第3735話 ローチ工房に行こう。(輸送船が水に浮いています。)
ローチ工房の店の前。
船が浮いていた。
「・・・」
武雄が近寄って食い入るように見ている。
「「大きいですね。」」
アリスとエリカは店先に椅子を用意して貰い、座ってクレーンを見ている。
2人の近くにはクローイやローチの妻が控えている。
「キタミザト様、如何でしょう。」
「・・・」
ローチとダンが武雄の後ろから聞く。
「ええ、面白いですね。」
武雄が輸送船を見ながら言う。
ちなみに輸送船は船尾式の外輪船で平面的に見たら長方形の形をしていた。
船室や駆動室は後方に配置され、船前方にコンテナを横に3つずつ積めるようになっており、ついでにフェリーや上陸用船艇のように船首の板の下部に支点があり、上部は鎖で固定され開閉出来る前面解放可能船になっており、海岸等へも接岸できる仕様になっていた。
明らかに戦争等での人員輸送や馬車をそのまま乗せての輸送まで考慮された仕様になっている。
またコンテナ船とコンテナ搭載の荷馬車の設計を同時にする事によって、
荷台に乗せられているコンテナを横スライド方式で輸送船に積載する事が可能としていた。
もちろん、吊り上げ、下げでの積載も可能。
まぁ・・・夢がてんこ盛りの輸送船を開発していた。
「・・・うん、凄い物が出来ましたね。」
武雄が船体を見ながら言う。
「なんだか、色んな仕様を入れ込んだらこうなりました。
・・・とりあえず、浮きました。」
ダンが言う。
「うん、良くやりました。
ちなみに前面解放をした場合でも水に浮くのですか?」
「浮きますが航行は出来ないと思います。
基本的にはクレーンが無い川岸や岸辺に到着して、荷下ろしをする為にそこを開けるという仕様です。
少々水が入っても大丈夫ですが、水面以下になると沈みます。」
ダンが言う。
「なるほどね。
あとは駆動部か。」
「はい。
外輪船の外輪部分はサテラ製作所が製作して、取り付けは終わっています。
あとは研究所の方の駆動部の完成を待つのみです。」
ローチが言う。
「うちの研究室に伝えておきましょう。
とはいえ・・・人工湖に持って行っての試験も繰り返さないといけないですね。
色々と失敗は出てくるでしょうね。」
「覚悟しております。
製作物というのは失敗が常にあります。
そこを潰しながら製品としての信頼を高める物です。
ここでは浮く事まで確認が出来ましたので、他の確認項目は人工湖に行ってからです。
たぶん・・・現地での補修や設計の見直しもする事になるかと思います。
そういう物ですし。」
ローチが言う。
「・・・楽しくとも辛い日々ですね。」
「これを楽しいと思えないと物作りは出来ません。
まぁ、ダンもクローイもそこは大丈夫そうです。
寝れるかはわかりませんが。」
ローチが苦笑する。
「そこの対処も行ってください。
それに酒に逃げるような事はさせないように。」
「心得ております。
飲酒は嗜む程度に楽しむ物です。」
ローチが言う。
「動くのを早く見たいものですね。」
「それはこれに携わっている者達皆の願望です。
浮いた瞬間は大変でした。」
「一緒に喜べなくて残念ですが・・・ま、出資者としては完成形を見れる瞬間を楽しみに待っています。」
「はい、色々と問題が発生するでしょうから、完成形のみを見てください。」
ローチが言うのだった。
「見飽きないですが・・・アリスとエリカを待たせてもいけませんね。」
武雄が言う。
「では、簡単でありますが、室内で今の状況をご説明します。」
ローチが言う。
「はい、よろしくお願いします。」
武雄が頷くのだった。
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ハワース商会 工場内。
皆が慌ただしく清掃をしていた。
「・・・今はローチ工房か。」
モニカの父親が懐中時計を見ながら言う。
「お父さん!見せられる書類以外はしまったよ!」
モニカがモニカの父親に言ってくる。
「あぁ、それと見せれる製品の用意をしておいてくれ。」
「うん、大丈夫。
職人達に言って応接室に持って来て貰っています。」
「伝える事が多すぎるな。」
「新しくしている事もあるけど、現状を正確にお知らせしないといけないわよね。」
モニカが考えながら言う。
「そうなんだが・・・それと炬燵は良いとして、新しい屋敷の書斎のイメージも聞き出さないといけないな。」
「うーん・・・どういう方向になるか。
内装に壁紙使うかな?」
「今の種類でか・・・なにか新しい意匠を考えないといけないかもしれないな。」
「タンユさんも含めて、社内募集かけますか?」
「うーん・・・素直にキタミザト様達に聞くという手もある。」
モニカの父親が言う。
「聞いて出来るのか・・・出来る事を提示した方が良いと思うんだけど?」
モニカが言う。
「だが、気に食わなかったら言ってくるかもしれない。
で、あるなら最初から聞いた方が心持ちが違う。」
「それは・・・わかるけど・・・」
「そうか・・・モニカ、逃げるなよ?」
モニカの父親が言うのだった。
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