第2729話 ヴァレーリと武雄の雑談。2(大砲と対物ライフルの取り扱い協定。)
「ドラゴンのブレスの再現・・・ですか?」
武雄が聞いてくる。
「あぁ、まぁ威力は出せるようになったんだが、運用面が大変でな。
魔法具が重くて展開が遅いし、魔力は魔法師10名分は使うし、放てるまで充填させるのに時が掛かるし、そのくせ1回放つと打ち出す筒が真っ赤になって交換が必要ときたもんだ。
課題が多くて困る。」
ヴァレーリが呆れながら言う。
「まぁ、門とか城に近づかずに突破口を作ることを目的としていますしね。」
アンナローロが言う。
「・・・タローマティさん、居ますよね?
少し聞きたい事があるのですが。」
「うん?あ!」
「ご容赦ください!」
ヴァレーリが首を傾げるのと同時にチビタローマティが机の武雄の前で土下座姿で現れる。
「・・・いえ、別に国家の事ですから私が何か言う事はありません。
ですが、銃等の兵器は量産化について、前に打ち合わせをしたように思いますが?」
「はい、その際に剣と魔法が好きだからという事で、銃器に関しては趣味に留めて頂けると・・・いう話でした。」
「そうでしたね。
魔王国で大砲をねぇ・・・量産化は?」
「あれほどの費用をかけてまでとは・・・今後とも基本は1個中隊の8個小隊が1つずつ運用するに留めると考えます。
事実、予算上では部品等の現状維持費用が含まれています。
それと小型化は予定もありません!」
「なるほど、現状維持ですか。
大砲かぁ・・・
流石にアズパール王国での研究開発は難しい分野でしょうけど・・・ダニエラさんが言うには魔王国の魔法師ですら10名使うというのならアズパール王国は・・・予算的、人員的に無理だろうなぁ。
ねぇ、タローマティさん、対抗兵器って国家間では必要だと思いませんか?」
「うっ・・・キタミザト殿の言ではアズパール王国では同程度の物の開発は難航するのでは?」
「それはそうですけど・・・対物ライフルとか?」
タローマティの質問に武雄が考えながら言う。
「んんっ!?」
タローマティが冷や汗をかく。
「前にお会いした時にウィリプ連合国にバロールという精霊と契約しているルイ・セイジョウと会ったと言いましたよね?」
「はい!言われました。」
「彼、小銃持っていたんですよね。」
「何ですって!?
・・・キタミザト殿、小銃は手に?」
「そのルイ・セイジョウから少し強引に本体は手に入れていますが、弾丸がね・・・
今は趣味で研究中です。
この研究を少し進めるとするしかないのかぁ・・・対物ライフルは無理でも小銃を装備させれば少しは戦術の幅が広がるかなぁ。
でも対抗するには対物ライフルが良いかも。」
武雄が難しい顔をさせながら言う。
「キタミザト殿!その!趣味を放棄は?」
「・・・大砲に対抗するには対物ライフルの開発は必要と思いますが?
タローマティさん、大砲が戦場に出て来た際にそれを壊せる兵器を私達が持っていないと・・・違いますね、私達の手元にあると思わせとかないといけないというのは我が国として当然の考えでは?
展開したら壊しに行くと言っておけば、おいそれと私達の前に揃えられませんよね?
それは私達もですけどね。大砲が出てきたらどうしようもありませんから。
相互抑止というのは大事ですよね。」
「ううっ・・・」
「もう一度聞きますが、対物ライフルは確かに威力としては大砲に劣りますが、取り扱いのしやすさから現状において、貴国への脅威になると思いませんか?」
「キ、キタミザト殿、こちらは1個中隊の8個に留め、今後も小型化しない事としますから、対物ライフルのご趣味での開発破棄は望みません!ですが、アズパール王にはご内密に出来ないでしょうか!?
出来れば!装備をキタミザト殿の部隊のみにして頂けないでしょうか。
もちろん、この大砲はキタミザト殿側に配備はしません!」
タローマティが言う。
「んー・・・」
武雄が考える。
「・・・あー・・・タローマティ、どうしたんだ?」
ヴァレーリが口を挟んでくる。
「国家間の脅威になり兼ねない交渉です!
今なら魔王国としてではなくて、私とキタミザト殿のやりとりで済みます。
この方には時を与えてはいけないのです!」
タローマティが言う。
「そ、そうか。
あー・・・キタミザト殿、今の流れではうちの第5軍のドラゴンのブレスの再現装置が威力があって脅威があると考えられるから、キタミザト殿が対抗兵器を開発すると言い出した。
タローマティがこっちはこれ以上開発しないから、キタミザト殿も国家としてではなく、趣味の研究に留めて欲しいという事か?」
ヴァレーリが武雄に聞く。
「概ねはそうですね。
国家として研究をするのではなく、個人の趣味とその実験という事で試験小隊程度の配備にして欲しいと。
なので、この事をアズパール王国に報告する際には過度にしないでくれと言う事ですね。
要は『互いに軍事兵器競争を控えて、戦地で偶発的な衝突にならないように持って来ないようにしませんか?』という事ですね。
まぁ、私達アズパール王国の方が弱いのですから、その言はありがたいのですけど・・・
流石にドラゴンのブレスを再現出来るとなると隣接国としては何かしないといけないと思うのです。
ですが、未来永劫、今のままの数と言うのも難しいでしょうし、5軍の方々は改良もしたいでしょう。
なので、提案は無理難題のような気がします。」
武雄が言う。
「なら、そうだなぁ・・・30年でどうだ?」
ヴァレーリが言ってくる。
「うん?どういう事ですか?」
「我らは研究はするが、8個以上を装備しないし、アズパール王国側に配備しない。
アズパール王国が本格侵攻して来たら使うがな。
対して、キタミザト殿の方も研究をして良いが、国家としての配備はせずに、キタミザト殿個人とまぁ、試験小隊のみの配備しかしないと。
通常は使わない、もちろん我らが本格侵攻したら使って良いがな。」
ヴァレーリが言う。
「ふむ・・・いえ・・・そこまでの制約はしなくて良いです。
とりあえず、私は対物ライフルを完成させていただきます。
大砲も対物ライフルも戦地で使おうが使うまいがそれは国家の判断ですので、そこに制限を設けては両国内で反発が出かねません。
ですが、あまり多すぎると私が国内をまとめられそうにありません。
なので、戦地に8個以上を持って来ないとしてくれるなら・・・いえ、配備数に制限を設けて頂けるのなら、対物ライフルという兵器は開発させて貰いますが、その配備は研究所の試験小隊とうちの家の者ぐらいで留めます。
そうする事で、王軍の方が大砲を戦争に持って来ても、それを破壊する術を私達は持っているので不用意な攻撃を避けられると思います。」
武雄が「もう使っているし、このぐらいが良いよね」と思いながら言う。
「わかった、少なくともアズパール王国との戦争では8個以上を持って行かない事を30年続けるように皆に厳命させよう。」
「ありがとうございます、
では、私の方の対物ライフルという兵器の開発に成功しても試験小隊とキタミザト家のみの配備に留めます。
それに対物ライフルが出来たら魔王国幹部に見て貰いましょう。
威力を見て欲しいですからね。」
「わかった、次期国王や王軍幹部達に伝えておこう。」
「よろしくお願いします。」
ヴァレーリと武雄が頷くのだった。
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