↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/96

公園へあと少し


12月29日。


私は久しぶりに、お家に帰ってきた。


冬。


玄関開けて、ああ懐かしい匂い。

靴脱いで、リビングに行くと

妹ちゃんがテレビを見ていた。


『た……ただいまあ〜』


少しビビりながら声をかけると、

妹ちゃんは、振り返って


『おかえりー。お姉ちゃん。』


つって普通。

なんか安心しちゃった。

少し背が伸びた?


妹ちゃんが見ているテレビは、なんやら年末の歌番組で、たくさんのアーティストが出てる。


『あ。私この人たち知ってる。人気だよね。』


テレビにはカッコいい5人組のアイドルグループが出ていて、この人達はバラエティもやるし夜空のなんとかも歌うし、。

私は妹ちゃんとナチュラルに会話するために、

ことさら明るく発声した。


『スコップ。』


妹ちゃんが、飲んでいたミルクを吹き出した。


『ぎゃははははは』


なんで笑われているのか、わかんないけど、楽しそうで良かった。私も笑おっと。


『えへへへへへ。』

『ぎゃはははははは。はー。はー……』


たくさん笑った後、少し落ち着いた妹ちゃん。


『やめてよ笑』

『うん(?) 』


2人でビシャビシャになった床を

ティッシュで掃除していたら、テレビには韓国みたいに美人なグループが出てきた。


『あ。私この子達しってる。人気だよね。』


さっきみたいに妹ちゃんと、楽しい会話をしたいなあ。私はつとめて明るく発声した。


『ロボトミー』


妹ちゃんが、飲んでいたミルクを吹き出した。


『ぎゃははは』

『え? あははは? あははー笑』

『やめてよ笑』

『うん…てへへ』


『お姉ちゃん、テレビとか見てないんでしょ?

このグループはねえ、オハナ。人気なんだよ。』


『ふーん。そーなんだー』


お母さんが帰ってきた。


『あ。あんた帰ってたの?』

『うん。ただいまあ〜』


『そうそう。あんたに言うわね。あれ。

えっと自転車屋さんを右に曲がってそのまましばらくまっすぐ、公園まであと少し、靴は履いた?

そうしたらそこが処刑場。』


お母さんが真顔で変な事を言った。


『え!? なにそれ。怖い。』


私は、風邪ひいたので

なんか頭痛と寒気がした。



『ちがうよお母さん、公園には桜、処刑場じゃなくて和歌山刑務所、懲役15年。だよ』


妹ちゃんミルク飲む。ぼだほだこぼす。


『え? なにそれ。綺麗。』


私の風邪が治った。


『ああ。そうだっけ笑』 母。

『そうなんだよ笑』   妹ちゃん。


楽しそうに笑顔で会話をするふたり。

ミルクぼだぼた。


『処刑場』  母。

『あと少し』 妹ちゃん。




『あ。あはは〜笑?』  私。




15年前に私が、スコップでお父さんを殺して、

和歌山刑務所からセンターへ。

そこでロボトミー受けて、

刑期を終えて今日、帰宅した。

そうしたら、

妹ちゃんとお母さんは壊れていた。


ミルクで床はびしゃびしゃ。



………スコップをふたつ買いに行かなきゃ。


まったくもう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。