第2714話 エルヴィス伯爵とマイヤーの打ち合わせ。(王都には研究所皆で行こう。)
エルヴィス伯爵邸の客間。
マイヤーとヴィクターが来ていた。
「ふむ・・・第二研究所からはマイヤー殿と試験小隊、トレーシー研究室長か。
スズネ殿以外が皆でという事じゃの。」
「はい、試験小隊の方はコンテナ搭載馬車の運搬もそうですが、伯爵様が向こうで所用を済ませている間に王都守備隊と交流をしておこうかと考えております。
戦争の余韻が残る間にもう一段上の組織の訓練を一度体験させてやりたいと。」
「ふむ、新人教育も兼ねるのか。
確かに戦争体験後の訓練は各員が伸びるというのはわしらの方でも経験があるからの。」
「はい、使わない手はありません。」
「うむ、試験小隊はそうじゃが、マイヤー殿は陛下にかの?」
「はい、所長が不在ですが、王城に行くのであれば誰かしら報告をしないといけないでしょう。
今の陛下でしたら私でも報告は可能です。
それで報告内容を伯爵様に確認をお願いしたいと思いまして、持参しました。
伝えられない所は、ぼかしてはいるのですが、一度、確認頂きたく。」
マイヤーが冊子をエルヴィス爺さんの前に置く。
「うむ、わしとしても試験小隊の動きをおさらいしておいた方が良いじゃろうの。
どうせ、陛下との話し合いで聞かれるだろうしの。
今日の夕方までには内容を確認して、研究所に持って行かせよう。」
「ありがとうございます。
それとトレーシーの方は王家専属魔法師部隊や総監局と打ち合わせをさせます。
コンテナの説明です。
もちろん原材料の話はしませんが、SL液の説明です。」
「ふむ・・・まぁ、売り込むのであれば、説明は必要じゃの。
どういう感じにするのかの?」
「はい、エルヴィス家が開発した魔物から抽出した体液とのみ伝えようかと。
何もない所から出て来たというのは流石に説明出来ません。
エルヴィス家およびキタミザト家の超極秘に付き、原材料の発表は両家当主のサインがなければ出来ないと。」
「ふむ・・・わしへ何かありそうじゃが・・・ま、タケオが居ないので勝手に公表は出来ないと突っぱねるしかないの。
それに強引に来るのであれば、売らなければ良いだけじゃしの。
原材料を聞かない客にのみ売れば良いだけじゃ。」
「はは、伯爵様もお人が悪い。
この性能の板が他で手に入る訳ありません。
現時点では鉄板以外で我が国で手に入る最硬度の板でしょうに。
それに補修のしやすさもありますので、総じて良い素材です。」
「ふふ、持てる者というのはこういう感覚なのじゃのぉ。
わしらは今まで無かったから、かなり嬉しいのじゃがの。
・・・ま、板の販売は出来たらすれば良いというのが本心じゃ。
わしは今の所、公表する気はないの。
夕霧達の保護をしっかりとして、共栄共存の為の信頼を勝ち取りたいからの。
板を売りたいから、売り上げを伸ばしたいからと無理やり働かせるとか論外じゃよ。」
「はい、我らも伯爵様や所長の考えに賛同いたします。
初雪殿達の索敵能力には助けられておりますので、彼女らの自由意志を無下にするような政策は賛同いたしかねます。」
「うむ、ならば、SL-05液の販売のみしてくるのが良かろうの。
一応、報告書を持って行かせる際に、我が家から市場に卸している値段の表を持って行かせよう。
今後、王都の街中に出すような事になるのなら、我が家からもと考えられるが、今はキタミザト家対応としておいてくれるかの。
ヴィクターと話をして、王都への卸値を決めれば良い。」
「畏まりました。
王城への販売はキタミザト家がとりあえず担当するようにヴィクター殿達に報告し、先方にも報告します。
ヴィクター殿、大丈夫でしょうか。」
マイヤーがヴィクターに聞く。
「大丈夫です。
今後の需要等々を考えると・・・まぁ、2割程度の色を付けさせて頂いた販売が良いかと。
具体的な数値は後ほど、販売価格表を頂いた後に精査し、伯爵様の方に提出いたします。」
ヴィクターが言う。
「うむ、頼むの。
それにしてもその辺もトレーシー殿がするのかの?
マイヤー殿でも出来そうじゃが。」
「実は妻の実家への挨拶も兼ねておりまして。」
「あぁ、妊娠しておったの。
アリスの子の乳母の件も了承してくれていると聞いておる。」
「はい、アンダーセンとトレーシーの2人揃って子爵家のご令嬢の乳母となりますので・・・本来なら本人達の合意のみで良いのでしょうが、トレーシーの妻の実家が・・・」
「あー、確かセシリー殿はクラーク伯爵の娘じゃったの。
あ、そういう事だとわしも一緒に挨拶に行かないといけないの。
まぁ・・・わしも久しぶりの王都じゃから各貴族会議の家に行って挨拶するんじゃが予定を合わせようかの。」
「お願いいたします。
エルヴィス家からの同行は?」
「うむ、第4小隊と新人小隊じゃ。
少し多いが、新人達に王都を見せたいと思っての。」
「なるほど。
王都では?」
「自由行動じゃよ。
と言いたいのじゃが・・・1日くらいどこかの訓練に参加させた方が良いかの?」
「ふむ・・・私の伝手は王都守備隊ではありますが・・・」
「流石に地方の新人を王国最上位部隊の訓練に参加させるのは気後れするのじゃが・・・
まぁ、それ自体はジーナに調査を依頼して、やれるところがあればとしておこうかの。」
エルヴィス爺さんが考えながら言うのだった。
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