不思議なお姉さん。4
イラついてきた。
こっちは切なくて、泣いてばかりで大変なのに、
お姉さんはちっともベランダをカラカラしてくんなくて、インチキ。
ブラらの反対側に行く勇気も無い僕もインチキ。
とっくに物語の主役なんかじゃ無くなってんだけど、それはわかってるんだけど、それでも。
期待しちゃうから。僕は僕のこれまでを見て来たから、何か青色したフイルムにエントリーできるんじゃないかなあ。ってさ。インチキ。イラついてくる。
ずっと待ってるのに来ないじゃん。
こんなに切ないのに。
物語なら来てくれるところじゃん。
これだけここまで生きてきたんだから、
何かあるんじゃないかな。
あってもいいんじゃないかな……
蚊。
かゆい。
やだ。
ばか。
インチキ。
蚊が彼の物語を主役しているんだ。
でも。
ちょっとくらい僕のために世界が動いてくれたっていいじゃん。
柊ちゃんに甘やかしてもらおう。
誰でもいいわけじゃないから、柊ちゃんだから。
いいよ。もう。言い訳みたいなのは。
少しだけ、青春してやる。
『どったの? 暇なの?』
『うん。』
『DMCやる?』
『知らない。』
『デビルメイクライ。』
柊ちゃんは、僕より頭がおかしいから、
こんな時だけ甘えても大丈夫だよね。
3つも年上だし。
『すぐ死んじゃう。このゲーム。』
『下手くそ。』
『弱いの?この主人公』
『半端ねえ悪魔だよ』
『ふうん。』
柊ちゃんは、僕のわかんないとこで、
たぶん物語をしてて、じゃあ、それぞれ別の物語を生きる人間同士は、どうやって触れ合うの?
それはすごく頭おかしくて、僕はそれに甘えて、このお話の最後のほうは、何もかも柊ちゃんにバレて、特に特別な理由も無く、柊ちゃんを都合よく利用した僕、
なんて酷い子。だよ。
いいよ。それがいいよ。
あまえんぼにゃんにゃん。
柊ちゃんは、ふーん?
みたいな顔で僕を、抱きしめてくれた。
『デビルメイクライの意味て何?』
『英語わかんねえ。』
『だよね。』
『悪魔は、泣かない?
とかそんなんじゃない? かっこいいから。』
『ふうん。』
柊ちゃんとくっついている僕には、
ほんとうは、
お姉さんが好きでどうしようもない。
っていう最後の切り札があるから、
僕は泣かないでいいんだ。
でも、痛い
泣くかもしれない。悪魔だって。




