筒井のヤッちゃん
『やわーん。』
つうて、かわいく笑うのは筒井のヤッちゃん。
今回は、僕の朝ごはんの納豆を全部、
パチンコ玉にすり替えるとゆーイタズラをしてきた。
『あは。あはははー』
最初の方こそ、やめろ。とか、殺すぞ。とか
つっこんでいた僕だけど、度重なるヤッちゃんのイタズラにもう慣れてきて、慣れ果てた。
力なき笑いになるまでに。
ヤッちゃんは僕のルームメイトで、
黒髪キラキラロングヘアの
清楚系お嬢様系気狂い。
メガネはかけてない。
ここは都内有数のお嬢様学校、聖ロボトミー学園の学生寮で、僕とヤッちゃんは、
毎日を女の子女の子して一緒に暮らしているのです。まあ、だいたい良い匂いします。
『じゃあ私、バイト行ってきまーす』
夕方になって、ヤッちゃんはプラスドライバー屋さんのバイトに行きました。
そんな青春の日々。
僕たちは輝きの中。
見渡す限り冷え冷えとした白色。氷の世界。
洞窟の中は全部が氷してて、見た感じたぶん絶対に確実に冷凍庫より寒いから、このままでは僕は絶対に確実に死ぬかもしんない。
とても寒い。
ガチガチガチガチと震えるのは歯。
『にゃにゃにゃ……にゃんだ此処は。』
猫にゃんでは無いよ。僕だよ。
あまりに直腸温度が下がってるので、
まともに喋れないにゃん。
こんな氷の世界にいつの間に来たの?僕は。
と思考も低体温症まっしぐらで、両手で自分を抱きしめながら、とにかく脱出しなければ、
吐く息は白いを通り越してフローズン。
『ちべたい。ちべたい。』
裸足で歩く地面のフローズン、いとちべたし。
死ぬ間際に洞窟の出口になんとかたどり着いた僕。目の前に広がっていたのは……
て、とこで目が覚めた。
『にゃにゃにゃ……寒い!』
薄着で寝ていた僕に、クーラーが直撃していて、まるで氷の世界。
リモコンの設定温度を見ると、
マイナス20℃。
『なんでなの!』
って突っ込んで、僕はクーラーをOFFにした。
『……にゃん』
おまけ。
夜中になり、バイトから帰ってきたヤッちゃんは僕を見てひとこと。
『あ。生きてた。良かった。やわーん。』
イタズラな微笑み。
なるほど、ヤッちゃんがリモコンにイタズラしたんだね。
『あは。あはははー。』
僕は笑ってみせた。
もう、イタズラっ娘だなあ。ヤッちゃんは。
そんな青春の日々。
僕たちは輝きの中。
地獄の業火。
何もかも焼き尽くす感じで、地面は熱気の砂。
多分およそ絶対に気温38℃とかは超えていて、このままでは僕は、ほぼ確実に絶対に死ぬかもしれない。
『にゃにゃにゃ……にゃんだ此処は』
そんな灼熱地獄で目が覚めた。
猫にゃんでは無いよ。僕だよ。
あまりに脳への熱ダメージが深刻なので、
まともに喋れないにゃん。
周りを見渡すと、全部が焼けた砂で、
とりあえず焼けてて、
何よりも暑いをとおりこしてキャロライナ・リーパー。辛さは269万SHU。
こんな時にかっこつけてスコヴィルとか言ってる場合じゃない、脱出しなきゃ。
服を全部ポイして、また着た。
はだかんぼのほうが肌が焼けて、焼け死ぬ感がやばかった。
ちょい歩くと、立て看板があって、
ヤッちゃんの筆跡で
《鳥取砂丘。寝起きドッキリだぞ。やわーん。》
て書いてあった。
『なんでなの!』
って、一応つっこんではみたけれど、
見上げた視線の先には
遥か遠くに
地球が青く青く、涼しそうに浮かんでいて。
『あは。あはははー。』
たぶんここ、金星にゃん。




