第3765話 研究所とキタミザト家を継ぐには?(領主とは条件が違いますよね。)
エルヴィス侯爵邸の客間。
「言っちゃった。」
武雄が皆に言う。
「「ははは。」」
アリスとエリカが笑っている。
「ふむ、ローなら口は堅いじゃろう。
アリスの出産の報の余韻が収まるまではと思っておったのじゃがの。」
「すみません、ローさんの手腕を見たくて。」
「いや、タケオの所の協力工房はしっかりしておるから構わんのじゃがの。
はぁ、同い年の異母兄弟でアリスが姉妹、エリカが長男。
なんとも外は煩くなりそうじゃと思っておるだけじゃよ。
わしは、ひ孫達が捻くれないようにしてくれれば良いと思っている程度だな。」
エルヴィス爺さんが言う。
「すみません、侯爵様。」
エリカが言う。
「エリカが謝る問題ではないの。
そしてアリスやタケオが謝るものでもない。
ただただ外が煩くなるだけじゃ。
で、確認じゃが、エリカの息子は継がせないのじゃの?」
「はい、私の子はキタミザト家の継承権を持ち合わせておりません。」
エリカが言う。
「うむ、タケオとアリスも良いのじゃな?」
「「はい。」」
武雄とアリスが頷く。
「ならば、わしは言う事はない。
キタミザト家で決めたのなら、それを実施するのみじゃ。
実際はどうなのじゃ?」
「そもそもなのですが、研究所と家は別物です。
今は私やアルダーソン殿がしているだけで、国立研究所なんです。
血族でやって良い役職ではないでしょう。
国家の為、兵士の為に研究をし、国家間の政治的な事もわかり、自ら国難をもたらさない者でしか出来ません。」
「ふむ、で?」
武雄の言葉にエルヴィス爺さんが続きを促す。
「私の子やアルダーソン殿の息子さんは勘違いするかもしれませんが、相応の実力者だけが研究所の所長になれるのです。
今回は私とアルダーソン殿というだけです。
そして次代に実力がなければ研究所は畳まれるか、他の者が率いるだけです。」
「「・・・」」
アリスとエリカは何も言わずに武雄の言を聞いている。
「強欲では・・・違うな、研究を使って国に不利益をもたらすような事を考えるような者は出来ぬと。
『研究所の所長になりたい』という欲求自体が危ないという事かの?」
「いえ、それでも構いませんが、何を成し遂げたいか。
ここが一番大事で、次に実績を示す事でしょう。
アルダーソン殿はわかりませんが、少なくとも私は『生活を良くする』と『一般兵の生存率向上』の提案が陛下に受けています。
そして、個人の武と小隊を率いる統率力、人材収集能力が実績としてあります。」
「ふむ、タケオの言いたい事はわかった。
ま、研究所はタケオを国外に行かせない為に創設した組織じゃ。
次代の事をタケオがそう考えているとするのなら、それを王都に持って行くしかないの。
その通りに動くじゃろう」
エルヴィス爺さんが言う。
「はい。
それは言ってきます。
そして家ですが、王都とはいえ、一貴族をそう簡単に潰せはしないでしょう。
何かしら理由がなければなりません。
なので、次代の当主が研究所所長に相応しくないとなれば、貴族会議に編入されるだけでしょう。」
「ふむ、という事は?」
「残念ですが、エリカの子はキタミザト家は継げませんが、実力があれば研究所の所長になれます。
そして、アリスの子は家を継ぐ権利は存在しますが、実力がなければ研究所の所長には成れずに、王都に引っ越しをする事になるでしょう。
そもそも私とアリスが継がせる意思が弱いので、相応の覚悟と結果を見せてくれないと継がせる気はありませんけどね。
ですが、子供に対する情はあります。
能力が無ければ、陛下に頼んで男爵で留め置いていただき、貴族会議で頑張って貰うしかありません。」
武雄が言う。
「侯爵の父親で子が男爵か・・・周りから何か言われそうじゃの。」
「領地持ちは率いる土地があるので、若輩なので1つの降格を持って、先代の地盤を引き継ぐというのが地域の安定に寄与するでしょう。
ですが、研究所は血での安定は望めません。
能力が無ければ違う事で国家の為になるしかありませんので、出来るかわからない貴族会議に入るのなら一番下が相当でしょう。」
武雄が言う。
「厳しいの。
じゃが、厳しいから研究所の所長が疎まれる事はないか。」
「はい、研究所を存続させ、陛下直属で居続ける為には実力者を配置するしかありません。
王家専属魔法師部隊はそうやって居残っています。」
「ふむ・・・タケオの子の将来は厳しいの。
アリス、エリカ、教育に力を入れるのじゃ。
今のタケオの案に王城は異論は唱えぬじゃろう。
アリスの子が第二研究所を継ぎ、エリカの子が第一研究所を継ぐことが出来るようにの。
強制はいかんが、子供達が腐らぬ程度に仕込まなければならぬ。」
エルヴィス爺さんが言う。
「「はい。」」
アリスとエリカが返事をする。
「ま、貴族以外になりたいというならば、それも良いですけどね。」
武雄が言う。
「その時は、この地の発展に寄与して貰おうかの。
スミスの相談役は何人も居て良いからの。」
「それも相当に結果を出さないとなれない職業でしょうね。」
エルヴィス爺さんの言葉に武雄が言うのだった。
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