星屑の猫ちゃん
肉食として生まれました。
僕は猫。
っていうか猫ミミつけた女の子。
せっかくだからミミちゃんて呼んでみて、
かわいい気持ちになるはずだから。
こないだ猫カフェでバイト初めて、
月日の流れ、早いものですね。
そろそろ慣れてきた。
キャッチしながらタバコ吸いながら、通りを歩く夜行性達の、夜の治安の悪さ、恋愛の破綻なんかを眺めたりしているヨユー。
温めたファンタオレンジが好き。
もちろんストローで飲むよ。
あ。僕のバイトする猫カフェはね、
僕を始めとして人間がメインキャスト。
本当の猫ちゃんはひとりもいないの。
皆様のお住まいの地域では、
主に猫ちゃんをメインキャストにして、
猫ちゃんが横1列に並んで猫ちゃんフードを食べるのを見学したり、
あまりのきゃわいさに撫でようとすると、そっぽを向かれたりするのを鑑賞するのだよね?
それとはちょっと違う営業のやり方。
猫ミミの女の子の猫ちゃん達が、
お客様の席に一緒に座って、
チャイナブルー飲んだり、モエシャンしたり、
ズブロッカ飲んだり、シャルロッカ飲んだり、セコイヤのチョコレート食べたり、ライチをあーんしたり、太もも触られたり、胸の谷間見られたり、シャンディガフ注文したり、髪の毛さわられたり……
かわいいね。個人的な連絡先教えてくんない?
え? ダメ? なんで? お店のルール?
バレなきゃいいじゃん。 ダメ? 真面目だね。
じゃあさ今度、お店の外で会いたいな、お休みの日なにしてるの? え? 学生さんなの? えらいなあ休みの日もお勉強してるの? えらいなあ。人として好きだなあ。
LINE教えてよ。え? スマホもってない?
みたいな幻ごっこをしている。
一部の常連の特別なお客様だけに
特別なひみつの裏メニューっていうのがあるみたいなんだけど、僕はまだ新人だから、わかんない。
こないだチラッと裏メニューを覗き見したら、
『ちゅー。』 る。 ¥55,000
だって。
全くなんのことだかわかんない。
あ。そろそろステージが始まるよ。
僕たち猫ミミの女の子達は、
夜カフェのステージで歌って、踊るの。
お客様は、ど低い声でここぞとばかりに、
推しを推す。
光の点滅。
キラキラ。
チカチカ。
ピカぴっかー。
ピカチュウかよ笑。
にゃんにゃんかわいいを
これでもかとキュートに振り撒いて、
生き抜こうと、ニャンニャンってもがいている
閃光の中にいる、それは
獰猛なるキュートの獣。
肉食の四つ足。
必要とあれば食い殺すことを躊躇わない。
キラキラ。
ピカぴっかー。
にゃんにゃん。
んにゃふ♡
足元のステージはラメられていて、
光の粒子を集めて、小麦粉まぶした屑ステージ。
光の粒と音の粒になって、
はい。おつかれさまー。
今日の営業おわりました。
かえろ。
ミミちゃん好き……って言って。
その名前でいいから。
かえろ。
僕たちは
まるで星屑。




