムを過剰に働かせるのは違いますよね?」
アリスが頷き、スミスが質問してくる。
「はい、スライムを奴隷にするつもりはありません。
こちらは居住地を保護し、ちょっとした栄養源を渡す。
あちらは余剰体液を樽に入れる。卵の殻を清掃する仕事をする。
そして土地の周辺を管理させる為の費用をスライムの体液事業での得た利益の一部で賄う。
あくまでスライム達のお仕事としての範囲で出来る限りで構わないでしょう。
それに過剰に体液を作って貰うという事はかかる食事代も増加するという事です。
現状での残飯は肥料にもしている物です。
農家が使う肥料を少なくしてスライムに渡すという事も主旨と少し違います。
全てはバランスを見ながらして行かないといけません。」
「・・・なるほどね。
タケオの考えはわかったわ。」
コノハが頷く。
「私もスライムの体液研究は了承です。」
パナも頷く。
「一応言っておきますが、消しゴムを作るのに所定の体液を混ぜて7時間もの間、混ぜ続ける必要がありましたので他のも時間がかかると思っています。」
「・・・一体全体、何万通りするのでしょうね。」
アリスがため息をつく。
「さて・・・そこはパナの根気次第でしょう。
パナ・・・いや、パナケイア、期待しています。」
「ふふ、そう真面目な顔で言われてしまうと照れます。
良いでしょう、タケオが望む成果を出して見せます。
これこそ待ち望んだ研究です!」
パナがやる気を見せる。
他の精霊達は「良かったねー」と棒読み状態で祝福するのだった。
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