第2516話 おや?新しい物がある。(試作の欄間(らんま)を発見。)
ハワース商会の応接室。
「「「欄間・・・」」」
エイミーとドネリー、キティがサンプルの欄間を見ながら呟く。
「そんなに釘付けになるとは思いもよりませんでした。」
モニカが言う。
「いや・・・説明では扉の上の枠から天井までの間の板という事ですが・・・これが入るのですよね?」
エイミーが驚き顔をさせながら言う。
「ええ、うちの職人が一風変わった意匠の扉が出来ないだろうかとの問いに出した提案ですね。
扉自体は今までと同じか、少し厚めで重厚感を出し、その上部に意匠を施すのもデザインとして良いのではと。
これは先ほどまで来ていた建て方の親方達に見せていた物です。」
「こういう発想はなかったなぁ・・・」
「ですね。
窓枠とかに花とかの意匠をしているのはありますけど・・」
「これは扉としては重厚でしっかりと役割は果たしつつ、上部に意匠を加える事で豪華さをだしているのですね。
なるほど、上手いやり方ですし、扉に意匠が無いので普段の掃除に気を付けなくて良さそうですね。」
エイミー、キティ、ドネリーが言う。
「それだけじゃないわよ。
欄間は室内の空気が淀まないように換気の意味もあるわ。
穴を開けるだけでは寂しいからとそこにデザインを組み込んだんでしょうね。」
チビアルがエイミーの肩に現れて言う。
「エイミー殿下は精霊魔法師だったのですね。」
モニカが言う。
「ええ、驚かれましたか?」
「いえ・・・驚きはしないのですが。
失礼かもしれませんが、確認をしただけですね。」
「そうですか・・・まぁ、エルヴィス伯爵領では精霊魔法師は多いですしね。」
「はい、アリス様やキタミザト様、キタミザト家所属の方々・・・珍しくはあるのでしょうけども。
私達、キタミザト様の協力工房では特に何か・・・とはないです。」
「そうなのですね。
王都だと王城や自室と言ったくらいでしか自由にさせられませんからね。
人目に付かないようにしていますよ。」
エイミーが苦笑しながら言う。
「大変ですね。
この街だと普通に歩いていますけどね。」
「あー、私の精霊のテトちゃんは買い物に行ってくれますしね。」
「スズネは私に雑用しかお願いしないんだもんね。」
チビテトが鈴音の肩に現れて言う。
「嫌な顔せずに行ってくれるテトちゃん、大助かりだよ。」
「ま、良い気晴らしになるしね。」
チビテトがヤレヤレとさせながら言う。
「テトは契約者と仲が良さそうね。」
チビアルが言う。
「アールマティ姉様は違うのですか?」
「あ。」
「姉様?」
チビアルとエイミーが反応する。
「アールマティ姉様はアールマティ姉様ですよね?」
「テト、私はアルで良いのですよ。
わかりましたね?」
「・・・はい、アル。」
チビテトが考えてから頷く。
「別に良いのに。」
エイミーが言う。
「エイミー、私はアルで良いんです。
さて、この欄間・・・王都でもする?」
チビアルがエイミーに聞く。
「何とも言えないわ。
王城で改築するとも聞いていないし、したとしても一部だけしても意味ないでしょう?
統一感って大事だしさ。
やるならすべての扉でしないと意味ないと思うわ。」
エイミーが言う。
「そうね。
でも・・・これは花の形にくり抜いた物よね。
シンプルだけど良い出来だわ。」
チビアルが言う。
「ありがとうございます。」
モニカの父親が頭を下げる。
「んー・・・それにしてもこれ日本っぽい気がするんだよなぁ。」
鈴音が欄間を見ながら言う。
「「「うん?」」」
皆が鈴音を見る。
「え?・・・何か私いけない事言いましたか?」
鈴音が皆を見ながら言う。
「いや、いけなくはないけど・・・スズネちゃん、これに親近感があるの?
こういった厚手の板に細工をしてはめ込むなんて、アズパール王国ではしないのよ。
やったとしても先程キティ様が言ったように窓枠とか扉枠にするのが一般的ね。
お金持ちとかだと扉に意匠を施す事もあるわ。」
「へぇ、そうなんですか。
あ、そう言えば王城の扉も扉に刺繍がありましたね。」
鈴音が言う。
「刺繍・・・お爺さま達が聞いたら苦笑しそうね。
スズネ殿、こういった扉以外の所に意匠を入れるというのは稀なんです。
それも向こう側まで貫通するような物は。」
エイミーが言う。
「意匠に凝った扉とは、扉そのものに草や花の意匠を指しているんです。
これは扉はシンプルでその上に凝ったデザインを置くという新しい事なんです。」
ドネリーが言う。
「へぇ・・・そうなんですね。」
鈴音が感心する。
「まぁ、機会があったらこれを作った職人に会わせるわよ。」
モニカが言う。
「夕方以降ですね。
わかりました。
で、モニカさん、色鉛筆なんですけど。」
「あ、そうでしたね。
隅に置いてあった欄間の試作品を目に止められてしまいましたが、こっちが本命です。」
そう言ってモニカがエイミー達の前に赤と青の色鉛筆を置くのだった。
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