第3895話 出店費用は高額なようです。(歓楽街の勢力を伸ばす方法の1つが垣間見れました。)
王都の歓楽街の高級娼館。
バセットがリスト持って戻って来た。
「こちらが私共がバビントン子爵様の屋敷がある街に出店する際の要望です。」
バセットがアルダーソンの前に紙を置く。
「失礼します。」
アルダーソンが内容を確認する。
「・・・今すぐに代理人を行かせて現地調査を?
最初は既存の建物を紹介して貰えれば良い?
最初とは?」
アルダーソンが紙から目線をバセットに向ける。
「仮屋敷を構えさせて頂き、そのまま改修するか、新規で建てるかを検討します。
現地調査は住民構成やお客様になり得る方々を調べる事と既存の同業者との折衝を行います。」
バセットが言う。
「なるほど・・・誘致の費用なのですが・・・」
「事前に一括でお願いします。
現地では、私達は自ら来たのですから、アルダーソン子爵様やバビントン子爵様とのやり取りは最小限にしなくてはなりません。
特に金銭は、発覚したら周囲との緊張を生みますので。
あ、お客様として来られるのは構いません。」
バセットが言う。
「は、はい・・・そうですか・・・」
アルダーソンが文章のある部分から目を離せずにいる。
武雄は、アルダーソンを見ながら「かなり高額なんだろうな」と思っていたりする。
「ちなみに・・・足らない分は私達で出しますので、追加の資金要請はないとお考えください。
調度品は王都で買って現地に納入します。」
バセットが言う。
「質問ですが・・・王都からバビントン殿の所に物を運ぶのは良いのですが、破損や傷物になる可能性はないのですか?」
武雄が聞く。
「その辺は、お金をかければ如何様にもなります。」
バセットが言う。
「なるほど。
他に必要な物は?」
「そうですね・・・外に音が漏れない壁が欲しいですが・・・
これは石造りにするしかないかと考えています。」
「そうですか・・・」
武雄が「耐火板と綿を使っての防音性が高い内装は出来ると思うけど、まだ紹介は出来ないかな?」と思っていたりする。
「キ、キタミザト殿、その費用をお貸しして頂く事は可能ですか?」
アルダーソンが聞いてくる。
「うーん・・・今、あまり手持ちはありませんし、8月の出張に向けて貯めているのでね。
やるなら王城から借りるしかないのでは?
あそこなら民間から借りるよりも安心ではありますよ。」
「あー、アドラム殿の時のやり方ですか。
うーん・・・戻ってバビントン殿と相談しようと思います。」
アルダーソンが言う。
「・・・バセット殿、ちなみにですけど、バビントン殿の所で営業を始めた店から何か情報はいただけますか?」
「・・・お客様の情報は外に出さない事で信用が増し、高級娼館の地位がなりたちますので、貴族方に情報を渡すのは・・・」
バセットが考えながら言う。
「では、客以外の情報は出せますか?
例えば、歓楽街の勢力情報とか抗争の観察と報告とか。」
「それはお出し出来ますね。
キタミザト様の住んでいらっしゃるエルヴィス侯爵領でもされていますか?」
「付かず離れずで簡易な報告がされているのは知っていますが、どう使うかは領主の仕事でしょう。」
武雄が言う。
「その通りでしょう。
アルダーソン様、今言った、歓楽街の状況は、お伝え出来ます。
他にもお客様の情報以外で欲しい情報はお渡し出来ます。
その費用込みで誘致の費用があると考えて頂ければと思います。」
バセットが言う。
「わかりました。
・・・ふむ・・・はぁ・・・」
アルダーソンが少し項垂れながらため息をつく。
「バセット殿、娼館の女性従業員は、色々な事情を持ってやってくるのでしょうけど・・・身請けされて去っていく方も居るのですか?」
武雄が聞く。
「はい。
ただ残念な現実ではありますが、身請けされるのは、ほんの一握りです。
大半の娘達は歳を重ねたら自ら自身を買って、娼館から去っていきます。
多くは、同じ地域や国内で食堂や酒場を営んでいますね。
それ以下に身を落としてしまう事もあると聞いています。」
バセットが言う。
「それはなんとも・・・」
「うちの店の者は、身を売る事が出来なくなっても良いように読み書き、計算、帳簿の書き方等々を教えています。
幸いにして、今の所、この娼館を去っていった者達はこの歓楽街や近郊の町で自らの店を持って、やって行っています。」
バセットが言う。
「そうなのですか。
・・・新規出店がという事は、その人員は娼館の手練れという事ですか?」
「はは、まぁ、そうなります。
大丈夫です。
しっかりした者達を送り込みます。
その後もね。」
バセットが言う。
武雄は「娼館を中心に周りを娼館出身の女性店主達が固めながら歓楽街の勢力を拡大させるのか」と思っているのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




