第3816話 出立しましょう。(緩やかに時が過ぎていきます。)
試験小隊の訓練場。
「なんだか色々と買いましたね。」
ドラゴンになったグローリアに乗り込んでいるアンナローロと王都に行く兵士達を見ながらヴァレーリに武雄が言う。
「酒が主で、他のは将棋だがな。
そうだ、雑貨屋に行ったら将棋の高級版があって、そっちを買ってしまったよ。」
ヴァレーリが笑いながら言う。
「地域に貢献ありがとうございます。」
武雄が言う。
「しかし、高級版を作るというのは発想は出来ても実際にするとなれば、程度を決めるのに苦労するだろうな。」
「かもしれません。
豪華に作ろうと思えばいくらでも豪華に出来ますからね。」
「金や銀、宝石を使えば、どんどん値が上がっていくだろうな。
するか?」
「需要があれば。私は買う気にもなりませんし、そんなお金も持っていません。」
「我もだ。
だが、世の中に持っている者は持っているものなんだよなぁ。
いくらでも出すという輩は居る。」
「魔王国には居るのですか?」
「居るには居るが、まぁ、政治に口出しはしないから安心だ。」
「そう表の人間は思っていても裏で牛耳っているなんてのは、物語としてはありますが?」
「ふむ、確かに金を多く持っていると政治に口を出したり、裏で1つの町を牛耳っているというのはあり得るか?
だが、ないな。」
ヴァレーリが考えながら言う。
「ないのですか?」
「うん、ない。
魔王国のとある金持ちは政治に口を出さず、町を牛耳るのも興味がない。
あ、言い方を間違えたな。
政治はするが、我を通す事はしていない。」
「そうなのですか?」
「あぁ、まぁ、正解を教えるが、魔王国の軍に所属しているんだ。
その中で国家として金を稼ぐのが楽しいみたいでな。
ついでに、個人も少し蓄えて、それなりに高い物を買うのがストレス発散なんだと。」
ヴァレーリが言う。
「へぇ、国王に成り代わりたいとか思わないのですかね?」
「すっごくやる気がない。
金を稼ぐのは楽しいが、政治全般は楽しくないんだと。
で、契約でそいつの給料は他の者より多くなっているが、それに見合っているくらい国家の収入を増やしているから問題にはなっていない。」
「ふーん、良い部下ですね。」
「まぁ、な。
キタミザト殿達とは合わないだろうが・・・奴なら買うかもしれないな。」
「宝石で作った将棋ですか?」
「うん。
宝石に文字を刻むというとても勿体ない事をするからこその価値を奴は見つけるだろう。」
「・・・注文があっても、全額前金でのみ受付します。」
武雄が言う。
「はは、そうだな。
そうするしかないな。」
ヴァレーリが苦笑するのだった。
武雄とヴァレーリがくだらない話をしている横で。
ブリアーニとヴィクター、ジーナが話をしていた。
「ふむ、里帰りですか。
私としては気にもしませんよ。
あ、元の屋敷は私が王城として使っています。
なので、自由に出入りは出来ないか。」
ブリアーニが言う。
「カールラ様、あの屋敷は城とは呼べない屋敷でしかありませんが?」
ヴィクターが呆れながら言う。
「いやぁ、まずは国民の生活の安定が先だからさぁ。
そこはわかるでしょ?」
「はい、わかります。
ですが、国王や女王は威厳も大事かと思います。」
ジーナが頷く。
「うっ、そうなんだけど。
城って作ると高いでしょう?
優先順位は低いわよ。
ま、それはこっちの話。
ヴィクター殿とジーナ殿の里帰りは我が国としては問題になりませんので、来る際には事前にご連絡ください。」
ブリアーニが言う。
「はい、ご主人様を通してご一報を入れさせて貰います。」
ジーナが言う。
「うん、シモーナさん達も喜ぶと思うわ。」
ブリアーニがにこやかに言うのだった。
「ダニエラ様、準備終わりました。」
アンナローロがヴァレーリに言う。
「そうか。
お前達、アズパール王国のご厚意により最上位部隊へ研修に行く。
良い所も悪い所もしっかりと学んでこい。
そして魔王国 王軍の兵士として、教えれる事は全部教えてきて良い。
それが延いては、我が国の余裕を見せつける事になる。
頼むぞ。
体に気を付けてな。」
「「「了解しました!」」」
兵士3名が最敬礼する。
「うん、カールラ、帰るぞ。」
「はーい。」
ヴァレーリが言うとブリアーニが近寄って来る。
「次は・・・キタミザト殿が戻ってからで、4月終わり頃かな?」
「まぁ、そんなものかと。」
武雄が考えながら言う。
「日程がわかり次第、連絡をくれ。
それとヴィクターにも言ったが、カストの国王就任の連絡をパーニ経由で書簡を送るが、エルヴィス殿にもブリアーニ王国経由で書類が行くようにする。
確認はしてくれ。」
「わかりました。
新国王就任の際の国同士のやり取りは、以前と同じと伝えておけば良いですか?」
「うん、それで良い。
我の時みたく銀製の武具といった嫌がらせは止めて欲しいな。」
ヴァレーリが苦笑しながら言う。
「あー、あれ、ダニエラさんの種族知らなかったそうですよ?」
「え?あー確かに新国王の種族は書いていないか。」
「そういえば、名前だけでしたね。」
武雄の言葉にヴァレーリとブリアーニが顔を見合わせる。
「とりあえず、カスト殿の種族は伝えておきます。」
「あぁ、頼む。
では、また。
何かあればビエラ達を寄こしてくれ。」
ヴァレーリ達がドラゴンの背中に乗り込みながら言ってくる。
「はい、お気をつけて。」
武雄が頷く。
「うん、グローリア殿、ブリアーニ王国に戻ろう。」
「グルゥ!」
ヴァレーリ達を乗せたブラックドラゴンが飛び立つ。
そして試験小隊の訓練場の上空を一周して魔王国方面に戻って行くのだった。
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