第3776話 テトは解放されます。(味噌玉の試食をしています。)
テイラーの魔法具商店のカウンター。
「・・・」
腰に紐が括られているチビテトが窓辺で外を見ている。
「まぁ、仇敵が居るとなれば、しょうがないんですかね?」
テイラーがチビテトを見ながら言う。
「流石にテトだけで歩かせられぬよ。」
チビニオが紐の端を持ちながら言う。
「・・・犬じゃないよ~・・・」
チビテトが呟く。
「今までも暴れたり、興奮したりの問題になるような事はしていないよね?」
テイラーが言う。
「ふむ・・・まぁ、確かに、何回も魔王国からこっちに来て、店の前を通っているが、テトは暴れては居ないな。」
チビニオが考えながら言う。
「でも、テトちゃんが暴走したら私では止められないしね。」
鈴音が言う。
「暴走しないよぉ、犬じゃないよぉ・・・」
チビテトが呟く。
「ふむ、確かにスズネではテトを抑えられないか。」
チビニオが頷く。
「というより、基本的に精霊の行為を契約者が止められる事の方が稀なのでは?」
テイラーが首を傾げる。
「ふむ・・・確かに。
となると、この紐は必要だな。」
「私暴走なんてしないよぉ・・・」
チビテトが呟く。
「ちょっと待て、精霊通信で皆に意見を聞いてみよう。
・・・・・・うん?スズネ、ヴァレーリというのは魔王国の国王だったな?」
チビニオが鈴音に聞く。
「はい、そう聞いています。
今、来ていますよね。」
「うむ、えらくこの地と侯爵達を気に入ってくれているからな。
今後の為に変なちょっかいを入れないようにと、この紐よ。」
チビニオが言う。
「で、ヴァレーリが最強と?」
「確か、そんな事を報告書で見ましたね。
私は関わらないので、報告書は読みましたが、頭の中に入っていませんが。」
鈴音が言う。
「まぁ、スズネは高位陣に入っての説明とかはしないだろうな。
タローマティとダハーカの契約者か。
ふむ、テトでは敵わないな。」
チビニオが頷く。
「くっ、タローマティだけなら何とかしますが、ダハーカは別格!
2人同時になんて出来ないよ。」
チビテトが言う。
「そのようだな。
テトがタローマティや、その契約者に危害を加えないなら紐を外しても良いかもしれないな。」
チビニオが考えながら言う。
「する!する!」
チビテトがチビニオに向かって頷きながら言う。
「ふむ・・・何かあれば、精霊陣でテトの捕獲をしなくてはならないか。」
「だから、しないって!
もう少しは信頼してよ!」
チビテトが言う。
「ふむ・・・なら、信用してみるか。」
チビニオがそう言って、テトの紐を解く。
「自由だ!」
チビテトが背を伸ばしながら言う。
「ふむ、テト、暴走するんじゃないぞ?」
「だから、しないって!」
チビテトが言うのだった。
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ヴァレーリ達が泊まる宿を監視できる位置にある家の空き部屋。
仮眠を終えたジーナとエンマが簡易的な夕食を取っていた。
「これが、味噌玉の味噌汁ですか。」
エンマがオイルランプでコトコトと煮ている鍋を見ながら言う。
「はい、侯爵邸の料理長がコノハ殿の意見を元に再現しています。
味噌に具材と堅魚節を混ぜておいて、お湯を注ぐと味噌汁になるという商品の試作です。
今回は小さい壺に入れて持って来ていますが。
本来はもう少し、乾燥させるそうです。」
「そうなのですか。
具材は?」
「今回はジャガイモとタマネギです。
どちらも小ぶりにして、混ざっています。」
ジーナが言う。
「なるほど。
乾燥していなくても、そうやって小瓶に入れて持ち歩けるのなら需要はありそうですね。」
エンマが言う。
「はい、場所も取らずにお湯を沸かせば良いというのは楽ですね。
オイルランプも少し時間はかかりますが、弱火でコトコト煮る事が出来るというのがわかりました。」
ジーナが言う。
「魔法師でなくても火が簡単に着けられるのは良いですね。
これはセットで売れますかね?」
「うーん、商隊の方々や冒険者の方々が、どのくらい買われるのかが読めないのですよね。」
ジーナが首を傾げる。
「でも、キタミザト様は売る気なのですよね?」
「売り方の1つと考えていると思います。
ベルテさん達に監督になって貰いますが、工房1つを抱えますので、そこの経営を軌道に乗せる為に売り方を何個か用意しないといけないだろうと考えての事かと。」
ジーナが言う。
「一般家庭や飲食店向けだけでなく、移動中の方々にもですよね。
うーん、この手軽さなら売れると思うけどなぁ。」
エンマが腕を組んで考える。
「それはこれから検討していかないといけませんね。
中の具も色々試さないといけませんし。
さて、出来上がったと思います。
今、コップに入れますね。」
「あ、なら、サンドイッチ出しますね。」
ジーナとエンマが簡易的な夕食を取るのだった。
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