第3846話 移動中のキティの雑談。(スミスとエイミーは軽く予習をしています。)
アシュビー達は順調に王都の壁に向かっていた。
「・・・」
キティが試験小隊の家族達が乗る幌馬車の荷台に乗りながら、遠ざかる王都を見ている。
「キティさんは、どこの出身なの?」
試験小隊の妻の1人が聞いてくる。
「私は王都育ちなんです。
親は地方出身なのですが行った事ないので、王都が故郷ですね。」
「あら、となると地方は初めて?」
「去年、就職前の研修を受けにエルヴィス侯爵領に行きました。
あれが初めての遠出でした。」
「エルヴィス侯爵領に行った事あるなら安心ね。
うちの子達は初めてだから緊張しているの。
まぁ、私も退役してから長いから、ワクワクしちゃうわ。」
試験小隊の妻が笑いながら言う。
「はは、わかります。
エルヴィス侯爵領は、物価が安くて、料理は美味しく、侯爵様達が新しい事を始めているので、目新しい物がありますね。」
「あら、うちの旦那は良い所に異動出来たのね。」
「はい、ですが、ブリアーニ王国や魔王国と接しているので最前線でもあります。」
「あら?キティさん、地方領はほぼ全てが最前線なのよ。
そして各領主は防衛が最優先の義務であり仕事よ。
エルヴィス侯爵、ゴドウィン伯爵、テンプル伯爵は先の慣例の戦争で義務を果たし、過去と見比べて最短期間で終結させ、自分達が領主に相応しいと証明したわ。
さらにエルヴィス侯爵は領土を広める快挙を成し遂げた。」
「はい、その通りです。」
「そして私達の旦那が仕えるキタミザト侯爵は慣例の戦争で王都守備隊創設理由に次ぐ戦果を個人としても部隊としても上げ、新設された研究所の存在感を発揮し、地位を固めています。
聞いた所では、王城の部局とも良好な関係を保っており、地方に居ながら国の政策にも影響を及ぼしているようね。」
「そうですね。」
キティが頷く。
「子供達は新しい所に行く事に緊張しているけど、両侯爵が居る地方領なんて安心でしかないわ。
そして、キティさんが言う、物は安くて、美味しい物があるなんて、住むのに適していると言えるわね。」
「確かに。」
キティが頷く。
「さらにはエルヴィス家の次期当主殿には第2皇子一家のエイミー殿下と第1皇子一家のアン殿下が婚約したというのは国としてもエルヴィス家に期待しているという事を示しているわ。
安心して住めて、これから期待と国がお墨付きを出している地に異動がなって安泰よね。」
「そうとも言えますね。」
キティが頷く。
「あら?キティさんは違うの?」
「私、そこで働き始めるので。」
「忙しいって事ね。」
「ええ、キタミザト様にも言われていますが、どの部署も忙しくて、私はどこに配属されるのか・・・」
「研修ではどうだったの?」
「色々としましたが・・・どこの部署が選んでくれたのか・・・うーん、わかりません。」
キティが悩みながら言う。
「ふふ、まぁ、行っての楽しみね。
はぁ、向こうでの生活が楽しみだわ。」
試験小隊の妻が笑いながら言うのだった。
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寄宿舎の食堂。
スミスとエイミーはキティを見送った後、やる事もないので食堂でお茶とスミスの次年度の概容をエイミーが教えていた。
「ふむ・・・結構、各領地の事とか詳しく学ぶのですね。」
「そうね。
2年になると、高見から見ているだけでなく、各領の特産品を知り、集め、分配する事も学ぶからね。
王城の経済局と財政局の仕事内容がわかるようになるかな?
それと外交関係の教科も始まるわね。」
「ふむ・・・安易に考えると僕は魔王国とブリアーニ王国の事を学ばないといけないでしょうかね?」
「うーん・・・安易に考えればね。
でもカトランダ帝国、ウィリプ連合国の事も知って、国内にどういう影響が出るのかも考えられないといけないと思うわよ。
まぁ、2年でそこまではしないだろうから、今は周辺国の事を学んでいく事が大事ね。」
「・・・タケオ様、この辺は独学なんですよね。」
「それであの成果を出しているんだから、『先駆』と呼ばれるわよね。
ま、スミスも頑張って二つ名を貰ったら?」
「姉と義兄が『鮮紅』と『先駆』ですけどね。
僕は凡人ですよ。
それに2つ名を一族で2人が同時に持って良い物なのですかね?」
「さぁ?2つ名自体が稀だからね。
たまたま姉弟で持っていても不思議はないかもしれないわよ?」
「・・・・・・僕はいらないですね。
分相応で、ただの領主で良いです。」
「あら、低い目標ね。」
「そうですか?
お爺さまとタケオ様が画策している領地を継いで安定化させるというのは、決して低くないと思いますけど。
まぁ、独自の政策は10年後とかですよ。
まずはしっかりと判断出来るようにならないと。」
「そうね。
私とアンも手伝うわ。」
エイミーが言う。
「あ、エイミーお姉様、スミス、何しているのですか?」
グレースが食堂にやって来る。
「宿舎の友人の見送りをね。
お茶しているのよ。」
「ノートを取りながらですか?
スミス、何を・・・エイミーお姉様、これは?」
「2年の教科は何があるか説明していただけよ。」
「なんで私にも教えてくれないのですか!?」
グレースが抗議してくる。
「概容よ、概容。
それに詳しくは授業で習うでしょう?
今からしても面白くないわよ。」
「面白いか、面白くないかではなく!知りたいです!
私もノート取ってきます!
待っててください!」
グレースが部屋に走っていく。
「・・・今日は2年の授業の予習に費やす事になるのかな?」
「そうなりそうね。」
スミスとエイミーが苦笑しながらグレースが来るのを待つのだった。
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