ガソリンまぜまぜミルク
ガソリンちゃんは、燃やすのが好きで
全部燃やした。
朝とか夜とか、沈黙とか言葉とか。
大好きってこと。とか。
都合よく。
夜。
ミルクちゃんを見つけた。
汚ねえソファでスパゲッティを食べながら
ミルクちゃんに言った。
「大好き」
そう言うたび、
キラキラ小さな火がついた。
ミルクちゃんは笑った。
「私も好きだよ」
好き好きした。
とてもやわらか。甘かった。
でもガソリンちゃんはアホの子で、
なんにも無いのに泣いたり、燃やしたり。
少しずつ焦げた。
焦げは苦いばっかりで甘くないから
「ねえ。僕のこと、いらないなら終わらせてよ」
なんて、インチキを思った。
そのインチキを、
そのままミルクちゃんに言った。
本当は終わらせてほしくなかった。
だから、2番目にずるい言葉だった。
ミルクちゃんは困ったように言った。
「好きなんだよ」
ガソリンちゃんは笑った。
「僕も好きだよ」
それも本当だった。
欲しいけど燃やしちゃう。
朝。
ガソリンちゃんは言った。
「じゃあさ、もう約束しないことにしよう」
「え?」
「あのね、この気持ちを形にしなくてもいい。
寂しくなったら、僕が勝手に寂しがる」
ミルクちゃんは黙った。
ガソリンちゃんも少しだけ黙った。
そして、1番ずるい最低のインチキを吐いた。
「僕が好きだったことだけは、
本当のことだって。知ってて。」
しばらくして、ミルクちゃんは
「大好きだよ」
と泣いた。
ガソリンちゃんは
アホのくせに
泣いた。
それから
「うん。知ってる」
って
目を逸らした。
その日から二人は、
恋人にはならなかった。
他人にもならなかった。
ガソリンちゃんもミルクちゃんも
ただそこに生きて
少し遠くなった。
だからようやく、
隣にいられた




