第2525話 御前仕合、優勝者決定。(お疲れ様。)
ジーナがトーテのこめかみに打ち込んだ右手の甲を振り抜きながら、体の流れに任せてトーテの右太腿を踏み台にして右足で蹴り上げ、右後方に飛んで少し距離を置く。
体勢があまり良くなく、ジーナは前転をしながら距離を置き、すぐに起き上がると木刀を両手で握り、顔の右に持っていき、タイ捨流の独特の構えをして追撃をしようとする。
トーテもこめかみにジーナの裏拳を叩きこまれたが、とっさに左足膝の力を抜くと共に顔を左に向ける事で衝撃を和らげ、ダウンは免れる。
そして、精一杯の速さで振りぬいた木剣から右手を離して、ジーナが居るであろう場所に裏拳を入れるが、空を切る。
そして、振り向きざまに木剣を上段に構え直し、対峙する。
今度は左足を前にして。
ジーナは顔の横に構えたまま、軽く走り込む。
「せいっ!」
左足がトーテの間合いに踏み込んだ瞬間、トーテが上段から振ってくるが、左足を引きながらジーナが振り始める。
トーテの狙いはジーナの左鎖骨。
ジーナは極端に右に木剣を構えている為、左の防御には右よりも時間がかかる。
鎖骨への攻撃は連撃の力でも勝負を決せる。
走り込んで間合いに入り、ここで右足が出てくるはず。
ここから1歩踏み込むのならこっちが振る位置に首、もしくは肩が来るはず。
だが、ここでまた予想外の事が起こる。
ジーナの体が止まったように感じた。
自身の目測と予測より遠い為、当たらない。
振り始めた腕を早急に戻さないといけないと感じる。
それと同時にジーナの木刀の切っ先が木剣の左側から迫って来る。
だが、それは明らかに体から遠いと感じるのだった。
ガっ!
ジーナは狙い通りトーテの左手首を打ち抜く。
「くっ!!」
トーテが辛うじて木剣から手を離さずにいた。
通常ならば振っていた木剣をまた上段に戻すのだが、痛みの為、無意識的に右に両腕ごと引いてしまう。
ジーナは狙い通り打ち抜き、流れのまま木刀を左脇に移動、右手は木刀の柄を握り、構えてる。
そこでトーテが右に木剣を避けてくれていた。
「ここが勝負所」とジーナは思いっきり左足を前に出しながら、燕飛をする為に突き上げをし、相手の顔めがけて刺突を開始する。
トーテは必死に目を閉じないようにしていた。
腕を右に引いてしまった事に「しまった」と思った瞬間、ジーナが1歩前に踏み込んできて、ほぼ正面の下から顔めがけて突きを繰り出してくるのがわかる。
全神経、全筋肉を総動員して、上半身と顔を後ろに仰け反らせ、木刀の直撃を逸らすが、腕は右にまだある。
「ああ・・・負けたな。」
トーテはジーナが振り上げた木刀を見ながらそう思うのだった。
「せいやっ!」
ジーナが燕飛の後段階である一刀両断を右足を前に出しながらトーテの左肩に打ち込む。
「くっ・・・」
燕飛を受け、トーテが舞台に膝を付き、木剣から両手を離すのだった。
「勝者!ジーナ!」
と審判が宣下すると、会場が大いに沸く。
「トーテ様、ありがとうございました。」
ジーナが木刀を右手で持ち、剣先を下にして攻撃の意志を無くしながら言う。
「・・・あぁ、負・・いや、優勝おめでとう。」
トーテが息も絶え絶えに言う。
「はい。」
ジーナが頷く。
「失礼!」
職員が数名駆け寄って来て、トーテにケアをかける。
「ふぅ・・・」
ジーナがここで周囲を見渡し、何気なく手を振る。
「ジーナ殿、こちらに。
改めて宣言しますから、陛下に礼を。」
審判がコソッとジーナに言う。
「はい。」
ジーナが指示に従うのだった。
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御前仕合の会場の観覧席では。
「「「「「「やったーーー!!」」」」」
ジーナを見守る会の6人が両手を挙げて喜んでいた。
「流石!ジーナ殿!」
「うんうん、安定的な最強だね。」
「あー、そう・・・そうだな。」
「そこは安定的な強さでしょ?」
「良いんだよー!ジーナ殿が私達にとって最強なんだから!」
「気持ちはわかるが。
・・・うん?ルーク、大丈夫か?」
男子生徒が蹲っているルークに声をかける。
「ジーナ殿!ありがとうございます!」
ルークが喜んだ後、両手を組んで感謝を述べていた。
「ルーク、必死だったんだな。」
男子生徒が呆れるのだった。
「コートニー、いくらになったの?」
「へっへっへ~、7か月分!」
コートニーが満面の笑みを女子生徒に向けながら言う。
「ほっほー、なら貸し付けている分は返してね。」
「おぉう・・・しまった。」
コートニーから笑顔が消える。
「はぁ・・・それにしても王立学院から優勝者かぁ。」
「ま、スミス殿のお付きだけどな。」
「広範囲的な所属は王立学院でしょ?」
「まぁ・・・まぁ・・・そう言えるか。」
「ジーナ殿が王立学院の伝説になるね。」
「そこは王立学院の教師陣がどう思うかだろうな。」
「これって偉業だよねー。」
「快挙なんじゃない?」
ジーナを見守る会の6人がジーナを見ながら雑談するのだった。
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