第3325話 418日目 トランプを試作しよう。(まぁすぐ出来るような物ではないしね。)
エルヴィス伯爵邸の武雄の書斎。
夕食を終え、エルヴィス伯爵やアリスとお茶をしてから、アリスが湯浴みに行き、武雄は書斎に居た。
武雄が「エアロ」と「ファイア」で温風を出して、紙を乾かしている。
「んー・・・」
武雄が乾いた紙の表裏を確認しながら悩んでいた。
「タケオ、アリスの湯浴みが終わりました。
もう少ししたら寝室に来ますよ。」
チビパナが現れ言ってくる。
「はい、ありがとうございます。」
「あ、産まれてくる子供達と遊ぶためにトランプをと言っていましたが、試作が出来たのですか?」
チビパナが言う。
「試作・・・なんだけど、水分を含ませてから乾かすので、反り返りがね・・・」
「あー、予想通りになったのですか。」
「ええ・・・んー・・・紙厚?」
「違いますね。
紙という物の性質です。
あれは繊維の集合体。
それが水を含み、緩む。
それを乾かすので、緩んだ状態で乾く。
この流れです。」
チビパナが言う。
「・・・うん、となると・・・水を含ませないで乾かす?」
「印刷や塗装というのがそれに当たりますね。」
「・・・印刷した物や塗布した物は手の汗で滲むというのが普通ですよね。
だから、印刷した物にSL-05液を表面に塗ってみたのですが・・・やっぱりダメでした。
後は・・・濡らした紙を熱々の鉄板でプレス?
ほら、イカ煎餅みたいな。」
「・・・例えが日本人にしかわからないですけど・・・
ですが、印刷物にSL-05液を塗っている時点で滲むのではないですか?」
「でも、少し固くて、手汗でも滲まない物となるとSL-05液を薄く塗布して固めるしかないと思うんですよね。
・・・あ、ラミネート加工は?
紙の上にシートを置いて、熱を加えると紙にくっ付く奴。」
「ふむ・・・そのシートは?」
「・・・SL-05?」
「シートにするのですよね?・・・SL-05は強化プラスチック、FRPのような物です。
それを薄く・・・ですか。」
チビパナが考える。
「シートは出来るかもしれないけど、再加熱でくっ付くかというのは難しいですかね?」
「そもそも均一な物はたぶん出来ないでしょう。
ちなみにタケオの考える製作方法は?」
「クレープみたいにする、もしくは耐火板のように枠に入れて焼く。
・・・薄く作るのは難しいですかね。」
「難しいという他ないですね。
ですが、出来たと仮定するのならば、ラミネート加工のような物は出来ると考えます。
要はシートとシートの間に紙を挟み、紙の縁から数ミリの所にSL-05液を塗布し、張り合わせてから加熱する事で張り合わせが出来るでしょう。」
「・・・シートの薄さと表面の均一性・・・ですか。」
「それと製作過程の埃対策を少し考えないといけないでしょう。
タケオが知るラミネート加工も空気や大きな埃が入れば、仕上がりにムラが出来るでしょう?
その予防対策は必須です。」
「ふむ・・・トランプ製作も難しいなぁ。
となると、ラミネートは研究するとしても、トランプを作るのなら滲まない塗料を開発して、紙に印刷した方が良いとなりますか。」
「まぁ、そうですね。
木版画を作るのですから、塗る塗料を変えるだけで、一応はトランプのような物が出来るでしょう。
滲まないようにと考えるのなら油性塗料というのもありますね。」
チビパナが言う。
「油性塗料か・・・ふむ・・・わかりませんから、これは今後の課題ですね。」
「ええ、そうですね。
うん?アリス達が戻ってきましたか。」
チビパナが言うのだった。
・・
・
「うーん・・・タケオ様、このトランプというカードを作るのですか?」
アリスが武雄に髪を乾かして貰いながら武雄のメモを見ている。
「ええ、作りたいなぁと。
でも失敗したので、気長に研究していきますよ。」
「カードですか・・・コノハ、わかりますか?」
「わかるよー。
トランプ自体は印刷技術が高まれば作れるから、物自体は出来るだろうね。
問題は耐久性・・・タケオが考えるように耐久性向上はしないと遊びの幅が狭まっちゃうかな。
現行の考え方だと中々良い手がないのも確かだよね。」
チビコノハが言う。
「ふーん・・・タケオ様、滲んでも良いのでトランプを作ってみてはどうですか?
後はその作る所に依頼して、改良をして貰って・・・
まずは作る事、発表する事が重要だと思います。」
アリスが言う。
「ふむ・・・どこに頼むか・・・」
「タケオ様の要望を聞くとなるとハワース商会ですかね?」
武雄が考えるが、アリスが言ってくる。
「あそこには頼み過ぎているし、今もして貰っているんですよね。」
「でも、木版を使った印刷をハワース商会に説明しているんですよね?
前にそんな報告を夕食後に聞きました。」
「そうですね。
んー・・・ハワース商会に依頼して、どこかに投げて貰うか。」
「それが一番楽じゃないですか?」
武雄の呟きにアリスが頷くのだった。
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