表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】婚約破棄された公爵令嬢は、厨房で静かに生きていくつもりだったのに  作者: 京野きょう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/41

第25話|私の答えは。

「──ロヴァルド様……?」


 え? アメリーは?

 ロヴァルド様がお茶を持ってる?


「……──ッ!!」


 声にならない叫びを上げる私をよそに、ロヴァルド様はテーブルへ向かいトレイを置いた。


「……飲むか?」

「……! え……っと、わた、わたしが、やりま……ッ」


 そこでハッと気付く。

 寝巻きのまま……!? 羽織るものも手元にない……!


 どうしよう──

 そもそも、こんな姿で王太子殿下をもてなすなんて……無理!


 それに……会うのは正直まだ怖い……。


 そんな想いが頭の中をぐるぐるして──

 思わず、手元にある布団を被ってしまった。


「ロヴァルド様……せっかく来ていただいたのですが……こんな格好ですし……」

「構わん」

「……あと少し体調も……」

「それなら尚更、帰るわけにはいかないな」

「……!」


 お茶を注ぐ音がする。

 結局、ロヴァルド様にさせてしまったわ……。

 カチャリ……と音がして、足音がこちらへ向かってくる。


「ロゼ、そのままでいい」

「……!」


 名前を呼ばれただけなのに、身体が熱くなる。


「……座っても?」

「…………はい……」


 私に断りを入れてから、ベッドに腰を下ろす。


「ロゼ、顔を見せてくれ」


 そんなこと言われても、こんな泣きはらした顔なんて見せられない……!

 それに……合わせる顔をもない。


 布団を被ったまま、首を横に振ることしか出来ない。


「……では、そのままでいい」


 そう言うと、布団ごと私を抱きしめる。


「アメリーから全て聞いた」

「──……!」


 血の気が引いて、全身から力が抜けていく。


 ──知られてしまった


 ……もう、駄目ね。

 枯れていたはずの涙が流れ始める。


「……守ってやれなくてすまない」

「……!」

「ロゼ……顔を見せて」

「……う……っ」


 布団から頭だけを出して、緊張しながら顔を上げる。

 そこには、辛そうな顔をしたロヴァルド様がいた。


「……ロヴァ、ルド……様……っ、ごめ、なさ……っ」

「何も言うな」


 啄むようなキスで涙を拭われ──

 優しく唇が重なる。


「……ん…………ふぁ……っ」


 ……安心する。


 唇が離れると、遅れて恥ずかしさが押し寄せてくる。

 だってあんなに長くて優しいキス、初めてなんだもの……。


 ちらりと盗み見るようにロヴァルド様を見ると、穏やかな表情で見つめられていた。


 そんな優しい顔で見られたら──……!


 恥ずかしさに耐えかねて、布団に潜り込んでしまう。

 顔が熱い。

 ロヴァルド様の顔を見れない。

 ドキドキが止まらない。


「……ロゼ?」

「す、すみません……!」

「謝るなと言っただろう?」

「すみ…………あの、少しお待ちいただけますか……?」

「ああ、分かった」


 ……とにかくこのままでは失礼極まりないわ。

 むくりと起き、布団を肩から掛ける。

 これなら寝巻きも分からない!


「お待たせしました!」

「……なんだそれは」

「え? いえ、羽織物の代わりにと思いまして!」

「……」


 ため息をつかれてしまった。

 ……いいアイデアだと思ったのに。


「それならこっちを羽織ってくれ」


 布団を剥ぎ取られ、そのままロヴァルド様の上着をそっと掛けられる。


「ろ、ロヴァルド様!? お風邪を引いてしまいます……!」

「室内だぞ? 引くわけがないだろう」


 それはそうなのだけれど……。

 ロヴァルド様の匂いが近すぎる……!


「あ、ありがとうございます……」

「……ああ」


 そして流れる沈黙。

 恥ずかしさから何も喋れなくて、でもせっかく来ていただいたのに……。


「あの、ロヴァルド様はなぜこちらに……?」

「パンを貰いにきた」

「……ええ!?」


 そんなに気に入っていただけていたの!?


「……冗談だ」

「あ、はい……」


 ロヴァルド様でも冗談とか言うのね。

 意外な一面を見てしまったわ……。


「お前に会いに来たに決まっているだろう」


 そう言いながら頭を撫でられる。

 ……嬉しい。


 でも──……。


 私が何も言えずにいると、ロヴァルド様は言葉を続ける。


「……ロゼは、どうしたいんだろうか」

「え……?」

「お前のことだ、きっと「自分は相応しくない」などと考えているのではないかと思ってな」

「え、ええと……」


 その通りだった。

 でも。

 私がそう考えているだろう、と分かっているのに「どうしたいか」と聞いてくれたの?


 それなら……私の答えなんて決まっている。


「ロヴァルド様の……隣に居たい、です……っ」

「……そうか」


 それだけ言うと、そっぽを向いてしまった。


「……ロヴァルド様」

「……なんだ」

「お顔が見たいです」

「……ダメだ」

「もう! いいじゃないですか!」

「ダメと言ったらダメだ」


 耳まで真っ赤なロヴァルド様。

 可愛い。


 この人の隣に居られる。

 そう思うだけで、こんなにも穏やかな気持ちになれるなんて。


「……ロヴァルド様」

「……なんだ」

「……大好きです」


 ロヴァルド様の肩にそっと頭を乗せると、ようやくこちらを見てくれた。

 少しびっくりしたような、気まずそうな顔。

 でも、すぐに嬉しそうな表情に変わる。


「私もだ」


 そして優しく口付けをされて。


「ロゼ……愛している──」

読んで頂きありがとうございます!

応援して頂けると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ