第2507話 再びエルヴィス爺さんとの話。(お、吉報が届いたようです。)
エルヴィス伯爵領軍陣内の大きいテント。
「タケオ、今日はこっちに来て良いのかの?」
「一旦あっちに報告に戻りましたし、夕食までに戻れば良いとなっていますよ。」
「伯爵、タケオ、かりんとう、おいちいねー。」
「ぎゅー。」
「はぁ、休まりますねー。」
「残飯が最高です。」
エルヴィス爺さんの所に武雄とビエラとリーザ、ミアと初雪が遊びに来ていた。
今は皆が来ているので、人払いも済ませていた。
「ふむ・・・それにしてもダニエラ殿はすぐに動くの。
タケオのようじゃ。」
「どっちに対して失礼なのかは、聞かないでおきますけど。
あの感じだと戻ってから部下の方に怒られているかもしれませんね。」
「ははは、一国の王が怒られるか。
ますます我が国と同じようなものじゃの。」
「まぁ、こっちではオルコット殿がその役目ですか。」
「王城ではそうかもの。
戦場やこういった出先では王都守備隊の誰かがしておるよ。
陛下には通じておらんようじゃがの。」
「陛下も行動力ありますからね。」
「あれは行動力というより子供っぽい我が儘じゃよ。
まぁ損害は少なくしているようじゃから、息抜きがてらなのじゃろう。
わしは前線に行くような事はしないの。」
「出て来られても邪魔なだけですからね。」
「まったくじゃ。
タケオの所はタケオが率先して動くから良いとして、他の領主軍はトップが最前線に居ても良い事は無いの。」
「魔王国もと言いたいですが、あそこはダニエラさんが最大の戦力ですからね。
最前線に出れば最大級の脅威ですからね。
私達は蹂躙されてしまいます。」
「タケオは、そのダニエラ殿が出て行かないといけないと思わせる人物なのじゃからの。
大したものじゃの。」
「過大評価も甚だしいですね。
私は地方でのんびり過ごしたいだけです。」
「今の所、全くもって実現できていないの。
まぁ、王都からお金を貰っているのはのんびり過ごす一環としては間違っていないかの。」
「そうですね。
あ、そうだ、来年から研究所の予算が増額だそうです。
今の所の採用人数は予定通りに行うので、余ったらエルヴィス家への融資に回すようにヴィクターに調整を指示しています。」
「すまんの、タケオ。」
「いえ、エルヴィスさんなら律儀に戻してくれるでしょうしね。
それに今、お金をかけないと後々に響きそうです。」
「響くか分からぬが、やりたい事が多すぎて予算が足らんのじゃよ。
今はウスターソース用の野菜やライ麦を主軸としておるが、酪農業も拡大させたいし、例の人工湖での紅魚の養殖は是非とも成功をさせたいからの。
わしの領地から本格的な漁業者が出るとは思いもしなかったの。」
「居なかったのですか?」
「いや、居るぞ。
川魚を取っている者達じゃの。
じゃが、川魚は東町で食べられる物というイメージじゃよ。
わしらが食べているのは、ロバートの所からの輸入がほとんどでの。
価格も高くてあまり皆が食べないの。」
「まぁ、輸送料がありますからね。」
「人工湖で養殖が出来れば、領内に今よりも安価な魚が行き渡って食べてくれるじゃろうしの。」
「夢は広がりますね。」
「うむ、楽しい時じゃよ。
タケオとしてはこれからはどうするのじゃ?」
「ベルテ一家にお願いしている高性能肥料が販売に結び付けば良いと思う事と、米農家の普及と魔王国からの輸出量の安定化ですかね。
鈴音にお願いしている駆動部をなんとか量産化して船に載せられたらと思いますね。」
「新しい事はしないのかの?」
「・・・して良いんですか?」
「少し先延ばしでお願いしたいの。」
「はい。
ん?今、雄叫びが聞こえませんでしたか?」
「聞こえたの、男の雄叫びじゃったの。
思い当たるのは、フレッドの所かの?」
「届きましたね。
様子を見に行きますか?」
「いや、まだ混乱しているだろうし、騎士団長辺りが宥めているじゃろう。
それに少し落ち着けば、わしやタケオ宛に伝令が来ると思うの。」
「では、待っていれば良いのですね。
こういうのは多いのですか?」
「うむ・・・少なくともわしが戦場に居て領主家に出産があったという報はなかったの。
珍しい事ではあるの。」
「そうなのですね。」
「とはいえ、それは領主家がというだけじゃがの。
街中では毎日誰かが生まれておる。
兵士の中にも親になる者も祖父になる者もおるじゃろう。
その者達は家族からの手紙で教えられるのじゃよ。」
「手紙は来るのですね。」
「うむ、週に一度じゃが、軍務局で預かっておったはずじゃ。
・・・タケオの所に言うのを忘れておったの。」
「まぁ、最悪はヴィクターに話が行き、アリスから定期連絡で載せられてきますから。
その辺はマイヤーさんにもアンダーセンさんも知っているので、それとなく言っていると思いますが、後で確認します。」
「うむ、そうじゃの。」
エルヴィス爺さんが頷く。
「失礼します。」
兵士が入ってくる。
「うむ、フレッドじゃの?」
「え?はい!ゴドウィン伯爵の伝令が参りました。」
兵士が一瞬驚くが伝令を招き入れる。
「失礼します。
本日、屋敷より伝令があり、エルヴィス伯爵邸にご逗留中のジェシー奥様が、無事男子をご出産したとの連絡がありました。」
「うむ、そうか。
フレッドは落ち着いたかの?」
「なんとか。
伝言を終えます。
失礼しました。」
伝令と兵士がテントを出て行く。
「エルヴィスさん、挨拶に行きますか。」
「そうじゃの。
戻りたいと駄々を捏ねているかもしれぬの。
ビエラ殿達、ゴドウィン伯爵の所に行こうかの、ジェシーが産んだそうじゃ。」
「はーい。」
「ぎゅー。」
「わかりました。」
「はい。」
ビエラ達も席を立ち、ゴドウィン伯爵領軍の陣地に向かうのだった。
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