青空
大きな通りの真ん中にお家がたってて、
人が住んでて
なかなか立ち退いてくんない。
『ダメっすよ。ここ危ないっすよ?』
僕は優しさから、何度もそう言うのだけど、
まるで聞いてもらえず、今日で何度目かの立ち退きのお願いをしてんの。
お願いっていうか、まごころ?
『なんでなのさ。やだよ。どかないよ』
その家の人は金髪の綺麗な人で、
毛先が少し白金。
ほら。全く立ち退かない。
困ったなあ。
『今日が限界いっぱいなんすよね。そろそろ本当に最後のチャンスっていうか、来る。よ。』
『やだなもんは、やだ。』
扉を閉められちゃった。
あーあ。もう知らないよ?
どうなっても知らないよ?
めんどうくさくなっちゃった僕は、
通りの脇のいい感じの、安全な場所で
タバコをスイスイした。
で、ほら、やってきたじゃん。
なんだか嫌な感じ、と表現するしかない
嫌な塊が、ふにゃへらへら。へらへら。
ってアホみたいなふりして。
目の前で、あの立ち退かないお家に直撃した。
とても静か。
あああ。大丈夫かなあ?
僕はタバコを、守るべき大切なこの大地に
ポイして足でふみふみした。
(※好感度を下げにきてます)
『大丈夫っすかー?』
お家の扉を開けて、中の様子をうかがうと、
金髪白金の綺麗な人が、ふるふると震えていた。
『あんまり大丈夫じゃないみたいっすね』
あんまり大丈夫じゃないっぽいので、
僕は緊急救命に通報。
『火事ですか?救急ですか?』
『救急です。』
すぐに、コバルトブルーのサイレン回して、
救急の人が来た。
『救急です。あなたが通報者?』
『はい。』
『状況を説明できます?』
『はい。ええっとね……』
—————。
へらへらの中身は、
どこかの誰かの夜の出来事で。
まあ、それまでにいろいろな物語がありました。
恋のね。
恋の物語。
それでもある夜、なにかが、ほんのちょっとだけずれてしまって、出来事。
ほんの少しのズレなんだよ、そゆの。
本当に。
わー。ってなりまして、
結果。
『イッてないけど、イッたふりしていた。』
みたいな、痛みのアレが生まれたの。
『ずっと。』
なんておまけつき。
突発的に発生してしまったソレ。
致命傷を与えてしまうソレ。
その痛みは、パッと見、
ふにゃらへらへらとしてて、
それがたまたま、この家に直撃。
金髪白金の綺麗な人は、ふるふるになりました。
—————みたいな感じっす。
『わかりました。最善を尽くします。』
金髪白金の人は
コバルトブルーに乗せられてった。
僕はそれを見届けて、
『なんか僕まで、疲れちゃったよ。』
タバコをスイスイした。
ただ普通に空は青かった




