想いやる気持ち
『それは想像力なんよ』
『そうなのか?』
『相手への思いやりはどうしたの?』
『今はそんな正論は求めてない』
『想いやる気持ち……』
『閃き?』
『そのたぐい。』
ひんやり夏カレー始まりそう。
の、張り紙につられて入ったカレー屋さんで、
ビールを飲みながら、汗が乾いていく。
僕とマリちゃんとネロちゃん。
タコの酢の物。
『はだかんぼから初めましょう。』
『いきなり?』
『だって。そこに至るまでを文字にしたら、
いつまでも前菜が続いちゃう。』
『そっかー。』
『いきなりメインから行きましょう。』
『仕方ないかもね。』
『もちろん。実戦だとこうはいきません』
『オッケー。了解した。』
『オッケー。私も了解した。』
『オッケー。いこうぜ』
ビール2杯目。
『相手をひっくり返して、背中にちゅうします』
『わあ。』
『ひゃあ。』
『ちゅう。というより舌の先っぽで……』
『ドキドキ』
『そわそわ』
『て。 みたいな触れるか触れないかの
ちゅう。をしますね。』
『わあ。ヒンヤリした感触。背中。』
『ひゃあ。目視不能の不意の連続。』
『鼻息がくすぐったい。』
『わあわあ。』
『唾液だけを残して……』
『ひゃあ。』
ビール3杯目。
『心の距離はどうなってんの?』
『そこにエントリーしている時点で、ふたりは
もう0.01㎜なんじゃない?』
『お。素晴らしいですね。』
『全く同感です。』
『ありがと。』
『0.01㎜という限りなくゼロに近づきながらも、決してゼロでは無い……やるせねえなあ。』
『ぬくもりは伝わる。それでも決してゼロでは無い……。やるせねえなあ。』
『ありがと。』
『儚いなあ。』
『切ないなあ。』
『ありがと。そこまで深読みしてくれるとはおもってもみなかった。照れます。』
ビール77杯目。
『やばない?』
『むにゃー』
『ひらひら』
『ピーチウーロンに救いを』
ピーチウーロン。
エビ。チリ。
『おいしい。』
『甘い』
『おいしいね。』
『ええと? なんの話だっけ? 0.01㎜?』
『なにそれウケる』
『ゼリーみたいな絶対の壁。』
『なんやそれ。』
『エビ。ロボみたいでかっこいい。』
『本当だ!』
『なんの話だっけ?』
『大切な話してたよね』
『相手を想い。ヤる。気持ちじゃん?』
『それだ。』
『それだ。』
『ロマンチック♡』
『エビ♡』




