第3882話 戦闘での自己判断とは。(出世欲が強い人ほど、責任も転嫁してくるでしょうね。)
研究所会議を終えた武雄とマイヤーはアルダーソン、コンティーニ、王家専属魔法師と王城内の簡単なバーにて軽食を食べながら話をしていた。
「今、ジーナにお店の方へ確認しに行って貰っています。」
武雄がアルダーソンに言う。
「はい、すみませんがよろしくお願いしたい。」
アルダーソンが言う。
「では、ジーナ殿が報告に来るまで少し時間があるでしょう。
カトランダ帝国の慣例の戦争について話をしましょう。」
王家専属魔法師が言うと武雄とアルダーソンも頷く。
「確か、陛下から『ウィリプ連合国と戦争で勝利を得る為には、練度の高い兵士と有能な指揮官が必要だから』という理由で企画されたと聞いていますね。」
「ええ、私も最初聞いた時は驚きましたが、説明を聞いたらその通りなんですよね。
実戦形式で自身の足らない所を見つめ直していくしかないのです。
アルダーソン殿も陛下から説明を受けています。」
王家専属魔法師が言う。
「はぁ・・・我が国で実戦を伴う慣例の戦争に従軍したのは近年では魔王国側のみですからね。
西側の各領主の意識が緩んでいるのは確かです。」
アルダーソンが言う。
「今回の我が国とカトランダ帝国の慣例の戦争についてですが、主目的は我が国 西側の各領主に戦争の経験をさせ、自領軍の足らない所を見つめ直す為にあります。
その為には手痛い引分けも許容する方針です。
もっと言うなら瓦解しない程度の惜敗は許容するようですね。」
王家専属魔法師が言う。
「陛下には私の方からも『危うい』とは言いましたが、『今のまま何の対策もせずにウィリプ連合国と事を構える訳にはいかない』と言われています。
まぁ、陛下がそこまで考えているのであれば、私は強く反対出来ません。
対峙戦力は、現状の推測ではどうなっていますか?」
武雄が王家専属魔法師に聞く。
「カトランダ帝国側ですが、帝都護衛軍1000名、第2および第3軍が1500名ずつの計4000名。
我が国はカトランダ帝国側3家、ウィリプ連合国側2家、ニール殿下とバビントン子爵連合となり、ニール殿下とバビントン子爵はひとまとまりで500名、他の5家で4000名の計4500名となっています。」
王家専属魔法師が言う。
「・・・うん・・・帝都護衛軍ですか。
王都守備隊相当ですよね。
普通に考えるのなら中央に帝都護衛軍で両脇に第2軍と第3軍。
小競り合いは第2軍と第3軍から選出・・・ですかね。」
武雄が考えながら言う。
「我が方はニール殿下の前に各領主が横並びとなるでしょうね。
まぁ、簡単に書くと・・・こんな感じですね。」
王家専属魔法師が立ち上がり、黒板に両軍の初期配置を簡単に書く。
「・・・・」
「対面兵士数は一緒ですが・・・うーん・・・私なら動かずに堅実に小競り合いだけの戦闘だけさせたいところですが。」
武雄が考える。
「・・・問題になりそうなのは、戦争結果が良ければ陞爵されるという現実をキタミザト殿の陞爵によって、皆に見せた事にありますね。」
「なりたくてなっていませんし、そんな事を考えて戦争はしていません。」
王家専属魔法師の言葉に武雄がやれやれと手を挙げながら言う。
「まぁ、そうでしょうね。
あの戦闘報告からは、現場を掌握した各領主とキタミザト殿の手腕と全兵士の奮闘がわかる物です。
ですが。
種族も違うし、規模も違いますが、慣例の戦争で著しい戦果を挙げれば、陞爵される可能性があるという餌が蒔かれました。
数家が勝手に動くというのも考えられますが・・・アルダーソン殿、どう考えますか?」
王家専属魔法師がアルダーソンに聞く。
「王家専属魔法師殿の言う通りかと。
ニール殿下の指示の下、行動を決めて行くでしょうが、突発的な戦闘等においては自己判断により行動をする事と決まると思います。
その突発的な戦闘等というのを拡大解釈する可能性があります。」
アルダーソンが言う。
「ふむ・・・キタミザト殿、経験者として、アルダーソン殿の話はあり得るでしょうか?」
王家専属魔法師が聞く。
「はい、拡大解釈は領主達の性格によるでしょうが、少なくとも突発的な戦闘が起きた場合、いちいちニール殿下や他の領主達に方針を伺っていては全滅するでしょうから、行動として当然の権利でしょう。
なので、事前打ち合わせで、この事が最初に決められるでしょうね。」
武雄が言う。
「ふむ・・・考えられるのは深追いや他領主が戦闘している時に過剰の支援でしょうかね。」
王家専属魔法師が考えながら言う。
「ですが、深追いは事前の打ち合わせで規制出来そうですよね。」
武雄が言う。
「・・・あー、そこは確約出来ないでしょうね。
現場の自己判断として処理出来る事項になるでしょうね。
もしかなり強めの規制をかけると無意味な追撃をしてから戻ってきて『勝機を逸した』とか『攻め時を分かっていない』とニール殿下の方に責任転嫁してくる可能性もありますし。」
アルダーソンが難しい顔をさせながら言う。
「確かに『私はやれると思ったのですが、ニール殿下の指示だから止む無く戻って来た』と言えば、格好はつきますよね。
・・・自身の出世に強い野心を持っていると言いそうな事ですよね。」
武雄が呆れながら言うのだった。
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