彼は最強(限定的)
少年の回想あり。
彼のLvが発表されて数秒、間をおいた後暴れ出すものがいた。
「んー!んんんーー!?んんー!」
当然ながら、暴れたのは勇者になれない愚者の少年である。しかし、暴れないだけで、他の2人も驚いた顔をしており彼を見ている。
「ちょっといいか?あの男がそんなにLvが高いとは思えないんだが・・・。俺だってここまで来るのには結構時間が掛かっているわけだしな」
「いやあ~!僕も罠のLvを上げるのには苦労したけど、1024?それはちょっと高過ぎやしないかなぁ」
2人とも、言葉にはしていないが暗に「何か不正をしているのでは?」と聞いているのだ。もちろん、暴れている少年はただ、認めていないだけだが。
『まあ、そう思うのも無理ないのかもね。なんだったら、君たち彼のダンジョンに挑戦してみるかい?なに、失敗しても心配要らないよ。今回は試し。死んでしまっても問題が無いようにしておくから、どうだい?』
この申し出に、2人は黙る。挑戦はしたい。この何の変哲も無い彼の、罠を極めたダンジョンは如何なものかと。
しかし、魔王になれない強者の少年と総合者のおっさんは、慎重だった。彼らとて、好き好んで死にたいとは思わない。そんなのは勇敢だとかいわない。ただの馬鹿なのだ。
ならばと思い、彼らは騒ぎ立てている馬鹿を見た。これを利用できないかと。
「おい、お前が挑戦してみないか?」
少年は拘束されら少年を見下ろす。それに気付いた少年はまたも騒ぎ出す。
「んんーー!んんん、んんんー!!」
「おい、こいつの拘束を解いてやってくれないか?会話が成立しない」
『いいよ』
その言葉と共に、少年の拘束を解かれ、少年は思いの丈をぶつけるかのように大きな声で発言する。
「おい!俺はそいつのダンジョンに挑戦するぞ。どうせ何か卑怯な手を使ってるかくだらないことでもしてんだろ。俺がそいつ見つけて、こいつの不正を暴いてやる!おい、神様よ!もし、俺が見つけれたら俺になんか賞品をくれ!俺だけ何も貰ってないんだ、これぐらいいだろ!それとも何か?俺だけには上げられないってか?はっ!ふざけんじゃねぇぞ!そんなことしたら分かってんだろうな!?強化のLvを上げまくって、いつかお前を殺しに行くから覚悟しろよな!」
拘束を解かれた途端、阿呆の子のようにまくし立てる。
『神』は溜め息とも呼べる声と共に少年に語る。
『まあ、好きにするといいよ。どうせ攻略できやしないしね』
パチンッ!この空間から、少年と彼が消える。
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少年にはどうしても分からなかった。この世界に召喚された時、自分は選ばれたのだと思っていたのだ。それが中身を開けて見ればどうだ。
少年は主人公でもなければ、ラスボスでもないのだ。つまり、いてもいなくても問題は無く死んでしまっても嘆き者もいない。召喚された意味も無ければ、別に少年で無ければならない理由なんてなかったのだ。
少年は奮起した。それはそうだろう。理由もなくこの世界に呼ばれてダンジョンの主になれと言われたのだ。呼ばれたからには、Lv制の世界ならば育てない理由は無い。
折角というべきか、運悪くと言うべきか呼ばれてしまったのだ。勇者になれないにしても有名所になってこの世界の人間が知らないものなどいない存在になろうとするのは少年にとって必然だったのかもしれない。
勇者は、強い。特別なことをしているわけでもなくただ、召喚ばれたと言う理由だけでこの世界の常識を超えてしまう。
ならば、その常識を覆すような強さを少年は持たねばならなかったのだ。勇者に近しい存在になる為に。その為に自身を強化していった。
只管に鍛えていったものの、ダンジョンの主として生きていく為に魔物のLvも上げていった。そこそこ使える魔物もいたが、やはり信じられるものは自分しかいないのだろう。少年をそう思い、魔物を強化することを諦めた。
期待はしていない罠も使ったみたが即日に諦めた。Lvが上がっても使用できるものは一つなんてものは何の役にも立たなかった。
そして、来たる1年。少年のダンジョンには連日までとはいかないが、そこそこ冒険者がやってくるようになっていた。
最も、進入されたとしても、少年はそれを悉く跳ね除け冒険者を殺していった。武器を奪い、防具を奪い、装飾品を奪い装備を整え少年は自身を強化していった。
そんな折だったのだ。今回の呼び出しがあったのは。
そこには少年のほかに、歳の近い男と無精ひげを生やしたおっさんと、これといった特徴の無い男だった。あれやこれやと一悶着あったがそれぞれ各人のLvが発表された時に意外なことが起こってしまった。
少年は一番ではなかったのだ。苦労してあげたLvも歳の近い男とおっさんに比べれば、一番にはなっていた。総合では負けていたが。それでも一番だったのだ。最後の特徴の無い男のLvを聞くまでは。
1024。
少年にとって、驚愕の数字だった。自分の約2倍。少年にとっての苦労がまるで馬鹿のようだった。
認めてはならない。そんな思惑の元、少年は彼に挑戦を挑んだ。
「ここはどこだ・・・?」
少年は薄暗い場所にいた。上下左右を見ても何もない空間だった。自分のダンジョンに比べ何もなかった。
「確かあいつは罠だったよな・・・?」
自分の記憶を頼りに罠の項目を探してもLv.1の落とし穴しか覚えが無い。そんなものは何の頼りにもならなかった。
「とりあえず、慎重に進めば大丈夫か・・・?」
少年は進む。その後の遙か上空からの鉄槌を知らずに。
結果は言わずもがな。




