第3835話 大隊構想の講習が始まりました。(色々と問題があるようです。)
エルヴィス侯爵領 軍務局庁舎の会議室。
大隊編成の講習がされており、今は休憩になっていた。
「・・・うーん・・・」
トレーシーが講義の内容を見ながら考えている。
「どうした?」
隣に座るアンダーセンが聞いてくる。
「これを導入するには兵士への専門的な教育が必要だと思ってね。」
「まぁ、今の小隊長達からすれば、やる事が増えるだろうからな。」
「うん、言葉で言えば、その通り。
だけど、実際はもっと大変だよ。」
トレーシーが言う。
「今までは、領主や騎士団長といった指示をする者の方法を聞いて対処してきたのに、中隊長になると局地的とはいえ、作戦を自分で考え、上の大隊長に提案し、承諾を貰わないといけないという仕事があって、さらには自身も指示をしなくてはいけない。
作戦立案から実施監督までする。
それも現場で・・・これは大変だよ。」
トレーシーが言う。
「ふむ・・・作戦という物を知らないと提案も出来ないか。
エルヴィス家なら、領外の過去の戦闘報告書を取り寄せて、検討しなくてはいけないという事かもな。」
「それだけでなく、戦闘地域の地理も頭に入っていないといけないだろうね。」
「防衛のみを考えれば、この地の者なら地理は入っているだろう。
あとは、戦闘報告書か。
こっちに来る時に王都の戦闘報告書をある程度は写してきているが・・・エルヴィス家に供与した方が良いかもしれないな。」
「うーん・・・ヴィクター殿に相談が必要だけど、エルヴィス家と共用資料という形で情報の共有と戦闘報告書の冊子を作って貰った方が良いかもね。」
トレーシーが言う。
「ふむ・・・少なくとも中隊長向けの冊子が必要だろうな。
局地的な戦闘報告書を見繕って提出しないといけないか。」
「うん、今日の講習終了後にヴィクター殿に相談だね。
これは早急に用意しておかないといけない事になりそうだよ。」
トレーシーが頷くのだった。
一方のケイやパメラ、アニータ、ミルコ達はというと。
「・・・」
アニータが固まっていた。
「うん、魔法師専門学院でも、こういう子居たね。」
パメラが苦笑しながら言う。
「居た居た。
試験前は大変だったねぇ。」
ケイが頷く。
「お姉ちゃん・・・大丈夫?」
ミルコが心配そうに聞く。
「だいじょうぶじゃない。」
アニータが言う。
「・・・お姉ちゃん、まだ最初だよ?」
「ミルコ、何でそんな平気な顔をさせているの?
あんな難しい話を聞いて辛くないの?」
アニータがミルコに聞く。
「え?面白いよ?」
「・・・」
アニータが絶句する。
「まぁ、好き好きは人それぞれだしね。」
「どうしても好きになれない教科があってもしかたないし。」
ケイとパメラが言う。
「そこを満遍なく出来るようにならないと上にはいけないのよ。」
ブルックがいつの間にか近寄っていて言ってくる。
「ブルック殿、この講習はどうですか?」
「どう?始まったばかりだから何とも言えないけど、わかりやすいなぁとは思うわね。」
「あれってわかりやすいんだ・・・」
アニータが呆然とする。
「取っ掛かりだから、私やアーキン、アンダーセン隊長は躓いていられないわよ。
特にアンダーセン隊長は中隊長になるだろうけど、やる事は大隊長と同じだからね。
必死に学ばないといけないだろうね。」
ブルックが言う。
「そうなんですね。
ブルックさんも上に行くのですか?」
ミルコが聞いてくる。
「・・・・・・・・・・・・私は補佐で良いかな?」
ブルックがにこやかに言う。
「補佐ですか。」
「ええ、私は部隊長よりも、それを補佐するのが向いてそうだしね。
そっちで頑張ろうと思うわ。」
ブルックが言う。
「補佐・・・」
アニータが考える。
「補佐をするのも部隊長並みの思考が必要だから、この講習ぐらいは乗り切って貰わないとね。」
「ううっ」
アニータが難しい顔をさせる。
「ま、とりあえず、これから講習が終わった後は詰め所で復習かな?」
ブルックが苦笑しながら言うのだった。
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魔王国 王城のヴァレーリの執務室。
「そういえば、今日からエルヴィス殿の所で大隊の講習だったな。」
ヴァレーリが書類から顔を上げて、アンナローロに聞く。
「そうですね。
上手くしていれば良いですが。」
アンナローロが言う。
「そうだな。
事前に回ってきた資料では、そこまで難しい事を言う事はしないと書いてあったが。」
「どうでしょうか。
組織編制の根幹を変えるというのは、皆の意識を変えられるかの問題ですしね。
わかってはいても、そう簡単には割り切れないと思います。」
アンナローロが言う。
「ふむ・・・何度も考えて、実際しながら慣れないといけないだろうな。
・・・1000名が最大出てくるのに、1000名を動かす訓練なんて出来るのだろうかな?」
「ご自身が言って、ご自身で悩まないで下さい。
たぶん、出来ませんよ。」
アンナローロが言うのだった。
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