第2509話 様子を見に来ました。(仕合があっても仕事はします。)
ゴドウィン伯爵軍陣内の大きいテント。
「失礼する。」
「失礼します。」
エルヴィス爺さんと武雄、ビエラ達が案内されてテントに入る。
「うおおお!タケオ!産まれたぞ!ジェシーがやったぞ!頑張ったぞ!」
ゴドウィン伯爵がタケオに駆け寄りタケオの肩を揺すりながら言う。
「おぅ、おぅ、おぅ、おぅ、おぅ。」
武雄が前後に揺さぶられる。
「はぁ・・・フレッド、止めるのじゃ。
タケオが怪我をしてしまうの。
子供に会う前にアリスに殺されたいのかの?」
「お!これはすまん!」
ゴドウィン伯爵が武雄から手を離す。
「・・・パナ、最大のケアをしてください。」
と武雄が言うと、武雄にケアがかかる。
「ふう・・・この調子で子供を振ったら死にますよ?」
武雄が呆れながら言う。
「そうじゃの。
ジェシーに言ってフレッドに子供は抱かせないようするかの?」
「親父殿!それは酷すぎる!」
「子供の命を守るためじゃ。
しっかりしろ!フレッド、もう親なのじゃぞ!」
「っ!!」
エルヴィス爺さんの叱咤でゴドウィン伯爵が姿勢を正す。
「ふむ・・・フレッド、お茶を頼もうかの。」
「はっ!すぐに用意いたします。
おい!お茶と菓子を持って来てくれ。
祝いもある、少し高めのでも構わないからな。」
ゴドウィン伯爵が兵士に指示をする。
「タケオ、座ろうかの。」
「はい。」
エルヴィス爺さんと武雄が席に座る。
「はぁ・・・親父殿、男子が産まれました。
ジェシーが来てくれたおかげです。
ありがとうございます。」
ゴドウィン伯爵も座ってエルヴィス爺さんに頭を下げる。
「わしは何もしておらんがの。
ジェシーが望んだことじゃよ。」
エルヴィス爺さんはそう言いながらもジェシーが産んでくれた事でホッとした顔をさせる。
「タケオ、ジェシーも思い悩んでいた最中に知識の供与をしてくれて助かった。
この通り、本当にありがとう。」
ゴドウィン伯爵が武雄にも頭を下げる。
「無事に生まれて良かったですね。
ジェシーさんにも言いましたが、これから子育てという難事業が待っていますよ。」
「わかっている。
準備はしている。」
ゴドウィン伯爵が力強く言う。
「・・・エルヴィスさん、そこはかとなく嫌な予感がするんですけど。」
「うむ、わしもそう思うの。
フレッド、ちなみにじゃが、どんな事を準備させておるのかの?」
武雄とエルヴィス爺さんは訝しがりながらゴドウィン伯爵に説明を求めるのだった。
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王城の入り口の受付。
「キタミザト家ジーナです、陛下と第3皇子一家にご報告に参りました。」
「はい、わかりました。
御前仕合の準決勝進出、おめでとうございます。」
「ありがとうございます。
小太刀をお預けします。」
「はい、いつも通りですね。
少しお待ちください・・・では、こちらを。」
警備兵が小太刀の詳細をメモし、番号が書かれた木札を渡す。
「はい、お願いします。」
「では、少しおかけになってお待ちください。
陛下と第3皇子一家の予定を聞いて参りますので。」
「わかりました。」
ジーナはそう言って受付前の椅子に腰をかけるのだった。
・・
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王城のアズパール王の執務室。
アズパール王とオルコット宰相、外交局長、軍務局長、王都守備隊総長が居た。
今日はウィリアムとアルマ、レイラも来ていた。
「失礼します。」
ジーナが案内をしてくれた王都守備隊員と共に入ってくる。
「うむ、ジーナ、ご苦労。
挨拶は不要だ。」
アズパール王が頷く。
「はい、では、先ほど届きました2日前の朝の配置報告を致します。
と言っても、動きなしだそうです。
ご主人様やエルヴィス伯爵様方は『兵士間で気持ちが緩まぬように』と考え、警戒を少し解いて半日休暇を順次取らせるとの事です。」
「うむ・・・動かないか・・・」
アズパール王が腕を組みながら考える。
「小競り合いは昼までの時点で2回あったとの事です。
結果的に死者なしと。」
「うむ、犠牲者がないと言う事は無理をさせてないという事だな。」
アズパール王が言う。
「とはいえ、魔王国のパーニ伯爵やファロン子爵の手には1度しか使っていないオーガの存在があります。
エルヴィス伯爵、キタミザト子爵は勝手に緊張が緩むのなら、先に兵士達の気分転換をさせて、士気を維持しようとしているのがわかりますね。
何かあるような前兆も無いと言う事で3伯爵方は警戒を維持しながらも兵士達には休憩をと考えたのは丁度良い時期に実施したのではないですかね。
オーガの脅威度は下がりませんから、兵士達もあまりのんびりとは出来ないかもしれないですが、何とか気分転換をして貰いたいですね。」
オルコットが言う。
「オーガは最も身近な最大の脅威ですね。
それにしても・・・最初のオーガ戦で追加をするような者達が、ここまで何も動かないのは気になりますね。」
外交局長が言う。
「いつか・・・ですね。
現場の貴族方もそれを考えているでしょう、何とか対応して頂ければ良いのですが。」
軍務局長が呟く。
アズパール王達は、駒が一向に動かない地図を見ながら感想を述べるのだった。
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