第2726話 334日目 エルヴィス爺さん王都に向け出立。(あ、国境で何かがあったらしい。)
早朝のエルヴィス伯爵邸の玄関。
エルヴィス家の馬車とコンテナ搭載馬車2台(ベアリングなしの通常の足回り型)、エルヴィス爺さんが戦場に持って行った特殊コンテナ搭載馬車(個室)が横付けされていた。
「あー・・・行くのが面倒じゃの。」
エルヴィス爺さんが空を見上げながら呟く。
「伯爵!行くよ!」
ビエラが伯爵の背を軽く押している。
「ううむ・・・」
ゆっくりとエルヴィス爺さんが馬車に押し込まれていく。
「アリス、後を頼むの。
フレデリックとヴィクターが居るから大丈夫だろうがの。」
「はい、お爺さま、いってらっしゃいませ。
こちらはお任せください。
彩雲達によって毎日、ご連絡を入れます。
お土産は望みませんので、無事に戻ってきてください。」
アリス達は綺麗な礼をしながら言う。
「アリス、綺麗な礼をするのも良いが、お腹に障るだろう。
アリスは無理せずに運動しておくのじゃぞ。」
「はい、わかりました。
レイラお姉様達によろしくお伝えください。」
「うむ、ま、ひ孫に会えるのは楽しみじゃの。
さて、行くかのぉ・・・あぁ、よっこいしょ~・・・」
エルヴィス爺さんがのんびりと馬車に乗る。
「ビエラちゃんも毎回ありがとうございます。」
「大丈夫!任せて!
タケオの方はリーザ居るし。
王都に着いたらこっちに戻って来るね。」
ビエラが言う。
「はい、お願いします。
戻って来たら米料理ですね。」
「カレーで。」
「はい、なら、カレーを用意しましょう。」
アリスが頷く。
「おお!アリス、いってきます。」
ビエラも馬車に乗り込み、兵士達が出立の最終確認を始める。
「マイヤー殿達もお気をつけて。」
コンテナ搭載馬車の御者台に座るマイヤーにアリスが声をかける。
「はい。
まぁ、今までのどの移動より緊張感は薄いんですけどね。」
「確かに、これまでは私達のみでしたからね。
他の兵士方と一緒はほぼ無かったですし、警戒という点では少し低く出来ますからね。」
マイヤーの隣に座るブルックが言う。
「それに今回はオーク狩りをしないからな。」
「あー、所長が居ると夕食までは実地訓練ですからね〜。
子供達は物足らないかもしれませんね。」
「その時はその時で軽く走らせれば良いだろう。」
マイヤーが言う。
「戦闘をしないと物足らないというのは・・・随分と短期間で若手らしくなりましたね。」
アリスが言う。
「はい、無事に新兵は卒業出来ました。
少々腕に覚えも出来て隙が出来る頃ですので、王都で厳しい訓練を体験させようかと。」
「あ、王都守備隊の訓練場でスミスとジーナちゃんがお世話になっていますので、総長殿によろしくお伝えください。
後日、キャラメルをお送りすると言っておいてください。」
「はい、わかりました。
第八兵舎に送れば確実に届きますので。」
「いえ、ジーナちゃん宛に送って持って行って貰おうかと。」
「あ、なるほど。
それもありですね。
では!子爵夫人アリス様、行ってまいります。」
「はい、主人の名代をお願いします。」
アリスが軽く頭を下げてコンテナ搭載馬車から離れるのだった。
・・
・
「出立!」
号令とともにエルヴィス爺さん達が出立して行く。
「・・・」
アリスやフレデリック、ヴィクター達は頭を下げ、見送りをしていたが、門を出た辺りで頭を上げ、屋敷内に戻って行く。
玄関内では夕霧が居た。
「ん、アリス、ちょっと間が悪いですけど、報告です。」
「なら、客間で聞きましょう。」
アリスは夕霧やフレデリックと共に客間に移動するのだった。
・・
・
エルヴィス伯爵邸の客間にて。
「アリス、魔王国との国境を馬車が1台通過しました。」
夕霧が言う。
「関をではないのね?」
「はい、道なき道をです。
確認出来たのは人間種が2名、首輪をした者達が5名です。
1日前の情報です。
もうすぐ道が終わります。
降りた場所から割と近くに、フレデリックが事前に用意していた小屋があります。
行く可能性があります。」
夕霧が言う。
「ふぅ・・・お爺さまが出立した後にこの報告かぁ。
でも、確か奴隷商の拠点一斉強襲の予定日より随分と空きましたね。
ヴィクター、どう思いますか?」
「道中、息を潜めながらという事でしょう。
フレデリック様、例の森小屋には1週間分でしたか?」
「ええ、急造の小屋内に4名分の食料が1週間は生きれるだけの干し物は置いてありますが・・・7名ですか。
少し多いですね。」
ヴィクターとフレデリックが言う。
「夕霧ちゃん、スライムは付いていますか?」
「ん、スライムが5体で監視中。
1体が報告に、少なくなったら増えて監視中。
現地に向かうならアマギリを連れて行ってください。」
「天霧ちゃんはもう出せるの?」
「ん、ハツユキの代わりに研究所で地図を書いていましたが、外で歩く練習もさせないといけないです。
それにサイウン達は地図作成を一旦、中止して伯爵とジーナとのやり取りに集中するから暇になります。」
「わかりました。
フレデリック、すぐに取り締まりに行った方が良いでしょう。
町には行かせずに当初の予定通り、保護後は関で待機して貰ってください。」
「了解しました。
ですが、天霧様を連れ歩くには面子が微妙ですので、今回は案内出来るスライムを多く頂いて、導いて頂きたいと思います。」
「そうですか。
夕霧ちゃん、それで良い?」
「ん、フレデリックの言葉の通りで場所がわかるスライムを多く待機させておきます。
スライムは関に集めれば良いのですか?」
「はい、関に居る兵士に対応させ、その穴埋めはこの地の兵士を向かわせます。
なので、スライムを目にしている者達ですので、大丈夫かと思います。」
「ん、了解しました。」
夕霧が言う。
「ヴィクター、タケオ様宛にシモーナさん経由で手紙を。
戦争中でしょうから・・・ブリアーニ王国のカールラ殿宛に送りましょう。
そうすれば何かしら反応があるでしょうからね。」
「畏まりました。
ブリアーニ王国宛に緊急の手紙を送付して頂けるように準備します。」
ヴィクターが頷くのだった。
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