第3870話 パットの嫁は大丈夫?(武雄だって疑惑を疑われる可能性があるんだよ?)
アズパール王の執務室。
まだまだ打ち合わせが続いている武雄達はというと。
「ふむ、西側の状況と東側の状況確認は終わったな。
タケオから魔王国の陛下の交代がある旨の話も聞いたし、その返礼も用意できている。
まぁ、グリフォンという種族でお酒が弱いというのは情報としてはありがたかった。
局長達に報告しておこう。
王城関係としては・・・特に今我から報告する事はないな。」
アズパール王が考えながら言う。
「じゃあ、僕の方から。
第3皇子一家の異動する領地だけど、先行して入っている文官、武官達からの報告で受け入れ準備は完了しています。
今いる住人達とも問題なく話し合いが出来ているという事になっています。
引っ越し作業も順調で、25日の出発の予定は変わっていません。」
ウィリアムが言う。
「うむ、物は送るが一緒に持って行く物と引っ越しした後に送る物の仕分けは終わっているのか?」
アズパール王が聞く。
「はい、総監局との話し合いは終了しています。
エリカさんの物は大半がエルヴィス家に送りますから、そっちの準備はこれからです。」
「エリカの物については、アリスやうちの者も手伝って、送る準備はします。」
武雄が言う。
「うむ、抜かりないようにな。
第1皇子一家は4月1日入城予定だ。
それまで今のウィリアムが使っていた部屋を徹底清掃させる。
棚とか机とかはそのままだが、寝具等は入れ替えるから慌ただしいだろう。
ウィリアムとタケオは移動しているから、パットが監督する事になる。
抜かりのないようにな。」
「はい、わかりました。」
パットが頷く。
「改めて、陛下、パット殿下のご婚約おめでとうございます。」
武雄が言い、頭を下げる。
「うむ、とりあえず相手が居てくれたな。
パットも満更ではなさそうだしな。」
アズパール王が頷く。
「私の同期ではありますが・・・大丈夫なのですか?」
武雄が飾らないで聞くとパットが武雄を睨む。
「まぁ、こういう時に変に言葉を選ぶと見当違いの回答になるだろうし、タケオの真っ直ぐな質問も真摯に考えてだろう。」
「パット殿下の顔が良い感じで、こちらを睨んでいますが、恋は盲目です。
好いた相手を思う気持ちと自身に不都合な事を聞きたくないという思いはわかりますが。
パット殿下は国の行く末が絡みます。
申し訳ありませんが、同期の娘だろうが出自だけで信用は出来ません。」
武雄がパットを横目に見ながら言う。
「っ!・・・」
パットも武雄の言う事がわかるのか、睨むだけにしている。
「まぁ、そうだな。
お互いに好いた者同士だからな。
相手を信用しているのだろうからパットがその顔になるのはわかるし、地方領に居る者達の心配はタケオの言った事でもある。
クリフからの報告では問題はない。」
アズパール王が言う。
「陛下の事です、王都守備隊を動かしていると思いますが?」
「ふむ・・・そもそもバビントンを男爵にする際に家族の調査はしている。
まだ1年だ。
大丈夫だと思うが?」
「失礼ですが、私はこの1年で縁に恵まれ、魔王国とブリアーニ王国に伝手が出来ていますが?
私と同等の縁が出来ていてもおかしくはないでしょう。
それに第1皇子一家との縁も十分に恵まれて居ます。
そこにパット殿下との縁ですよ?」
武雄が言う。
「それを言うならば、タケオは大丈夫なのか?
アリスを娶り、伯爵家の身内になった。
自身も貴族になり、武勲も政治的功績も上げている。」
「悪巧みはしていますが、国を揺るがすような事はしていないと思っています。
何かあってもエルヴィス侯爵領内で終われますよ。
ですが、パット殿下が何か悪巧みをすると国を揺るがし、最悪は内戦です。
流石に国内で争う余力はアズパール王国にはないと思います。」
「そんな余力はどこの国にもないと思うがな。
大丈夫だ、ラナ・ウィル・バビントンは白だ。」
アズパール王が言う。
「・・・わかりました。
で、バビントン殿はカトランダ帝国に隣接する子爵領の文官でしたね。
元上司である子爵殿との関係は?」
「ないわけではない。
事実、今も割と近い地に居る訳だからな。
とはいえ、パットと娘の婚約で薄められると考えている。」
「むしろクリフ殿下との仲介をさせられそうですね。
カトランダ帝国との輸出入は王城が主導権を持っているのですよね?
あまり良い気はしないと思います。
これを機に自分達の利益を増やすのでは?」
武雄が言う。
「・・・・・・そういう頭があれば良いがな。」
アズパール王が呟く。
「え?」
武雄が驚き顔をさせながら聞き返す。
「いや、なんでもない。
だが、バビントンはクリフの庇護下にあるような物だし、領内にはアルダーソンも居る。
そして同期にはタケオを筆頭とする若手貴族が居る。
この監視網のなか、そう易々と元上司だからと強権は発動できないと思うがな?
何かあればクリフが知る事になるんだぞ?
タケオだって嫌だろう?」
「・・・対外的にはそうですね。
ですが、私個人としては、王城が私のしている事を知るという事は私がしている外交関係を王城が引き取ってくれると認識しますが?
ぶん投げて良いですか?」
「うん、普通は、その考えをしないんだよ。
そして、魔王国とブリアーニ王国は当面、タケオとエルヴィスでする事。
我が国が不利益にならないようであれば、王城には報告のみで良い。」
アズパール王が言う。
「はーい。」
武雄がやる気なさげに返事をするのだった。
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