初恋の儚いあの子
初恋のあの子に会える。
てのはさ、
何十年ぶりかの同窓会があるみたくて、
なんだら俺っちは、算数が苦手だから、
つうかよ、9から上の数字がわからねえから、
あの子に会えるのは、激しく久しぶりって事。
それ、いつあるの?
今日の夜だぜ。
最高だぜ。
あの頃、とても色気のある人間をしていた俺っちは、今はただの人間になってて、あちこちの熟成した具合がどうしようもねえ。最高だぜ。
ブドウをぶっ殺して、ワインにするだろ?
あれだよ。
なぜブドウが、酒になんのかぜんぜんわかんねえ。考えてみたらブドウの味かどうかもわかんねえ。カニカマ。芳醇な俺っち。
そして、あの子は儚かった。
同級生の女子達の中にいて、白黒の世界に
あの子だけが色鮮やかなお花に見えた。
ふわーん、とした外見。
すわーん、とした内見。……内見?
ま。ええや。
さーん、とした静かな感じ。
ええ匂いしたし。指ほっそいし。
ええ匂いしたし。色しっろいし。
それはそれは儚さを形にしたような、儚さをあちこちから採取してきて、ガーゼにくるんで、力任せに絞り出す。出てきた高密度、純度の高い儚さ。それがあの子って事だよ。最高だぜ。
あ、もう時間だ。
行くぜ。
着いたぜ。
同窓会の酒飲み場には、あの子だけが居て。
一人で酒飲んでた。テーブルにはたくさんの油で仕上げた高カロリーが並ぶ。
素敵展開であるはずの
あの子が遅れて現れた……みたいなのをまず破壊。最高。
逆に他の同級生が全員遅れていた。
『あ。久しぶりだネー。がはは。』
って笑うのは、あの子で。
『名前なんだっけ?がはは。げフげふ。』
なんて、食いながら咳しながら酒飲んでる。
『まあ。隣座れヨ。お前モ食え。飲め。』
って言うのも、やっぱあの子で。
あの子は、両手のビールジョッキにロンリコ151なんてやばい酒。
それをドバキャーンって華麗に豪快に一気にのんで、唐揚げとホッケと水菜ときなこアイスとをズギュンと食った。髪の毛がさらさらしている。
あ。あのええ匂い。
俺っちは。あの子の隣、近接。
ええ匂いを感じながら、あの頃を思い出してノスタルジッカー。
『握手しヨ。握手。がはは。』
かわいらしく、再びの恋心を再びにぽやぽや燃やすような声。俺っちよりもぶっとい指。腕。
たくましい全身。傷だらけ。
『この同窓会が終わったラ、決戦なの。がハ。』
少しだけ、寂しそうな目をするあの子。
『だから今日は目一杯たのしむんだー♡がハは』
ゆーてロンリコ151を瓶ごと口に放り込む。
ガラス瓶の砕ける音。
その後、白黒の同級生たちがぽちぽち現れて、飲んだり食べたりすんのを俺っちは、普通に見ていた。
二次会。三次会。
そんなのを俺っちとあの子はブッチッチして、
ふたりっきり。
今、ベッドで
初恋のあの子が俺っちの上に跨っている。
ええ匂い。
あの子の頬に手を添えて、心から言う。
好きだぜ。
あの子の美しい身体。
総重量2トンの、改造されまくった鋼の身体。
初恋の。
儚いあの子。
最高だぜ。




