第3909話 定期輸送事業の話をこっちでもしてみよう。(戦時の輸送力をどう確保するか。)
外交局と軍務局の話し合いは続いている。
「工程表の中に・・・住民移動の所があるのですけど、輸送体制はどうなっていますか?」
武雄が軍務局長に聞く。
「はい、国中から数百の幌馬車を集め、領内端部の町にある、これから整地する広場まで輸送する計画です。」
軍務局長が言う。
「数百の幌馬車・・・用意出来るのですか?」
武雄が首を傾げる。
「はい、主に商隊で使用している物を中心に集められると考えます。」
「商隊で。
・・・ふーむ?」
武雄が考える。
「キタミザト殿、懸念が?」
外交局長が言う。
「いえ、エルヴィス侯爵領ですら、生活品の輸送を町や村までしているのを賄う程度しかありません。
余剰の輸送力はないと考えています。
魔王国の慣例の戦争では街中の幌馬車等を集めて実施したようではありますが、あくまで領主出陣の戦争だからです。
日常の輸送を止めてまで、他領の輸送に力を貸しますかね?」
武雄が言う。
「国家の大事なのですが・・・」
軍務局長が難しい顔をさせる。
「国には所属しているのは確かな事ですが、領主と関わりが少ない輸送依頼に参加するのか・・・
国への評価が高まっても、領主の評価が高まらないと日常の仕事は増えないでしょうしね。」
武雄が言う。
「ふむ・・・言われてみれば、その通りですね。
逆に言えば、参加する事で領主の覚えが良くなるのなら積極的に参加するという事ですね。
軍務局長、あれですね。
協力いただいた工房や商店をリスト化して各領主に配るという一手間が必要かもしれませんね。」
外交局長が言う。
「なるほど、他領主にも自領の工房や商店の名を見せるとなると各領主も見栄を張るかもしれませんね。」
軍務局長が言う。
「ちなみにエルヴィス侯爵領の工房や商店は参加するでしょうか?」
外交局長が聞いてくる。
「・・・しないのでは?
ほぼ国の反対側まで幌馬車を派遣すると、とんでもない日数で領内の幌馬車が足らない状態になるのですよね?
エルヴィス侯爵自体、他領主に何を言われても気にしないでしょうし。
それに魔王国から小麦等々を買い付けるので、そっちに幌馬車が取られますからね。
エルヴィス侯爵領よりもテンプル伯爵領に掛け合った方が良いのではないですか?
あっちならエルヴィス侯爵領よりは西側に近いでしょうし。」
武雄が言う。
「うーむ・・・」
軍務局長が考える。
「エルヴィス侯爵領とゴドウィン伯爵領は難しいですかね?」
「距離の問題もありますし、万が一の時は関に兵士を緊急配置する必要もありますからね。
2、3日で借りれる状態の幌馬車を用意しておきたいでしょう。」
武雄が言う。
「・・・想定の総数が減ってしまいますね。」
軍務局長が言う。
「あ、専売局長と財政局長に王都から第3皇子一家領の所に2日毎に幌馬車数台で必ず行くという定期輸送事業の話をしてみましたよ。
そっちでそこそこの幌馬車を輸送に使うかもしれません。」
「「定期輸送事業?」」
外交局長と軍務局長が首を傾げる。
「人、物を国が定期的に輸送する事業です。
2日毎に必ず出立し、費用は固定とする事業です。
経済局と整備局に話を持ち掛けて検討を開始すると言っていましたか。
これを2日毎ではなく、毎日1便と決めれば、それなりの幌馬車が使われるでしょうね。」
武雄が言う。
「ふむ・・・私達も、その協議に参加してウィリプ連合国との件で使わせて貰えるようにした方が良いかもしれませんね。」
軍務局長が言う。
「キタミザト殿、それは王都と第3皇子一家領なのですよね?」
外交局長が聞いてくる。
「試験的にしてみようという話になっていました。
これを王都と第2皇子一家領にしても良いかもしれませんし、第2皇子一家領と第3皇子一家領も加えて、王都ー第2皇子一家領ー第3皇子一家領を結ぶ、定期輸送事業に発展させても良いかもしれませんね。」
武雄が言う。
「王都と王族領との物量を増やすというのは良いのかもしれませんね。
輸送に関しては私達よりも専売局や経済局が詳しいですし、知恵もあるでしょうね。」
外交局長が言う。
「護衛も第2、第3皇子一家と王都の騎士団で遠征訓練の名目を与えれば、各騎士団や兵士も参加できますね。
他領の騎士団との交流を促し、ウィリプ連合国との際の意思伝達を速やかに実施する意味でも良いかもしれません。」
軍務局長が言う。
「まぁ、とりあえずは王都と第3皇子一家領の話をしていると思うので、そこに参加して試験をしてみた方が良いですね。
思わぬ事が発覚したり、そこから派生する事業があるかもしれません。」
武雄が言うと外交局長と軍務局長が頷くのだった。
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