第3844話 502日目 キティが王都を出立します。(追加の試験小隊の面々も一緒に移動です。)
早朝の宿舎前に幌馬車が数台並んでいた。
「キティ殿、手荷物はこれだけですか?」
第二研究所の引っ越しする組の小隊長であるアシュビーがキティに言う。
「はい!昨日は荷物の荷造りを手伝って貰ってありがとうございました。
それと異動の同行を許可してくれてありがとうございます。」
キティが言う。
「良いんですよ。
それにしても昨日の時点で荷物を受け取りましたけど、ほとんどを売りましたね。」
「はい、向こうでも本を買うと思いますから。
こっちで読んだものは売りました。
あまり、お金にはなりませんでしたが。」
キティが苦笑する。
「そうだったんですね。
ちなみに昨日は、ご両親と夕食と伺っていましたが楽しめましたか?」
アシュビーが聞く。
「はい、両親も『頑張ってこい』と言ってくれました。」
キティが言う。
「キティ、準備できたの?」
キティが声の方を振り向くとエイミーとスミス、ドネリーとヴィートが来ていた。
「エイミー殿下!」
キティが返事をするとその場の者達が軽く頭を下げる。
「前に行っているから不安は少ないかな?」
「そうですね。
エイミー殿下と行った方が緊張していましたね。」
「まぁ、あの時は初めてというのと情勢が怪しかったのもあるけどね。
キティ、今年の8月にはエルヴィス侯爵邸に行くから、街中でお茶でもしましょう。」
「はい!色々と話せるようになっておきます。」
エイミーの言葉にキティが答える。
「キティ殿、どの部署に行くか分かりませんが、頑張ってください。」
スミスが言う。
「はい。」
キティが返事をする。
「では、キティ殿、幌馬車に乗ってください。」
「はい、エイミー殿下、スミス殿、お先にエルヴィス侯爵領に向かいます。」
「うん、気を付けて。」
「よろしくお願いします。」
エイミーとスミスが頷くとキティが荷台に乗る。
「では、エイミー殿下、エルヴィス殿、出立します。」
アシュビーがエイミーとスミスに言う。
「ええ、道中、気を付けて。」
「はっ!では。
総員出立!」
アシュビーが御者台に乗り、出立していく。
スミスとエイミーは手を振りながら見送る。
「私達がエルヴィス侯爵領に異動する時の王都の出立は、どうなるかしらね?」
エイミーがスミスに聞く。
「・・・僕達が出立の時は・・・僕が王立学院を卒業して、お爺さまから領主を継承して、エイミーとアンと挙式をして・・・こんなに静かな出立にはならないでしょうね。
というより、卒業から出立まで慌ただしいというのを今、わかったよ。」
スミスが言う。
「そうね。
でも、王都での挙式に誰が来るのかしら?
エルヴィス殿とアリス様は来るだろうけど・・・タケオさんとエリカさんが留守番かな?」
エイミーが考えながら言う。
「それが一番、可能性は高いだろうけど・・・エルヴィス侯爵領で再度、挙式をするんだよね。
タケオ様とエリカ殿が準備するんですよね?」
「そうなるわよね。
まぁ、挙式の大まかな流れは、エルヴィス殿に頼んで過去の形式に則ってすると言っておけば良いんじゃないの?
スミスの父上と母上と同じ内容でやりたいと言えば、大丈夫じゃない?」
エイミーが言う。
「・・・そうですよね。
タケオ様が何をするか、僕にはわからないから、そう言えば大丈夫だよね?」
「ごめん、自信がなくなってきたわ。
その辺はしっかりと相談しないといけないわね。」
「はぁ・・・王城での挙式はいくらくらいかかるんだろうね?」
「そこね・・・第1皇子一家の挙式はこっちで2人同時だから私達とほぼ同じ内容のはずだから、大まかな費用はわかると思うわ。
そこからどれだけ足すか・・・うーん・・・ちょっと費用を見繕うのに日数がかかりそうね。
アンの勉強具合を見ながら私の方で調べておくわ。」
「お願いします。
相談には、いくらでも乗りますから。」
「うん、お願いね。
それとタケオさんが余計な事をしないように言わないとね。」
「そうですね。」
エイミーの言葉にスミスが頷くのだった。
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エルヴィス侯爵邸の客間。
エルヴィス爺さんが朝食の用意が出来るまでお茶をしながら本を読んでいる。
「・・・ここ。」
「ん、では、ここに。」
「えーっと、えーっと・・・こっち。」
「ん、ここ。」
「・・・うーん、ここかなぁ?」
「ん、ビエラ、攻めるか守るか決めていないのですか?
変な位置に駒を動かしていますが。」
「だって、ここしか動かせないよ。
他はユウギリが取りそうだし。」
ビエラと夕霧が将棋をしているのだが、ビエラの敗戦濃厚なようだ。
「ん、では、続けましょうか。
ここです。」
夕霧が迷いなく駒を進める。
「・・・えー?・・・どの駒を動かしてもユウギリが取りそうだよ。
うーん、うーん・・・同じ渡すのならこれ。」
「ん、こっちの方を攻めますか。」
夕霧がビエラの意図を気にせず、ビエラが守ろうとした駒を取りにかかる。
「こっちあげるからー!こっちのは許してー!」
「ん、ビエラ、駒を動かしましょう。
動かしたら戻せないというルールでしょう?」
夕霧は情けをかけずに将棋を進めるのだった。
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