見えないものを見る。見えるものを見ない。
天高く秋です。
お空が綺麗です。
都内有数のお嬢様学校、聖ロボトミー学園では学園祭が開催されています。
学園の乙女達が模擬店をしたり、演劇をしたりと。
一般開放もされていますから、生徒のご家族やお友達、近隣の不審者などが一斉に集まりまして、学園は賑わいをみせております。
体育館のステージでは、学園のいろいろな部によるステージが始まります。
まず最初にステージに出てきましたのは
《唇の内側なめなめ部》
の乙女たち。
華奢な身体。未発達の胸。白い肌。
艶めきの黒髪。靴下。緊張の指先。
過剰なほどに繊細なまつ毛。
儚さを形にしたような、その存在。
ステージには純白のソファがありまして、
そこに、なめなめ部の乙女たちは、
そっと座ります。寄り添うスカートの裾。
可憐なお嬢様の所作。ふわり。
そうして、お互いに少し戸惑いながらも向き合う姿勢になりまして、俯いて恥じらう下ベクトルの曖昧な視線から、ゆっくりと顔をあげて
やがて、
お互いの目を見つめ合います。
優しく息が触れるか触れないかくらいの
絶妙な距離感です。
唇は閉じられています。
観客は息を殺して、その乙女たちを見つめます。
すでに始まっているのです。
乙女たちは、それぞれがその閉じられている口の中で、自分の唇の内側をなめなめしているのです。
いかに唇を脱力してそのぬめまかしい柔らかさを維持するか、
いかに舌先でそのぬめまかしさと柔らかさと粘膜の滑らかさとみずみずしい生命力を感じとれるか、
そのあたりがこの活動の美しく繊細で儚い部分であります。
静かな、とても静かな会場内。
乙女たちはお互いに見つめ合い、なめなめ。
そうしていますと、ゆっくりとゆっくりと、
乙女たちの、そのすべすべの頬はほんのりと赤みを帯び、
目はうっとりとして、うるうるしていくのです。
果実がみのるように。
熱を発する。
お見事です。
素晴らしいパフォーマンスに会場からは大きな拍手が自然と沸き起こりました。
外側から見ると何も起こってないように見えて、その実、内側では徹底的なまでに自己完結の極上の官能の美しいを行う。
美しいものを見ました。
その次に出てきたのは
《真剣白刃取り部》
ステージには畳が敷き詰められ、
真剣を手にした乙女と、
まるで死装束のような出立ちの純白の乙女。
刀に対して、純白の乙女はなんと
背中を向けて座る。
なんという無謀。
命を投げ捨てようというのか。
刀が振り下ろされるタイミングも、
ましてやそれを目視で確認する事さえも叶わない、絶命必然の、それはもはや修羅場。
乙女の髪が、皮膚が、想い出が、
無慈悲な刃物によって
血ごと両断されてしまうのか。
座る乙女は、その両目を閉じた。
血の惨劇、残酷の結末の予感に、
会場内の全ての音が消えます。
極限の緊張。
今にも、頭蓋に振り下ろされそうに、
高々と上段。煌めく白刃。
どれくらいの時間が経ったのだろうか……
あ!
今
成功した。
良かった。
ドキドキしたー。
次は、
おいしいクッキー焼きました部だよ。




