第2718話 エイミーとグレースは寄宿舎に向かっています。(とりあえずグレースは第1関門通過かな?)
王家の食事会を終えて、エイミーとグレースが別室に控えていたドネリーとバウアーと合流し、寄宿舎に向かっていた。
食事前のアズパール王とアズパール大公の話で、グレースは味がわからないほど緊張を強いられていたようで、足取りも重く向かっている。
「・・・グレース、これが政争よ。
私達の意思とは関係なく、決まっているという事は往々にしてあるという典型ね。」
エイミーがグレースに言う。
「はい・・・陛下の言いようでは今決めなければ、王城の文官達に決められていたという事がわかりました。
エイミーお姉様が必死になっていたのも・・・今ならわかります。
でも、文官達もエイミーお姉様はスミスの所と最初から決めていたのですね。」
「・・・ほら、私は・・・お爺さまと父上がスミスの所に私が行けば面白いと言い出していたし、キタミザト家夫妻も暗に認めると言っていてくれたからね。
文官達も両家が何も言わないならと考えていたんでしょう。」
「・・・あと半年遅かったら、文官案もあったのでしょうか?」
「今更何を言ってもねぇ。
だけど、国王に上げられたという事を考えるとね。」
「はい・・・クリナは平気でしょうか?」
「あ、それは大丈夫だと思うわよ。
アズパール大公も言っていたけど、私達の婚約は都合が良いのよ。
本人達が選んだという事も相まって、皆が認める方向に動くでしょう。
その中で、クリナは自分が行きたい所を選べば良いだけよ。
お爺さまも本人の意思に任せると言っていたしね。
あとは皆でその結果がどんな良い結果に繋がりそうかを議論するだけよ。」
エイミーが言う。
「はぁ・・・王族の婚約がこうも色々と繋がるとは思いませんでした。」
「むしろ繋がっていないと思えるグレースが私には信じられないけどね。
まぁとりあえずグレースはカイルを育てなさい。」
「エイミーお姉様がスミスを育てるようにと?」
「・・・スミスはもう領主としての意識は持っているわ。
あとは知識と行動力が伴えば何とでもなるわよ。
カイルはこの間まで騎士団の息子よ?
貴族会議で貴族や文官達ともやりあう事を考えれば、色々と王立学院外の事も教えないといけないでしょう。
その分野はアズパール大公とグレースが担いなさいよ。
アズパール大公がさっき将来の議長にさせるとか言っていたけどね。
あれ・・・大変そうよ?」
「はぃ・・・」
「議長への資質とはどういった物かはわからないけど・・・今回の一連の婚約は新貴族の台頭と昔から居る者達には映るでしょうね。
非協力的な家は出るでしょうね。
それはそれで使えそうだけど・・・」
「・・・エイミーお姉様はエルヴィス家ですから代々続く家では?」
「タケオさんがいるからねぇ。
ま、私は王都から立ち去るからグレース、後をよろしくね。」
「簡単に言われますね。」
「立ち去る人間がいつまでも政策とかしてちゃダメでしょう。
私は王都に居る間はのんびりとさせて貰うわ。」
「エイミーお姉様がのんびり?・・・ですか?」
グレースが首を傾げながら聞く。
「・・・皆、私の事なんだと思っているのかしら・・・」
エイミーが呆れる。
「黙秘権を行使します。」
「なんの秘密よ。
・・・で、グレースは午後は何するの?」
「カイルと・・・ボールド家に挨拶を・・・」
「アズパール大公が良く放してくれたわね。」
「少し条件が付きまして・・・そこはカイルと何とかしようかと・・・」
グレースが目を右往左往させながら言う。
「ふーん、巻き込まれたくないからこれ以上は聞かないわ。
2人で決めたんなら何とかしなさい。」
「はぃ・・・どうしてもダメな時は相談します。」
「・・・気になるけど、今から手を貸したらグレース達の試練にならないからなぁ。
いざとなったら相談には乗るわ。」
「はぃ・・・」
「あ、そうだ。
ボールド男爵に会うなら回復ポーション持って行きなさいよ?」
「か、回復ポーションですか?」
「ボールド男爵は、ついこの前まで騎士団長よ?
その長男が王族の姫を手籠めにしかけておいて・・・元騎士団長の新貴族として、カイルの親として手が出ないと思う?」
「み、未遂です。」
「私が居なかったら完遂してたでしょうに。
まぁ、用心はしておいた方が良いわ。
2個ぐらい持って行きなさい。」
「わかりました。
・・・夕食、外で取ってきます。」
「説教がどのくらい続くかわからないからなぁ・・・1つの想定としては、ボールド男爵がアズパール大公の所に謝りに行くというのもあり得るのよねぇ・・・
今日は帰ってこれないかもね。」
「覚悟は・・・しています。」
「グレースもカイルも誠心誠意、アズパール大公とボールド男爵に訴えるしかないでしょ。」
「まぁ、そうなのですが・・・はぁ・・・昼前の時点で疲れました。
・・・エイミーお姉様はそんな気苦労がなくて良いですね。」
「私はまだだからね・・・10日後エルヴィス伯爵が来るわよ。」
「エイミーお姉様の方が楽そうです。」
「楽かどうかはわからないけど、アンと私だからなぁ・・・エルヴィス伯爵が何を言うか・・・
スミスやジーナを見ていると大丈夫だと思う反面、会った事ないからどんな方なのかわからないし。」
「エイミーお姉様でも会った事ないのですか。」
「記憶にないわ・・・昔にあるかもしれないけど、挨拶程度だろうし・・・
あと、父上がどう出るかもわからないのよね。」
「ニール殿下はお認めになっていると聞きましたが。」
「ええ、だけど・・・動き過ぎるような気がするのよ。
エルヴィス伯爵が困らないようにしないと・・・」
「エイミーお姉様は違う方向で苦労しそうですね。」
グレースが呆れるのだった。
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