第2501話 あ、存在がヴァレーリにバレた。(どちらにしても研究用に欲しいです。)
魔王国 パーニ伯爵領の関にある櫓の上。
「・・・ん?・・・んん?・・・」
ヴァレーリが望遠鏡を覗きながら唸っている。
「ダニエラ様、どうなさいましたか?」
「・・・アンナローロ、見てくれ。」
ヴァレーリが望遠鏡をアンナローロに渡す。
「はいはい、どこを見れば?」
アンナローロが望遠鏡を覗いてヴァレーリが見ていた方を確認する。
「・・・罠の設置訓練しているだろう?」
「あー、していますね。
頑張って貰いましょう。」
「そこからアズパール王国方向に目線を移動すると森がある。」
「あります・・・ね。
・・・んー・・・あれは人でしょうか?
見え辛いですね。」
「アンナローロ、対オーガ戦で出て来たアズパール王国の兵士が緑だったよな。」
「・・・キタミザト殿の部隊が来ましたか。」
「アンナローロがあんな事言うから本当にキタミザト殿が来ちゃったよ!」
「なんで私のせいに!?
そもそもキタミザト殿の前で訓練すれば何しているのか見に来るとさっき言ったではないですか?」
「そうだけど!そうなんだけど!
小競り合いの最中だからそっちに注力すると思うだろう!?
事実さっきまで『良い時に小競り合いが始まったな』と心の中で思っていたよ!」
「キタミザト殿は小競り合いに参加していませんから目の前で何かやってれば見に来るのでは?」
「・・・そうなんだけど・・・はぁ・・・このままオーガ戦の時の魔法を使われたら王軍の新人が殲滅されるな。
訓練している奴らは気が付いていないみたいだが・・・」
「設置を真面目にしているでしょう・・・盾も最低限しか持って行っていませんね。
キタミザト殿に気が付いたら不用意な戦闘に突入しそうですが。」
アンナローロが望遠鏡を見ながら言う。
「パーニ達にバレないようにコッソリと行くぞ!」
「はい、了解です、ダニエラ様。
メイド服にします?」
「そうだな。
キタミザト殿の前だ、戦闘の意思なしと思って欲しいからメイド服にしようか。」
「まぁ、用意は出来ているんですけど。」
「パパっと着替えるか。
着慣れているしな。」
「一国の王がメイド服を着慣れているのもどうかと思いますけど。
兵装はハルバードにしますか?」
「なんで不良品を持って行くんだよ。
それに戦闘の意思なしと伝えるのに些か大きすぎるだろう。
ナイフで十分だよ。
ナイフでも過剰なぐらいだがな。」
「そうですね。
さ、着替えましょう。」
アンナローロが壁にかかっているメイド服を持ってヴァレーリの元にやってくるのだった。
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森の縁の武雄達はというと。
「・・・気が付かれている様子はありませんね。」
「所長考案の作業服のお陰ですね。」
武雄がスコープを覗きながら呟く。
「ふむ・・・このぐらいの草が茂っていればそれなりに誤魔化せるのでしょうけど・・・
向こうの警戒が低いのでしょうね。」
「そうですね。
やはり戦場でのあの道具の設置訓練を実施している最中と考えて間違いないかもしれませんね。」
「まぁ、今回の戦闘に参加しない王軍の半分程度は新人だと考えていましたが・・・ああいう設置の訓練だと王軍の第3軍という工兵のような者達がいましたよね。
彼らでしょうか。」
「工兵ですか。
前に所長の魔王国での報告書は見ましたが、第3軍は最前線での陣地設営や道路や橋の補修をするのを主眼にした前線での後方支援部隊でしたか。
確かに、陣地の外にあのトラバサミを設置して不用意に接近、侵入を妨害する方法としては十分そうですね。」
「ふむ・・・今回はこちら側に無い道具なので欲しがりましたが・・・同じ物を作って西側の知人たちに売り込むのはすぐには出来ないかもしれないですね。」
「そうなのですか?
陣地の防御に役立ちそうですが。」
「いや、ウィリプ連合国が持っていなかった場合、私のように欲しがりそうですからね。
真似されて、設置されると厄介でしょう。
ならば、最低でも持っていかれないようにする方法を考えてから売り込みますかね。」
「・・・そんな事が可能ですか?」
「例えば、落とし穴の底とか少し掘った掘のような所に設置して、安易には持って行かれないようにするとかの使用制限をするとかですかね。
要は拠点防御用の道具としての使用のみに限定して、戦場では使用しないようにするとかですね。」
「ふむ・・・確かに相手に同じ物を用意されるのは嫌ですね。
ですが、説明を聞いた限りでは有用な道具ではありますよね?
使いたがるのではないですか?」
「で、あるのなら手間と費用的にもっと安価な物が出来れば良いのですよ。
例えば、音が鳴りやすい石を敷き詰めたり、靴で踏んでもちょっとした怪我を負わせられるような・・・あ、マキビシがあったか。」
「何ですかそれは?」
「四方に1cm程度で釘が出ている物ですかね?
常に上に向かって1本が出ていて、上を歩くと靴底を貫通する物です。
これなら安価で製作出来て、撒くだけで通行を妨害するという目的が達成出来ますよ。
わざわざ製作費用が多くかかる物を買いはしないでしょう。」
「・・・なるほど。
ですが、とりあえずあのトラバサミは1個必要ですね。」
「対応策の検討用と構造把握の為にね。
もしかしたら違う事を思いつくきっかけになるかもしれませんからね。」
武雄が言うのだった。
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