第3928話 居残り組の大隊講習では。(机上での訓練が始まりました。)
エルヴィス侯爵領 軍務局庁舎の会議室。
大隊編成の講習がされており、今日は机上での小隊の伝達方法の仕方を行う内容をしているのだが。
「・・・なぁ、トレーシー、何だか室内の雰囲気が違うな?」
アンダーセンが周囲を見ながら言う。
「うん、それは思った。
資料を渡されてからだね。
特にベテランと思われる人達の雰囲気が変わったね。
何かあったのかな?」
トレーシーが資料を見ながら言う。
「さて・・・お気付きになっている方もいらっしゃいますね。
今回、お配りした想定した布陣地の地形や各領主軍の配置は前回の魔王国とアズパール王国との慣例の戦争での両軍の配置を元に少し手を加えています。
そして、私達が今回検討するのは、この右側部分の配置での小隊の動きの確認をしていきます。」
講師の魔王国兵士が言う。
皆の顔が真剣になっていく。
「ほぉ、これが前回の魔王国側の配置だったのか。」
「これって・・・兵士の配置は不利になるかもしれないのに魔王国側は良く出してきたよね。」
アンダーセンが感心する横でトレーシーが言う。
「だから手を加えているという事だろう。
それに・・・領主軍だからな。
知られた所であまり問題はないと考えているのだろう。」
「なるほどね。
それに所長からも領地異動があったと聞いたから、前回と同じにはならないだろうしね。
そこも加味して、こっちが乗り気になる教材を作ったという所だね。」
「そうだろうな。
慣例の戦争の内容が出されれば、真剣に聞くだろう。」
アンダーセンとトレーシーが話す。
「では、各小隊に番号を振っています。
今までの講義でした、大隊、中隊、小隊の役割を思い出しながら、下記の設問を考えて行ってください。
ある程度、経ったら指名等をしますので、回答をしてください。
では、お願いします。」
講師の魔王国兵士が言うと皆が机上の小隊の設問を解き始める。
「えーっと・・・先の会議で中隊長より『正面の敵に対し、小競り合いを仕掛ける』との方針が示された。
一旦解散され、鐘1つ後に再度、会議を行い、詳細を詰める事になっている。
1番の小隊長である貴方は、どんなことを中隊長に提案するのか、また部下である小隊員にはどんな指示を出しておくのかを記載する事。
・・・えー・・・」
アニータがこれまでの資料を見返し始める。
「お姉ちゃん、出来そう?大丈夫?」
ミルコがアニータに聞く。
「頑張って解いてみるけど・・・後でミルコのを教えて!」
「うん、わかった。
お姉ちゃん、頑張って。」
「うん、頑張る。」
アニータが資料を見返しながら考え始める
「ケードとコーエンは大丈夫?」
ブルックがケイとパメラを見る。
「大丈夫です。
似たようなのは魔法師専門学院でやっています。」
「ただ、あの時よりも、全体としてどう動くかを提案する内容になっているので、どうすれば良いかを考えています。」
ケイとパメラが言う。
「こっちは大丈夫そうだね。
もう少ししたらアニータとミルコを見ているアーキンの補助をしなくては。
アーキンも見てくれているだろうけど、最悪は2人がかりで教えなきゃ。」
ブルックが言う。
「ブルック殿は出来たのですか?」
「うん、私なりに考えて、書き終わったわよ。」
ブルックが即答する。
「・・・早くありませんか?」
「そう?・・・じっくり考える時間なんて本来、戦地にはないからね。
実際は会議に臨んだ時に臨機応変で受け答えも変えるし・・・と、これは私の考えね。
ケードとコーエンは講習内容に沿って、しっかりと学びなさい。
この講義は、そういう講義だからね。」
「「はい。」」
ケイとパメラが返事をするのだった。
「アーキンさん、回答はこんな感じですか?」
ミルコがアーキンに見せて来る。
「ふむ・・・これも間違いではないな。
まだ時間はありそうだから、他に出来る事が無いか考えてみると良いな。」
アーキンがミルコに言う。
「これ以外にですか・・・うーん、他に何があるかなぁ。」
ミルコが考える。
「アニータは書けたか?」
「い、一応は・・・」
アニータが恐る恐るアーキンに見せる。
「・・・うん、確かに。
講習の内容の通りに網羅されているな。
アニータ、それで良いぞ。
でも、もう一つ考えてみよう。」
「もう1つですか・・・うーん・・・」
アニータが考える。
「難しく考える必要はないぞ。
基本的には、さっきアニータが考えた事で問題はない。
だけど、もう1つ提案出来る事がある。
この配置の1番の所にアニータが立っているとして、周りがどう見えるか。
想像してみよう。」
「えーっと・・・1番の所から正面には敵が並んでいて、左右には味方の他の小隊が居て。」
アニータが想像をしながら現状を確認し始めるのだった。
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