えふえふ
『……ふふふ。それならば、
お前の手で私を止めて見せるがよい!』
って言ったのは、邪悪極悪から生まれて、この世界を混沌にコントンさせていたラスボスで、
名前はアマノ。
見た目はもうそれこそ悪魔で、
やってきた事もとても悪魔的で、許せない。
俺は光に選ばれた光の使徒。
だから俺はアマノを倒さなければならない。
ラストバトルだ。
ここまでとても大変な旅だった。
トータルプレイ時間は30年。
体力1、攻撃力1、防御力1、性欲9999から始まった俺の長い長い旅は、数々の困難を乗り越え、仲間を全員殺されて、それでも俺は涙の数だけ強くなれた。ありがとう全てよ。
この世を司る光のクリスタルの模造品である
粗悪なガラスの光に導かれ、
今、ついにラストバトルの真っ最中。
エクスカリバーの親戚みたいな立場にある伝説の剣で通常攻撃。ダメージ2。
特殊スキル発動、龍猫乱舞。ダメージ2。
必殺技を喰らえ。
天を翔けない閃かない龍でもない……
非天翔龍閃!!
ダメージ2。
『なかなかやるな光の使徒。』
俺の攻撃は全てアマノに届き、
確実にダメージを与えている!
もう少しだ!
『もう少しだ』
『がんばれ。』
『私たちがついているわ』
『負けないで』
『ゴムつけて』
『終わったら甘いの食おうぜ』
『ゴミの日は水曜日です』
『頑張れ』
『希望の光となれ』
今までに死んでいった仲間たちの熱い声が聞こえるのは、幻では無い。
今、俺はみんなと共に戦っているんだ。
物理攻撃にちょっと飽きて来たので、
魔法を使うぞう。黒魔術だぞう。
暗黒の地獄から、強烈な炎を呼び出し、
全てを焼き尽くす、かっこいい魔法だぞう、
最強最悪の黒魔術、ダークシュナイダー。
『ななつのかぎをもってひらけじごくのもん。』
『そ、それは!!』
アマノの顔に焦り。
いかにラスボスとはいえ、こんなのを食らったら、痛いに違いなくて、ビビっているのだ。
だがもう遅い。呪文は唱えられた。
最強最悪の黒魔術は発動したのだ。
俺の手のひらに暗黒の炎が集まって……
『こないじゃん』
『こないねえ。』
あれ?
おかしいな。
俺も困惑。アマノも困惑。
『一時的な通信エラーだ!
行くぞ、暗黒の炎を喰らえ!』
俺はもう一度、最強最悪の黒魔術の呪文を唱える
『ななつのかぎをもって……』
結果は同じだった。
暗黒の炎は、来なかった。
地獄の門は閉ざされたままみたい。
『こないじゃん』
『こないねえ』
名曲『THEラストバトル』
が延々とループする空間に、
俺とアマノだけが
これからどうしたらいいのかわからず、
あれれ?していた。
まさかこんな大事なとこでエラーが出るなんて。
シナリオ的には、この魔法を成功させて、それがきっかけで巻き起こる一転、二転、三転、
感動の決着。泣けるエピローグ。
そこがシナリオの最大の見せ場なんだけど。
『こないじゃん』
『こないねえ』
少しの沈黙。
2人でおめめをパチパチ。
まばたきくらいしか、やる事が無い。
『……立ち話もなんだからさあ、座ろっか』
アマノが少し照れながら言う。
俺は光に導かれながら、照れ答える
『そだね』
クライマックスを演出する壮大なBGMが
壮大に流れ続けるその場所で、
俺とアマノは並んで座り、夜空を見上げた。
そしてぼんやりと、
ただ途方にくれていた。
いつまでも。




