第3818話 冒険者組合は最近は商隊護衛の依頼が多くなってきているようです。(冒険者組合も問題なさそうです。)
エルヴィス公爵邸がある街の冒険者組合の応接室。
武雄が金貨を持って戻って来た事務所長と話をしていた。
ジーナは大人しく武雄の後ろに控えていた。
「へぇ、旧デムーロ国の事でそんな報告が。」
武雄が頷く。
「はい、取り付け騒ぎになったそうです。
何とか沈静化したのですが、全事務所に報告書が回されています。
なんとも恐ろしい内容です。」
事務所長が言う。
「私は前日に訪問していましてね。
次の日に騒然としていたと報告されています。」
「キタミザト様もいらっしゃったのですね。」
「見に行きたかったのですが、部下達から『危なそうだから行くな』と言われて報告のみされました。」
「そうだったのですね。
仕事で向かわれたので?」
「ええ、詳しい内容は言えませんが、国王陛下よりの仕事で魔王国経由で行きました。
大変でしたよ。」
武雄がヤレヤレとしながら言う。
「それは・・・大変でしたね。
良くご無事にお戻りになりました。」
「まぁ、輸出入関係での知り合いと会えましてね。
部下共々、お世話になりました。」
「どんな所で縁があるか、わかりませんね。」
「ええ、本当に。
どんな時も短気にならずに誠実に対応しておくものです。」
武雄がにこやかに言う。
ジーナは「まさかご主人様、ご自身で仕掛けたとは言えませんよね」と顔には出さないが思っていたりする。
「まぁ、魔王国とデムーロ国の戦争でしたので、取り付け騒ぎは当然だったのかもしれませんが。」
「大衆心理というか、恐怖心理は伝播しやすいという事ですね。
冒険者組合としては対策は?」
「・・・独自の情報を駆使し、兆候が見られたら冒険者組合事務所の金貨や銀貨の保有額を上げるようになっています。
ご安心ください。」
事務所長が言う。
「まぁ、その時は、この地が危機に直面しているという事ですので喜べませんが。」
武雄が苦笑する。
「これは失礼しました。
ですが、万が一の際の住民の不安は少なくなるだろうと考えます。」
「ええ、頼もしいですね。
話は変わりますが、最近の冒険者方はどうですか?
ミア軍団で各町とこの街との間では狼と鷲の討伐は禁止していますけども。
不満は出ていませんか?」
武雄が事務所長に聞く。
「ご報告はエルヴィス家の方にご提出させて頂いておりますが、少なくとも現時点では問題は発生しておりません。
また、事ある毎に職員から冒険者へ狼と鷲の討伐禁止する範囲の説明をし、周知徹底させています。」
「・・・心情的にはあると?」
「はい、少なからず狼を倒しながら生計を立てていた者もいるのは確かです。」
事務所長が頷く。
「ふむ、稼ぐ相手がいなくなったという所で、その方は、どうやっていますか?」
「対応している者達から聞いた所では、商隊の護衛依頼を多くしたと聞いています。
前と比べるとこの街と各町の間での商隊が増える傾向にあるようです。
キタミザト様方のご尽力により、少なくとも2種の魔物からの攻撃は各町までの間はありません。
なので、商隊が多くなってきているのでしょう。」
「ふむ、実際にそうであれば嬉しいですね。
それに第3皇子一家領への街道整備や新しい村の建設で商隊が動いたという側面もあるでしょうね。」
武雄が言う。
「はい、それもあるとは思います。
ですが、危険度で言えば、この街と各町の間の方が第3皇子一家領や新規の村までの護衛より低くなっており、事実、新人から足が抜けたような者達も参加するようになっています。」
「ふむ、商隊の警護で他のと比べて危険度が低くなるのなら新人さん達もしたがりますかね?」
武雄が考えながら言う。
「はい、商隊警護をした者達からは基本的に命を落としたり大怪我に繋がるような魔物はこの街と各町の間の街道沿いで遭遇はないと報告がありました。」
事務所長が言う。
「そうですか。
まぁ、減った分の仕事が他で出来るようであれば大丈夫でしょう。
商隊の護衛は依頼側から見たら、値が上がりますよね?」
武雄が聞く。
「はい、普通の魔物討伐は討伐した際の証明部位を提出する事で達成度を見ます。
商隊護衛の場合は、目的地まで数日は拘束してしまいます。
なので、食費は各自で用意でしょうが、その費用もそれなりに含めての依頼費を算出しなくてはなりません。」
「まぁ、片道だけの護衛というのも少ないでしょうからね。」
「はい、なので、拘束日数はあるけども、危険度が少なく、実入りが良いとなると受ける者は少なくないですね。」
事務所長が言う。
「で、腕が良くなれば、各町の外側の商隊警護に付くと。
第3皇子一家領への輸出品も今後あるでしょうから、需要は高いかもしれませんね。」
「そうであってほしいものです。」
武雄が頷くのだった。
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