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第2493話 予選会を開始します。(まずは1人。)

御前仕合の会場。


「では!これより!第4組の予選を開始します!

 出場の方は舞台上にお上がりください。

「これから第4組に出場する方々の簡易的な紹介をさせて頂きます。

 1人目です、テンプル伯爵領より参加の」

アナウンスが流れると観客から歓声が上がる。


「・・・ん・・・」

ジーナが舞台の端の方に立ち、首や各筋を伸ばしながら説明を聞き流している。

「・・・ジーナ、同じ組になっちゃったね。」

隣りに居るスミスも体を伸ばしながら言う。

「一緒に受付したからでしょう。」

「そういうものなのかなぁ・・・

 ・・・狙われているかな?」

「はい、少なくとも3名には。

 他は様子見程度かと。

 マリはなんと言っていますか?」

「補助は無しだって。

 それとマリ的には4名が狙って動くかもと言っているね。」

「マリの事です、スミス様の事をお叱りになったのでしょう。」

「正解、『この程度の人数がわからないとは』って・・・え?・・・後日、追加の訓練だってぇ・・・」

「はは・・それはご愁傷様です。」

スミスとジーナが舞台上でリラックスしながら雑談をしている。


「9人目、王立学院1年 エルヴィス家次期当主、スミス・ヘンリー・エルヴィス。

 10人目、キタミザト家所属 ジーナ、スミス・ヘンリー・エルヴィスのお付きメイド。

 以上、選手の皆さんの簡易的な紹介を終わります。」

スミスとジーナは紹介をされたら軽く手を振って応える。


「次に予選のルールです。

 舞台の上で残り2名になるまで戦って貰います。

 戦いはあの大きい砂時計(約10分)の砂が落ち終わるまで。

 砂が落ちるまでに2名にならなかった場合は、主催者の独断と偏見でトーナメント出場2名を決めます。」

アナウンスがとんでもない事を言うが、実は毎年の事でどう決めているのかは皆が知っていた。

決める方法は賭け率が低い者を残すという物。

毎年の如くなので不平不満はあろうともブーイングは起きない。

「勝敗は降参、気絶、舞台より落下で失格になります。

 相手を殺してしまっても失格になります。

 ですが、一応、ケアが出来る魔法師が居ますので、大抵の怪我は問題ないので思いきり戦ってください。」

アナウンスが言う。

「では、20秒後、予選第4組を開始します。」

アナウンスが終わる。


「・・・素っ気ない紹介だったね。」

スミスが木刀を中段に構えながら言う。

「あのぐらいで良いですよ。

 事細かく言われても困ります。」

ジーナは左手で木刀の柄の端を握り、下段に構えている。

「さて・・・僕は残れるのか。」

「スミス様、予選突破が出来なければ、今後の訓練が大変な事になると思います。」

「・・・この大会よりも今後の訓練の方が恐ろしいと考えてしまう僕は異常なのかな?」

スミスが苦笑する。


「では!始め!」

アナウンスが言うと皆が一斉に動き出す。

「来ちゃった。」

「こちらも・・・まずは1人ずつですね。」

スミスとジーナの各々正面から男1人ずつ走ってやって来る。


≪ジーナの場合≫

ジーナは即座に右足を出し、木刀を左脇に移動し、右手は木刀の柄を握っている。

「はぁぁぁぁ!!」

ジーナに向かって男が右手に持つ木剣を右斜め上からジーナに向かって振り下ろしてくる。

「ふっ!」

ジーナは迷わずに左足を前に出しながら、燕飛えんぴをする為に突き上げをし、相手の顔めがけて刺突を開始、相手を仰け反らせようとする。

「がぁ!!?」

ジーナの木刀の剣先が向かってきた男の顎にヒットする。

「へ?」

ジーナは呆気に取られながらも体は一連の動作を止めず、燕飛の後ろ段階の袈裟斬りをする為、木剣を握る両手を顔の右に持っていく。

燕飛えんぴの前段階の突き上げを食らった男は物の見事に仰向けで倒れ気絶している。

「はい?」

ジーナはタイ捨流の独特の構えをしながらどうしようかと一瞬悩んでしまう。


≪スミスの場合≫

スミスは即座に左足を出し、袈裟斬りをする為、木剣を握る両手を顔の右に持っていく。

「悪く思うなよ!坊ちゃん!」

走りながら向かってくる男がそう言いながら右手に持った木剣を上段より右側から振り下ろしてくる。

スミスに取っては、その速度が酷く遅く感じてしまう。

遅くとは言ってもコンマ1秒の違いなのかもしれない。だが、致命的な遅さに感じてしまう。

「・・・せいっ!」

相手の木剣は気にせずにスミスが右足を出しながら袈裟斬りをする。

狙うは相手の左鎖骨。

バキッ

鈍い音と共にスミスが木剣を振りぬく。

相手の木剣はスミスに届かず、自身の鎖骨が折れたことにより木剣を手放し、その場で荒く呼吸しながら蹲ってしまう。

「・・・ふぅ・・・」

スミスが息を付くと共に中段に構えて、周囲を窺う。

スミスの脳裏に浮かぶのは「訓練の方が酷くない?」という感想だった。


スミスとジーナが倒したのがほぼ同時、それもお互いに1撃で屠ってしまった事を目にし、舞台上に居た残りの者達が一瞬止まってしまうのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 燕飛! タイ捨流をこんなに紹介してくれてありがとうございました。 是非、読者諸氏の皆さん。 ジーナの技を直に見たければ、熊本県へ(笑)
[一言] あぁ、とうとうスミス坊っちゃんが 「僕、なにかしてしまいましたかねぇ?」 の洗礼を受け入れる日が来ましたかw
[一言] 訓練は本番よりも厳しくしたほうがいいっていうのはよく聞くことですし……多分。
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