第2717話 王家の食事会。(アズパール王が弟とやり取りをする。)
王城内のとある部屋。
王都に居る全王家が集合して、食事会が行われていた。
参加者はアズパール王、第1皇子一家のローナとパットとアン、第3皇子一家のウィリアムとアルマとレイラ、第2皇子一家のエイミー、アズパール王の弟のアズパール大公のフィル・ジョン・アズパールと孫娘のグレース。
「フィル、そう、怒るな。」
「兄上、私は怒ってはおりません。」
アズパール王にアズパール大公(以後、フィル)が言う。
「そうは見えんが・・・孫娘が婚約者を決めたんだろう?」
「今朝、いきなり来て報告されましたよ。
まったく・・・」
フィルが呆れながら言う。
「どうだった?」
「何が?」
「いや、言われて。」
「驚きと驚きと悲しみと怒りと驚きですが?」
「驚きが多いな。」
「当然でしょう、なんの前触れなくですからね。
兄上はどうなんです?」
「我は前からエイミーがエルヴィスを好いているのは知っていたからな。
進捗はちょくちょく聞いていたし。」
「恋愛に進捗を求めたんですか?
兄上も性格が歪んでますね。」
「それが王の務めの一つだよ。
悪いとは思うが、知らないといけない事だからな。
で?どうするんだ?」
「何が?」
「グレースとボールド男爵の長男とだよ。」
「・・・認めるしかないでしょう。
はぁ・・・いろいろと流れを飛ばしてくれて・・・」
フィルがガックリとさせながら言う。
「はは、グレース、良かったな。
フィルも認めてくれたか。
我も認めるからな。」
「はぃ・・・陛下、ありがとうございます。」
アズパール王に言われてグレースが顔色悪くさせながら頷く。
「なんだ?グレースの顔色が悪いな。
フィル、何したんだ?」
「なにもしておりませんよ、兄上。
まったく・・・」
フィルがそう言い、出されたワインに口を付ける。
「ふーん・・・グレース、あまり無茶な要求をされたのなら我に言うんだぞ。
孫娘が選んだ嫁ぎ先に無理難題なんて相手に悪いだろうからな。
これ命令。」
「はい、わかりました。」
グレースが頷く。
「さてと、フィル、言いたい事があるだろう?」
「何個もありますが、あとで兄上と話します。」
「いや、ここで話せ。
王家一同を前にな。」
「はぁ・・・まったく、兄上も人が悪いです。
私が悪者になりそうです。
・・・まぁ、グレースの嫁ぎ先は良いです。
貴族会議の長への道を辿らせましょう。
アンとエイミーの嫁ぎ先がエルヴィス家というのもいろいろと考えると重要な事でしょう。
あそこの領地は発展を始めておりますからね、その恩恵は王家にとって良い事でしょう。
それに対魔王国の情報取りにキタミザト家とエルヴィス家が躍起になっていて、成果があったと伺っていますからね。
アンとエイミーもその一員として動けるのであれば戦力になるでしょう。
パットの正室もまぁ・・・良いですけど。
問題はクリナの方です。
役割がアンとエイミーと同等という事は、バビントン家にエルヴィス家のようにカトランダ帝国の情報を取りに行かせるのですか?
キタミザト家、エルヴィス家のような実績は聞かないのですが?」
フィルが聞いてくる。
「ふむ・・・それは少し違うな。
エルヴィス家はキタミザト家と研究所の監視と相談をしているのだ。」
「ということはカトランダ帝国への情報を取るのは第一研究所のアルダーソン家と?」
「あぁ、キタミザト家までの成果を望んでないが。
まずは伝手を作らせたいと考えている。
カトランダ帝国と魔王国には外交局と研究所の2通りの外交窓口を用意したいとな。
バビントン家はその内容の助力をさせたい、もしくは王家が動く際の連絡だな。」
「・・・2通りの外交窓口は危険ではないですか?」
「それは考え方次第だよ。
外交窓口を1つにするから安全という訳ではないし、2つだから必ずしも相反する内容が報告される訳ではない。
人だけでなく国家間においても本音と建前がある、研究所の方で本音を引き出しておきたいんだ。」
「まぁ、兄上の言っている事はわかりはしますが・・・」
「実績がないのなら、なおさらさせねばならんよ。
誰かがしなきゃいけないんだ。
なら、しがらみが少ない所にさせた方が良いだろう。
事実、しがらみがまったくないキタミザト家は成果を出してきた。
先も言ったが、そこまで求めなくとも何か別の窓口を第一研究所に作らせたいと思っている。」
「そうですか・・・なら他国に2通りの窓口案は何も言いません。
で、孫たちの嫁ぎ先ですが・・・本当に何も?」
「我は孫達に強要は一切していない。
現にクリナはまだ早いとバビントンの所の長男との面談は断ったそうだからな。
王家の人員を大人の思惑で動かす気は我にはない。
たまたまそうなっただけだ。」
「本当にそうなのですか?」
「あぁ、断じて強要はしていない。
たまたまアンとエイミーがエルヴィスを好きになり、グレースがボールドを好きになっただけだ。
パットもな。
そこに後付けで何が出来るのかを考え出しただけだ。
思いのほか都合が良いというのは後から考えたのだから良いのは当然だよ。」
「そうなのでしょうか・・・」
フィルが訝しがる。
「フィル、本当を言うとな。
文官の中には、パットの正室はウィリプ連合国の我が国と面しているファルケ国の娘が良いという者も少なからず居たんだよ。
それにアンは貴族会議の貴族の息子、クリナは西側の領主の息子、グレースは南側の領主の息子にという王城にとって良い案があったんだよ。
あ、エイミーのエルヴィス家は確定だったな。」
アズパール王の言葉にその場の王家一同が固まる。
「・・・兄上、過激ですね。」
「行った先において、人質と取るか友好ととるかは人に寄りけりだがな。
だが、その案も良し悪しがあってな・・・まぁ、この案は第1皇子一家からパットの正室候補や孫娘たちからの報告で廃案だがな。
我は孫達の意思を尊重したいんだよ。」
「そうですか・・・本人達が選んだと言うのなら、この件ではなにも私は言いません。」
フィルが頷くのだった。
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