涙の理由
『月』
それだけを、まず言ってみた。
折り紙をしていた君は、? みたいな顔して、
ひとりごとかな?
ツキ?
て、まあそんな感じだよね、まだ。
すぐに折り紙を再開。
知ってるよ。
見た事ないものを折っているんでしょ?それ。
これだけではまだ、
僕の頭の中でもなんだか
無責任に浮かぶ、ただの丸い大きな石。夜空に。
『光』
て言ってみた。
♪ 見たいな顔で君は少し興味を示す。
いい感じ。かわいいなあ。
さっきの石が光を放ち始めた。
だけども君はまだ油断していない、
白く。ただ白く光って、銀色。
はやく、はやく。
次は?
みたいにソワソワしているのを、そっぽ向いて、折り紙のふりをして、僕にバレないようにしているのがたまらなく
かわいい。
『浴』
ヨク? なにそれ?
って顔の君。くすくすしたいのを我慢しながら、僕は真顔をしなきゃ。
よく? ああ。 浴びるのね?
てさ、ここはあまり止めないほうがいいのかもしれないね。折り紙はもう意識の外。
『したいなあ。』
ふーん。いいね。
って君。言わないけれど、絶対にそんなふうに今、思っているでしょ?。
そうだといいなあ。
僕だけが浴びるの?
そう思ってるといけないので、
『君と。』
笑顔。かわいいなあ。
泣きそうになるのを必死に我慢した。
ニコニコしながら、夜のお散歩のために
おやつを少しもって行くね。
て、君はもうお出かけの準備を済ませた。
涙が溢れてくる。
どうして泣いているの?
って君が僕に優しくしてくれる。
髪をなでなでしてくれる。
ありがとう。
大好きだよ。
大丈夫だよ。
涙、僕にだって理由がわからないんだもの。




