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第2513話 え?文官用のスーツって?(ラルフの店は拡大中です。)

「・・・ダウンコート・・・」

「温かそうです。」

「さて・・何色があるかな?」

エイミーとキティ、ドネリーがスニーカーの次にダウンコートを見ながら思案していた。


「あれ?エリカさんは買わないのですか?」

鈴音が隣に座って皆を眺めているエリカに聞く。

「私、実は先日来ているんです。

 エイミー殿下の下見も込めて、大いにそこで悩んで決めていますよ。」

「そうだったんですね。」

「ええ、ルフィナさんと一緒に今日回る所は行ってありますし、買ってもいますよ。」

「なるほど・・・でもスニーカーではないですね。」

鈴音がエリカの足元を見る。

「あー、先に買ったのはあの3人に言っていないんですよ。

 明日から履きますよ。

 それと革靴の底をスニーカーの底にする企画もあるとお聞きしましたよ。」

「話的にはスニーカーより革靴の底を変えての販売の方が早く出来る予定だったんですけどね。」

エリカの問いかけに鈴音が笑いながら言う。

「何か問題が?」

「はい、縫い方が今までと同じといかず、解決するまで少し時間がかかったとラルフさんから聞きました。」

「そうなのですね。」

「男性用だけでなく女性用の低めのヒールとかにも採用できるか、ラルフさんは検討しているそうですよ。」

「・・・ここ、仕立て屋でしたよね?」

「ラルフさんもこの店が何屋かわからなくなって来たそうです。

 下着も扱っているし、シャツも靴下もあるんですよね。

 トータルコーディネート店ですね。

 研究所の制服一式もここです。」

「なるほど。」

鈴音の言葉にエリカが頷く。

「それにですね。

 今、スズネ様や試験小隊の制服を模して、女性用ではスカートと上着の女性用スーツを、男性用はズボンと上着の男性用スーツを作ろうかという話になっているんですよ。」

アスセナも参加する。

「そうなんですか。」

「はい、エルヴィス家とキタミザト家の文官用のスーツを作ってみようと話が出ています。

 スズネ様や試験小隊の女性陣がスカートで歩き回っているのが文官方に楽そうだと見られているようです。」

「へぇ~、そうなんですね。」

アスセナの話にエリカも鈴音も感心する。

「制服というような皆、同じという感じではなく、『黒かグレーでスカートとYシャツ、スカートと同色の上着で数着あれば着回し出来るのでは?』という試験的な話ですね。

 男性用、女性用で何種類か作って試験をするという話です。」

「「へぇ~。」」

「スズネ様は知らなかったのですか?」

「はい、聞いていませんね。

 まぁスーツがあった方が毎日服装に悩まなくて良いと思いますけど。

 ついでに各局ごとにジャンパーのような羽織る物を作って局としての上着を作るのも良いかもしれませんね。

 背中に『〇〇局』と書いておけば、何処所属かわかりますし。」

「ふむ・・・それは今度、提案しておきます。」

アスセナが考えながら頷く。

「でも、突然どうしたんですか?」

エリカが聞いてくる。

「あー・・・異種族雇用の一環ですね。

 これから先、人間種以外も採用して行かないといけないという事で、種族ごとの衣装を纏うというよりも文官の制服=スーツとさせておけば、皆が強制的に着るようになり、種族色が薄れるだろうと。」

「はぁ・・・そう言う物なのですか?」

「制服の意味が元々味方の認識と所属意識の植え付けだそうですからね。

 スーツにその意味を持たせるというのは良いかもしれないと私は思います。」

アスセナが言う。

「アスセナさん、ラルフさんの所が試作をしているんですか?」

「えーっと・・・確か、ここともう1軒で試作をしていると聞いています。

 出来上がった中から選ぶようにと。

 私はキタミザト家の協力工房であるラルフ様の所を贔屓にしようと思いますけども。」

アスセナが言う。

「そうなんですか?好きに選んで良いと思いますけど。」

鈴音が言う。

「そう言う訳には・・・スズネ様はラルフ様の所で買いませんか?」

「最初に見に来るのはここですね。

 でも、もう1軒も見て好きなのを選ぶと思います。

 気に入らない物を買っても着ませんし。」

鈴音が堂々と言う。

「はぁ・・・スズネさんは正直ですね。」

ラルフが苦笑しながらやって来る。

「あ、ラルフさん。

 飲み仲間でもその辺は妥協しませんよ。」

「ははは、それで良いのです。

 お付き合いで買って頂けるのはありがたいですが、それではデザイナーが育ちません。

 アスセナ様もスズネさんのように好きな物を選んで、気に入らなければ買わなくて良いのです。

 スズネさんの言葉ではありませんが、気に入らない物は着ませんからね。

 むしろ買われない時はどこを直せば買ってくれるのか聞きたい物ですね。

 そうすれば次回以降のスーツの製作に反映させられます。」

ラルフが言う。

「ラルフさんもしっかりしていますよねー。」

「ははは、売れるのは良い事ですが、服や靴を気に入ってくれる事が最重要ですよ。

 今は試作ですが・・・私の考えでは普遍的なスーツの形と毎年何かを変えて出すスーツ。

 この2つが存在するでしょう。

 私達は仕立て屋ですのでお客様の要望を取り入れる事はしますが、文官用スーツはオーダーメイドではなく、吊るし売り(プレタポルテ)、つまりはダウンジャケットやトレンチコートのように裾を直せば終わりという物ですから、こちらから形を提案しないといけません。

 そこが苦しくもあり、楽しくもありとデザイナーは知恵を絞っていますよ。」

ラルフが言う。

「デザイナーさんもラルフさんも大変ですね。」

鈴音が言う。

「ははは、私の苦労話は飲みの時に話しましょう。

 と、エイミー殿下方がダウンコートの試着していますね。

 あ、そうだ、ダッフルコートも聞かなければ。

 では、失礼を。」

ラルフがエイミー殿下の所に行ってしまう。

「・・・私達はもう少しのんびりできますね。」

「「そうですねぇ。」」

エリカの呟きに鈴音とアスセナが答えるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] オーダーメイド(英語) プレタポルテ(仏語) うぅ~んオートクチュールじゃない?
[一言] ここまでたくさん貴族が来るなら庶民は入りにくそうかも…… いや本当に何屋さんなんでしょうねw 店舗拡大……別に店舗作ったら……ってすると人手が足りなくなるのかぁ。
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