第2517話 その頃のアリスとジェシーは。(あっちをすれば、こっちが問題になるのは当然です。)
エルヴィス伯爵邸の客間。
「・・・テトちゃんから問題なく買い物中だって。」
チビコノハがアリスとジェシーが座るソファの前にある机に立って言う。
「あら、それは良かったわね。」
ジェシーがダンディ茶を飲みながら言う。
「エイミー殿下達にとって目新しい物があれば良いんですけど。」
「タケオさんの協力工房なんでしょう?
そこには不安は全くと言って良い程感じないわね。
タケオさんが何かしていそうな気もするし。」
ジェシーが言う。
「えーっと、ジェシーお姉様、タケオ様、そこまで何かしていませんよ?
最初の時の方が毎日何かしていましたけど、最近は特には・・・たぶん。」
「・・・タケオさんが依頼しなくてもタケオさんに鍛えられている協力工房は何かしているでしょう?」
「・・・まぁ、確かに。
あ、そういえば、ジェシーお姉様の所から人が来るって言っていましたね。
えーっと・・・確か木工加工をするとか。」
「そうね。
私は会っていないけど、タケオさんが目を付けた職人だからね。
何か作っていると思うけど・・・アリスが斡旋したの?」
「いえ、私はタケオ様から報告が来たので、ヴィクターに言ってハワース商会に受け入れ依頼の連絡を入れて貰っただけですよ。」
「ハワース商会って黒板や鉛筆を作っている所だったわね。
うちも注文させて貰っているわ。」
「お買い上げありがとうございます。
そのハワース商会に連絡をして、本人達が来たので受け入れたというのはヴィクターから報告に聞いています。」
「会いに行ってないの?」
「はい、まだ外に出るなって。」
アリスがお腹を擦りながら言う。
「過保護ね。
ま、私も外に出るのはもう少し経ってからだったわね。
安定したら見に行けば良いかもね。」
「はい、そうします。
あ、ちなみに今、エイミー殿下が買い物しているのがハワース商会ですね。」
「ふーん・・・何があったか帰って来たら聞いてみようかしら。」
「ですね。
まぁ、職人さんには会わないと思いますけどね。
工房の代表方が相手すると思いますし。」
「それもそうね。
・・・でもタケオさんの事だからゴドウィン伯爵領で職人に何か指示をしている可能性もあるけど・・・アリス、その辺は何か書いてあった?」
「ありませんでしたよ。
受け入れをして欲しいというのだけですね、特に何か作らせるようにとは・・・言っていなかったはずです。
まだそう言った事は言わないと考えています。」
「うん、そうね、タケオさんなら『まだ』という言葉が続くわね。」
アリスの言葉にジェシーが頷く。
「ま、うちの領内出身の者が元気にやっていてくれるのは嬉しい事よ。
成果は後々に聞こえてくると期待しようかしらね。」
「すみません、ジェシーお姉様、引き抜いた形になってしまって。」
「んー・・・ゴドウィン家で働いている文官や武官ではないからね。
領内の道端で露店の職人を雇っただけだから、怒るような事でもないわよ。
むしろ人材を活かしきれない我が領内をどうしたものかと考えるだけね。」
「方策があるのですか?」
「あるなら、人材は出て行ってはいないわよ。
慣例の戦争が終わってからの課題という所ね。
アリスの方の戦争後の課題はあるの?」
「キタミザト家の各署は順調です。
問題らしい問題はありませんね。
エルヴィス家としてなら・・・農業は一段落していますけど、酪農も人工湖も中途半端なのでこちらの対応でしょうか。
あと、養鶏場の生産量が高まっていると聞いていますので、街中に出せる卵と肉の量が多くなりそうですね。
上手く、領内の購買欲が刺激出来れば良いのですけど。
あ、ゴドウィン家からの飼料の輸入はありがとうございました。
事業が大きくなれば輸入量が増やせると思います。」
「うん、それは嬉しい事ね。
詳しい量と見通しは文官達で情報のやり取りをさせないとね。
でも・・・うちもポクポク肉だけでなく、本格的に鶏肉と卵をやるかなぁ・・・」
ジェシーが腕を組んで考える。
「エルヴィス伯爵領内の事業は領内向けだけですからね。
お隣で同じ領内向けなら私は何も言えませんけど・・・
ジェシーお姉様の所はポクポク肉もあるからあまり量は出せないんですかね?」
「旺盛な領民の食欲を満たすのに安定的な肉と卵の供給はありがたいのは確かなんだけど・・・
飼料がなぁ・・・飼料向けの穀物等々を作るって農家は嫌がるしなぁ・・・」
「難しいですよね。」
「そうね・・・はぁ・・・飼料単価を上げると色々な所が大変な事になるし、かといって価格が今と同じでは農家は嫌がるだろうし・・・上手い手はないものか。」
「解決策がわかったら教えてくださいね。
うちでもやってみたいですから。」
「それは私からアリス達に言いたいわよ。
何か良い考えないかしらね?」
「あったら実践していますよ。」
「だよねー。」
ジェシーが諦めながら言うのだった。
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