第661話 61日目 試験だ!(概要説明。)
昼過ぎの試験小隊の訓練場にて。
「タケオ、お茶はないのかの?」
「え?飲み物はスープで良いと思って焚き火にくべていますよ?
それに簡単なスープにして欲しいと朝言っていましたよね?」
「それは言ったが、まさか本当に卵スープのみ作るとはの・・・
それも鍋の上に『ご自由にどうぞ』とは何じゃ?」
エルヴィス爺さんがエルヴィス家用に仮設した椅子に座りながら言ってくる。
お茶菓子やスープを置ける机も設置出来ていた。
また、なぎ倒していた木々もハワース商会にて綺麗に引き取られていた。
「いや・・・フレデリックさん達総監部の方々が小道の両脇にひもを渡らせて区画を作っていてくれているので、今の所飲みたいなら自分で入れてください。」
「そうですよ、お爺さま。」
「早くしないと無くなりますよ?」
アリスとスミスは抵抗なく鍋からスープをコップに取って飲んでいる。
「・・・スミス、わしの分も取っておいてくれるかの?
今はお茶が飲みたいの。
タケオ、お茶のセットはどこにあるのかの?」
「はいはい、お茶ですね。
私が作りますよ。」
「すまぬの。」
タケオはお湯を作って旅用のお茶セットでお茶を作り始める。
今日は朝から慌ただしかった。
昨日の深夜は夕霧達との会談をして、仮眠してから朝食。
朝食後に今日の試験の打ち合わせをエルヴィス家として。
その足でラルフの仕立て屋に行って作業服等々を受け取り、訓練場で訓練しているアーキン達と合流して今日の試験の打ち合わせをしていた。
で、今は小道の両脇に武雄が潜んで良い箇所(小道から両脇7m程度)にひもが張られている。
これはアーキンとブルックと話していて「発見しやすいようにして」と言われたからだ。
フレデリックに相談した所「確かに制限は必要ですね。なら総監部で区域を設定しますか。」
と現在の作業をしていたりする。
「武雄さん、来ましたよ。
おぉ、要望通りですね。」
鈴音は武雄の格好を見て感心していた。
上下緑色の作業服とヘルメット、そして戦闘用ベストと革靴、革製の指切手袋を装備していた。
戦闘用ベストに下側から刃を収められるようにしてナイフを装備されていた。
「ですね。
仕様通りの外見ですね。」
「・・・外見は?」
「靴に鉄板を入れるのが間に合わなかったそうです。
それにまだ試作段階なので、テイラー店長に言って全部を強化し続ける仕様にしています。」
「なるほど、確かに鉄板を入れるのは難しそうですものね。
それに試作品をボロボロにするのも何ですしね。
今日はナイフも使うのですか?」
「刃引きしていますのでそこまでは危害はないと思います。
雰囲気作りです。」
「なるほど。」
「鈴音の方も大丈夫そうですね。」
「はい。
私は立っていれば良いのでしたよね?」
鈴音はスカート姿の制服になっていた。
武雄がラルフ店長から全て引き取り訓練場に来る前にステノ技研に寄って鈴音に渡していた。
「そうですよ。
今日は作業服がどれほど目立たないかの試験ですので。」
「上手くいきますかね?」
「さて・・・どうやりましょうかね。」
武雄が思案するのだった。
・・
・
フレデリック達総監部(ヴィクターとジーナも含む)の作業も終わり、ラルフを始めとした仕立て屋の面々とテイラー、ステノ工房の面々とハロルドと副団長、兵士長と数名の小隊長が集合していた。
「ではこれより試験小隊の作業服の試験を始めるかの。」
エルヴィス爺さんが宣言すると武雄とアーキンとブルックが頷く。
「始めに確認ですが、試験はこの訓練場と裏城門までの小道で行います。
試験開始はこの訓練場から小道に入った中間地点から行います。
試験方法はアーキン様とブルック様の2名にて3回ずつ行います。
1回目はタケオ様が小道横の所定の位置に座り、小道を歩いている時に気が付くか。
2回目はタケオ様が小道を歩くアーキン様とブルック様を気が付かれずに襲えるか。
3回目はタケオ様が小道横の木々の間を移動し、小道で見ているアーキン様とブルック様に発見されずに訓練場まで来れるか。
以上、3つで行います。
タケオ様が居られるスペースは小道横の7m程度の所のみとします。
それ以上奥には行ってはいけません。
よろしいですか?」
「「「はい。」」」
フレデリックの説明に3人が返事をする。
「ではまずはアーキン様とブルック様、小道の入り口まで行ってください。
ミア様、開始の際はこちらからホイッスルを鳴らしますので、お2人が歩き始めたらミア様もホイッスルを鳴らしてください。」
「はい、わかりました。
ささ、行きましょう。」
「「では皆さま、失礼します。」」
ミアに先導されてアーキン達が小道を歩いて行く。
・・
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「ふむ・・・タケオ、上手くいきそうかの?」
「・・・相手は王都守備隊ですよ?そう簡単にいかないと思いますけどね。」
武雄は苦笑をするのだった。
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「「はぁ・・・」」
小道の入り口でアーキンとブルック深いため息を付いていた。
「ん?アーキン様もブルック様もそんなに不安なのですか?」
「はい、とっても。」
「絶対キタミザト殿の掌で遊ばれます。」
アーキンもブルックもこの時点でテンションが下がっていた。
「んー・・・そんなに主の服装は目立たなそうなのですか?」
「ええ、周りが針葉樹の森です。この時期に葉も落ちずに森を形成しています。
枯れ木に囲まれているわけではないですし、木々の間にも緑はあります。
あの緑で偽装している服では絶対に見つけられないでしょうね。」
アーキンがため息を漏らす。
「さらにキタミザト殿はこっちが王都守備隊員との事で最大級の警戒をしてきます。
たぶんただ単に座っているとは思えません。
何かしら目立たない方法で座っていると思います。
・・・そんなのを見つけられるとは思いません。」
ブルックもため息を漏らす。
「ふーん・・・そういうものなのですね。」
と遠くからホイッスルの音が聞こえるのだった。
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