第2723話 研究室の雑談。(ジーナ、総監局に行く。)
「で、諸々の用事を済ませたら奥様のご実家に行くのですか?」
「うん・・・それが一番、緊張するよ。」
鈴音の言葉にトレーシーが頷く。
「まぁ、妊娠しましたし、アリスさんの子の乳母をされるんでしたよね?」
「うん、その報告をね。
伯爵様とアンダーセンが一緒に来てくれるから割と安心なんだけど・・・どうなることやら。」
「頑張ってくださいね。」
「うん。
ところでスズネさんが今やってるのは動力部の改造かな?」
「そうですね・・・先日実施した2号機の試験はアレでしたし。」
「うん、羽というのを付けて空気を当てて冷やすというやつね。
飛んだけど。」
「ええ、まさか駆動部の微振動によって留め金が破断して羽が飛ぶとは思いませんでした。」
トレーシーの言葉に鈴音が笑いながら言う。
「今は笑えるけど、飛んだ時は驚いたね。」
「ですねー、飛ぶとは思いませんでした。
たぶん、ぎっちり固定させたからとも思えるので、ある程度振動しても良いように遊びを作るのと、飛び出そうという方向に当たる金具との隙間にゴムを入れてみようかと思います。
戻られる時までに改良はしておきます。」
「うん、工房と連絡を密にね。
他にもいろいろするんでしょ?」
「そうですねぇ、ナプキンの改良会議とか玄米精製機の改良とか冷蔵箱の改良もありますね。
ゴムの靴底の会議もあったと思います。」
「あー、うちのもスニーカーの履き心地が良いと言っていたね。
口コミで広がっているみたいだね。」
「売れていて何よりなんですけど、紳士用の革靴にどうやって入れ込むかという話になっているそうです。」
「靴底全部をゴムにするのではなくて?」
「ええ、アンケートを取ったそうなんですけど、意外と革靴の底を気にする人がいるようなんです。
ま、どちらかというと立っている時に見える所がという事らしいんです。」
「ほぉ、そうなんだね。
つまり、見た目は今まで通りで靴の裏を見るとゴムがあるという風にしたいんだね。」
「はい、はめ込みが出来ないかという事らしいです。」
「ふむ・・・なるほど。
確かにそれなら滑らなくて見た目も変わらないのが出来るかもしれないね。」
「はい、ただ、どうやってはめ込むかというのと、はめ込むゴムの大きさをどうするかというのがわからないので会議だそうです。
まぁ、他にも何かしらしておきます。
盾の方はどうしますか?」
「僕の方は終わって、試作はステノ技研に頼んだから戻って来たら試験だね。」
「丈夫な盾の方でしたか?」
「違いますよ、当初のは今回の戦争で試験運用していて報告は来ているから、そっちの改良は移動中に考えてみるよ。
今、依頼しているのは陣を守る際は3枚を連結し、移動しながらの戦闘時には1枚で片手盾に出来るやつ。
まぁ補強用で鉄板の細い板を使っているから・・・何とかなるとは思うけど。
王城でその辺の盾の運用方法の聞き取りもしてくるよ。」
「分割式のやつですね。
何か重大な問題がない限り、見ているだけにしておきます。」
「ええ、お願いします。」
トレーシーが頷くのだった。
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王城 総監局内の小会議室。
王城に来たジーナはエルヴィス爺さんが来た際に泊まる部屋と会談する場所を押さえる為、総監局に書類を出しに来たのだが、ジーナが総監局に入って来た所を幹部が会議室に通していた。
で、そこには総監局長や総監部最上級幹部達が居た。
「・・・あの~・・・総監局長?」
ジーナが会議室の入り口で固まっている。
「ジーナ殿!この度はお越し頂いてありがとうございます!」
総監局長が頭を下げる。
「え・・・あのぉ、私エルヴィス伯爵様がご滞在する日程で部屋を取りたいと思って。」
「はい!処理させましょう。
書類はありますか?」
「はい、ご主人様・・・キタミザト子爵の際と同じ書類を用意していますが。」
「おい、持って行って処理してくれ、最優先事項としてだ!」
総監局長が部下に命じるとジーナから書類を受け取り、退出して行く。
「あ・・・そのぉ・・・」
「はは、すぐに処理させましょう。
なので、お座りになってお待ちください。
そこに席がありますので。
ささっ、どうぞ。」
総監局長が空いている席を勧める。
空いている席は1席しかなく、総監局長の対面なのだが。
「・・・」
ジーナがちょこんと座る。
「いきなりではありますが・・・ジーナ殿、陛下から内々に我ら総監局に指示が出ました。」
「・・・どの件でしょうか。」
「我々に指示が出たのはスミス殿の件です。」
総監局長が言う。
「・・・この度はご迷惑をおかけします。」
ジーナが頭を下げる。
「いえいえ、スミス殿もジーナ殿も何も迷惑はかけておりません。
それにエイミー殿下との事は前々から私達は準備していましたので、大丈夫です。
なのですが・・・」
「アン殿下ですか?」
「はい、それで・・・エルヴィス伯爵殿とスミス殿、エイミー殿下はいつ面会をされますか?
その部屋取りという事で今回来られたのですよね?」
「はい、スミス様とエイミー殿下は10日後の10月8日と考えておいでです。
立ち合いは伯爵様、スミス様、エイミー殿下、私とエイミー殿下のお付きの方です。
エルヴィス伯爵様は10月6日に王城に到着予定です。」
「なるほど・・・なるほど・・・」
総監局長が考えながら頷く。
「アン殿下に何か?」
「いえ、何も。
今回の王族方の婚約は私達総監局は異議を申す気はありません。
エイミー殿下もアン殿下もご自身で決められたのでしたら私達は何も言いません。」
「・・・何かあったのですか?」
「10日後という事であれば、ニール殿下とクリフ殿下も王城に到着されています。」
「それは・・・随分と早すぎませんか?
ニール殿下にエイミー殿下の手紙が届くのは2日後、クリフ殿下に至ってはアン殿下が手紙を出しているかも定かではないです。」
「陛下の指示は両殿下を呼ぶという事で、馬で来させるという事でした。」
「それは・・・大丈夫なのですか?」
「第1皇子一家にはセリーナ殿下とクラリッサ殿下がいらっしゃいますし、第2皇子一家はリネット殿下とクリナ殿下が居ます。
それと陛下の指示で、第1騎士団より2小隊ずつ屋敷警護に向かわせよとの指示が出ています。」
「そう・・・ですか。
スミス様にお伝えしても?」
「ええ、エイミー殿下にもお伝えを。」
「わかりました。」
ジーナが頷く。
「それと陛下からとある案件で資料を作るように言われているのですが、ジーナ殿の意見をお聞かせください。」
総監局長がにこやかに言う。
「はい、なんでしょうか。」
「実は・・・」
総監局上層部とジーナとの打ち合わせは続くのだった。
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