第三章2 カラフル頭の三人
檻ヶ島。総人口が一万人に満たず、車で四時間も走行すれば外周を一周できる小さな島だ。
その島は過疎化を辿る一方だったが、数十年前にリゾート地としてマーケティングしたことでそれなりに有名な島となった。
その檻ヶ島が出身地である奈良 千秋という東浜高校の三年生からの依頼により、我らがお助けクラブはリゾートバイトをすることになった。
奈良先輩は目の下あたりまで伸びた前髪の隙間から死んだ魚のような目で部屋にいるメンバーを見渡した。このお助けクラブの部室にいるのは五名。速川 日和、安武 晴間、柏木 翼のお助けクラブ三名と鬼野 恋という女子生徒、そして奈良先輩だ。
「事前にも共有していた通り、出発日は八月九日。今から丁度一週間後だ」
俺たちに対して奈良先輩が説明をする。スケジュールやバイト内容の説明のために今日は部室に集まったのである。
「既にフェリーのチケットはこちらで取ってあるから、もし急遽行けなくなったりした場合は連絡をくれ」
奈良先輩の説明に速川は「了解しました!」と元気よく返事をし、安武はタイミングよく相槌を打つ。コミュニケーション能力が真に高い人とは聞き上手な人のことなのだろう。
対照的に明らかにコミュニケーション能力が低い俺と水色頭こと鬼野 恋は返事も相槌もせずに黙って話を聞いている。
「当日は港近くの駅に集合で頼む。フェリーの出発時刻は十二時半なんだが、電車の時刻表を確認したところ近くの駅に到着するが十一時と十二時だった。十二時に駅集合だと間に合わなくなる可能性があるから、十一時に到着する電車に乗ってくれ」
しっかり交通網も調べてくれたらしい奈良先輩は、印刷した紙を配りながら俺たちに説明する。わざわざ資料を用意してくれているらしい。七枚のA四用紙がホッチキス止めされている。
「フェリーの移動時間は乗り降りを含めて三時間くらい掛かるから、到着するのは十五時半だな。到着したらまず宿に荷物を置きに行く」
「宿も予約取ってくれたんですか?」
速川からの質問に奈良先輩は頷き鬼野のほうを見た。
「宿の予約も取っている。より正確に言うと宿はこいつの実家なんだ」
奈良先輩の視線の先にいるのは鬼野 恋だ。どうやら彼女の実家が宿を経営しているらしい。
「へー、そうなんだ。実家が宿やってるってなんだか憧れるなー」
速川なりに鬼野に歩み寄りたいのだろう。好意を含んだ声音が鬼野に向けられた。
「別にいいもんでもないわよ!常に人がいて居心地悪いったらありゃしないわ!」
相変わらず鬼野の口調は粗い。しかし心なしか先程のような敵意に満ちた口調ではない。不機嫌な口調ではあるが。
「旅館なんだが結構凄いぞ。木造建築で写真映えする外観だ。檻ヶ島のホームページにも背景としてドンと載ってるしな」
「おー、これですか。確かに凄いですね。レトロな雰囲気で日本の美って感じだ」
「へー、どれどれ」
安武が旅館の写真をホームページから拾ってきたらしく、それに速川が食いついた。彼女も「ここに泊まれるの!?すごーい」と楽しそうな声を漏らしている。どうせ当日になれば現物を見ることになるため俺は写真を覗かなかった。代わりに鬼野のほうを見る。実家を褒められているわけだが、彼女の表情は先程から変わらず眉間に皺を寄せて口先を尖らせている。不機嫌な顔ということだ。
「何より飯が美味い。リゾート地なだけあって魚は新鮮だし、島の真ん中は山だからジビエ料理も食えたりするぞ」
「わあ!それは楽しみです!」
珍しく奈良先輩の説明に熱が入っており、料理を想像して俺は腹が減ってきた。速川はキラキラと目を輝かせながら言葉を返していた。
「でもこの旅館、相当お高いんじゃないですか?」
安武が遠慮がちな声でそう質問した。
「まあ、離島の旅館にしては良いお値段になるな。でも三人に泊まってもらうのはスタッフ用の部屋だし、それに人手不足の状態での貴重な戦力だからな。鬼野家の皆さんも歓迎しているよ」
「私は歓迎なんてしてないけどね!」
奈良先輩が優しい口調で話した後に鬼野が余計な口を挟む。これには奈良先輩も苦笑いだ。
「それで次にバイトの内容なんだが、海の家の手伝いをしてもらう。そもそも今回お助けクラブに依頼した経緯なんだが、毎年マリンスポーツの仕事をしてくれてた二人が繁忙期である八月中旬に別の用事が入ったらしいんだ。それで資格を持っている海の家の夫婦がマリンスポーツの仕事を引き受けてくれることになったんだが、そうなると今度は海の家が営業できなくなる」
事前にスタッフが足りなくなったからと説明は受けていたが、こういった経緯があったらしい。
「そこで子供の頃から海の家の手伝いをしていた俺に話があったわけだ。通常なら俺ともう一人くらいいれば業務を回せるんだが、繁忙期となると最低でも三人は欲しい。だがバイト志願者がいないと店主から連絡があったんだ。俺と鬼野だけでは店が回せない。見ての通り鬼野は接客なんてできないし、料理もできないから状況は絶望的だ」
奈良先輩の発言に鬼野の表情がキッと険しくなった。今にも襲い掛かりそうで恐ろしい。彼も余計な発言をするものだ。
「繁忙期だけの人員ということを考えれば、従業員の育成に時間を掛けるわけにもいかない。要領の悪い奴や不真面目な奴に来られてもかえって迷惑だ。だから声を掛ける相手は慎重に選ぶ必要があった。そんなときに行われたのが先月の肝試し大会だ。あのイベントでお助けクラブの三人が優秀なことはよくわかった。これなら仕事を任せられるってな」
「いやー、えへへー」
奈良先輩に褒められたことで速川が露骨に照れる。褒められたメンバーに俺も含まれていたので、俺も一緒になって「えへへー」と照れた。
「キモ」
そんな俺を見て鬼野が小さい声で呟いた。この水色頭、本当にムカつくな。
「確認したいんだが三人は料理とかできるか?一応俺が料理できるから三人には接客をしてもらおうと思ってるんだが…、かと言って昼時はもう一人くらいキッチンのほうに回ってくれると助かる」
「私は少しならできますけど…お客さんに提供すると考えたらちょっと自信ないかも…」
速川は恐る恐る進言する。林間学校のときに彼女がカレーを作っていたのは見たことがある。実力としては問題ないと思うが、自信がないのであれば任せるべきではないのかもしれない。
「俺は料理なんてしたことないが、自信はあるぞ」
俺はそう進言する。料理なんてやれば案外簡単にできるものである。ここは自信のない速川よりも自信のある俺が引き受けるべきだろう。
「実績のない奴には任せられねえよ」
俺のやる気を奈良先輩はバッサリと切り捨てた。若い芽を摘むとはまさにこのことだ。
「司は接客したくないだけだろ?」
そう発言したのは安武だ。痛いところ突いてくるとは、流石は俺の友人である。友人が俺のことを理解してくれていて嬉しい。けど余計なことは言わないでほしかったな。
「ふん!赤頭は料理も接客もできないのね!役立たずなら黙ってなさいよ!」
生意気な口調でそう言ったのは鬼野だ。急に口を開いたかと思えば憎まれ口である。
「そう言う水色頭こそ、さっき奈良先輩から料理も接客もできないって言われてたじゃねえか。そっちこそ役立たずなら黙っていればいいんじゃないか?」
「だから黙ってたじゃない。余計な口を挟まない分、私のほうがアンタより優秀よ。ふふん」
そう言って彼女は勝ち誇った笑みを浮かべた。
「お前、どんな気持ちでその発言してるんだ…。言ってて自分で悲しくならないのか?」
「ならないわ!できないことをできないって言うのは立派なのよ!できないことをできるって嘘つくアンタとは違うのよ!」
わざわざ立ち上がった彼女は胸を張って俺を見下した。その可愛い顔が今の俺にとっては非常に憎たらしい。
「司君、これ以上言い返さないでね。喧嘩しないでね」
速川が俺の耳元でボソッと呟いた。非常に不服ながら、俺は言い返すのをやめて奈良先輩のほうを向き直った。鬼野は愚かにも俺を言い負かせたのだと勘違いしたのか、満足そうな笑みを浮かべて椅子に座り直した。
「あの、料理なら俺ができますよ。飲食店でキッチンのバイトなら経験あります」
そう言ったのは安武だ。なんとなく予想していたオチではあるが、やはり彼は何でもできるらしい。優秀過ぎて嫉妬心を抱いてしまいそうだ。いや、しかし逆に考えれば優秀が故に多くの仕事を任せられてしまうとも言える。そうなると俺自身が無能であることは幸せな人生を送るうえで大事なことなのかもしれない。そんな理屈で自分を励ます。
「本当か!?助かるよ。昼時はキッチンのほうに呼ぶことになると思う。よろしく頼む」
奈良先輩は安武に頭を下げながらそう言う。これで役割分担が済んだ。
「バイトの細かい内容はまた現地で説明するとして、スケジュールの話に戻る。八月九日の夕方に宿で荷解きしたら、その日は宿でゆっくり休んでくれ。と言っても、鬼野家の皆さんはお喋り好きだから、夕食会に呼ばれて二時間くらい相手をさせられるかもだけどな」
「あいつら帰る度に長話をしようとするからウザいのよ!今回はアンタたちが相手をすることね!」
奈良先輩の発言の後に鬼野がそう言った。自分の家族の話というのになんとも冷たい物言いである。だが、俺も自分の家族と長話したいかと言われれば別にしたくないため、気持ちがわからんでもない。
「八月十日からは海の家でのバイト開始だ。悪いが朝から夕方までみっちり働いてもらう。バイトの終わりは八月十五日だが、八月十三日は店主とその奥さんが店に出れるらしいから、その日は島の中で自由に遊んでくれ」
「はい!全力で働いて、全力で遊びます!」
速川がテンション高く発現する。その表情からワクワクという効果音が聞こえてきた。
「帰りのフェリーは八月十七日の早朝だ。もともと八月十三日に店主たちが店に出れる予定ではなかったから、観光用の日として八月十六日を確保してたんだ。結果的に二日の遊ぶ日ができたな」
まとめるとスケジュールはこうだ。
八月九日、夕方に檻ヶ島へ到着。
八月十日から八月十二日、海の家でバイト。
八月十三日、自由行動。
八月十四日から八月十五日、海の家でバイト。
八月十六日、自由行動。
八月十七日、早朝に檻ヶ島を出港。
計九日間のうち、二日間は移動、五日間はバイト、二日間は遊びまくる、といった予定だ。
その後も奈良先輩が必要な物や持参していおいたほうが良い物などの話をして、その後はバイト内容や観光スポットなどの質問タイムとなる。
そうしているうちに安武がバドミントン部の手伝いをする時刻となり、打ち合わせは終了した。最初はどうなるかと思ったが、鬼野もたまに生意気な発言を挟んでくるだけで、暴力を振ってくるようなことはなかった。
安武は体育館へと向かい、奈良先輩は生徒会の仕事を片付けて帰ると言って去っていった。俺の今日の予定は帰ってダラダラと家で過ごすだけとなり、帰ろうとした俺に速川が声を掛けてきた。
「司君、ちょっと寄り道して帰ろうよ」
「あ?別に構わないが、どこか行きたい店でもあるのか?昼飯には少し早いし」
「んー、それは今から考える。それと、鬼野さんも一緒にどう?」
速川がそう告げた途端、俺と鬼野の両方が戸惑いの声を上げた。
「えっ」
「なっ」
流石の鬼野も戸惑いが表情に強く表れた状態で固まっている。棒立ちになっている彼女に速川が走り寄って、上目遣いで言葉を掛ける。
「どう、かな?」
控えめな口調での懇願は幼子からのお願い事のように可愛らしく、非常に断りづらい。
「べ、別に…いいけど」
思わずそう言ってしまったとでも言わんばかりの表情で鬼野は答えた。
「ほんと!?やったー!嬉しい!」
鬼野の返答に速川は満面の笑みとなり、ぴょんぴょんと跳ねることで喜びのを表現していた。こんな反応をされてしまったら撤回することはもうできまい。
美少女であり奇抜な髪色の二人が向かい合っていた。速川は平均より僅かに高い身長で、鬼野は身長が百七十六センチメートルの俺とそう変わらない背丈のため、向かい合う二人には頭一個分の身長差があった。
そして水色頭がこちらに顔を向けた。俺もその奇抜な髪色の女に視線を向ける。二人して嫌そうな顔で睨み合っていた。パステルカラーの緑髪の少女だけがルンルンとご機嫌のご様子だ。
そうして三人は一緒に廊下を歩き出す。赤色、水色、緑色の奇抜な髪色をした頭が三つ並んでいた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
俺は己の赤髪を棚に上げて、前を歩く二人の髪色に対して奇抜だなぁという感想を抱いていた。一人は見慣れたパステルグリーンだ。肩にギリギリかからないくらいの長さで、夏に入ってからよく一つ結びをしていたが今日は髪を下ろしている。
もう一人はアイスブルーの髪色であり、背中辺りまで髪を伸ばしている。一番の特徴はその髪色だが、その他にも後ろで一本の三つ編みにしているのが印象的だ。初めて会ったときもその髪型だったので、毎日自分で結っているのだろう。俺だったら面倒でとてもそんな髪型にはできない。
「鬼野さんは高校からこっちに来たの?それまでは檻ヶ島?」
「…そうよ。まあ、島には小学校しかないから、中学は船で本土に通ってたけど」
興味津々という雰囲気を漂わせた速川が質問する。それに対して鬼野はめんどくさそうに回答した。一応会話はできるんだな。
「え!?船なんて凄いね!私、船には人生で数えるほどしか乗ったことないよ」
「そんな羨ましそうにされるものではないわ!船の移動だけで片道一時間。船着場から学校まで三十分。不便で仕方がなかったわ!」
鬼野は強めの口調で答えるが、俺に対して喋るときみたいな敵意は感じられない。ハキハキと強い口調で話すのが彼女のデフォルトなのだと察する。
「そりゃ大変だね!司君だったら不登校になっちゃう」
「ならねえよ。速川には俺がどう見えてるんだ?」
速川は俺の名前を出すことで、会話に混ざる気のなかった俺を引っ張り出す。
「赤頭には無理よ!船酔いしそうな顔だし」
「おい、勝手な偏見で喋るな。こう見えても上手に吐けるからすぐに復活できるんだぞ!」
「船酔いすることは否定しないんだ…」
俺は失礼な物言いをする鬼野に反論するが、その姿を速川は呆れた眼差しで見ていた。解せぬ。
「でも中学までそんなに大変だったなら、今は快適なんじゃない?家はどのあたり?」
「すぐそこよ。学校から近い場所を選んだわ。五分も掛からないわね」
「え、そうなの!?じゃあ今ショッピングモールの方向に向かってるから、家から遠ざかってるよね?大丈夫だった?」
速川が申し訳なさそうな表情を浮かべながら確認を取る。
「構わないわ!私は忙しいけど、特別に付き合ってあげる!」
心なしか鬼野の頬が赤くなっている気がする。まさかこいつ、散々敵意を向けた発言をしておいて、お出掛けにウキウキしてるんじゃないだろうな。奈良先輩の発言からも鬼野に友人はいないようだし、この状況を内心では喜んでいるのかもしれない。
だとしたらそのことをイジリ倒して憎たらしい顔を赤面させてやりたいものだ。だがそんなことをすれば百パーセント速川から長ーいお説教を食らう羽目になるため、余計な口にはチャックした。俺も空気が読めるようになったものだ。
「ありがとう!私、鬼野さんとこうして遊びに行けて嬉しい!とりあえずショッピングモールに向かってるけど行きたいお店とかある?」
「おいおい、俺はまた女子共の買い物に付き合わされるのか?大体速川は先週に伊吹と散々買い物してたろ?」
「むー、いいの!バイトでお金を稼げる見込みもあるんだし、ちょっとくらいの買い足しはしてもいいでしょ」
先週、彼女は服もコスメも大量に買っていた。あとは絶妙にブサイクな顔をしたよくわからんウサギのキャラクターグッズも買っていた。これ以上何を買う物があるのか。
「俺が女子の買い物に付き合えるのはひと月に一回までだ」
「それならちょうど八月に入ったことだし、その一回を今日に使ってよ」
「そんなこと言いつつ、どうせまた伊吹と一緒に俺を連れ出そうとするだろ?荷物持ちさせようとするだろ?」
「別に荷物持ちさせたいから呼ぶわけじゃないよ。司君がいると楽しいからだよ。…もちろん荷物持ちもしてほしいけど」
「最後に本音が零れちゃってんじゃねえか。危うく喜んじまうところだったぜ」
俺と速川がそんなやり取りをしている間、鬼野は考えるような仕草をしていた。どこのお店に行こうか考えているのだろう。
すると何か思いついたように鬼野は口を開いた。俺は友人の買い物ならまだしも、鬼野の買い物に付き合う気分にはとてもなれない。行きたいお店の内容次第ではすぐに却下してやろう。
「うーん、そういえば使っている水着がもう古いわね。そろそろ新しいのを買おうかしら」
「よし、今すぐ行こう。せっかくリゾート地に行くんだ。水着を着ることもあるだろう。やはり新しく買った物をすぐに使えるというのはテンションが上がるからな。絶好のタイミングだろう」
鬼野の買い物に付き合ってやる気分になった俺はすぐに賛成の意見を述べた。
「つーかーさーくん」
そんな俺の反応に対して速川はゴミを見るような視線を向けた。なぜだ、俺は後輩の買い物に付き合う優しい先輩像そのものなのに。水着を選ぶ後輩の買い物に喜んで付き合うだけなのに。
「それもそうね。赤頭もたまには良いこと言うじゃない。善は急げよ。水着が売ってる店に直行するわよ!」
どうやら俺の下心に微塵も気付いていないらしい鬼野はそんな反応を示し、少しばかり歩くスピードを速めた。
「司君のえっち」
速川が拗ねたような顔でそんな言葉を吐いてきた。誠に心外である。俺は弁明しようとしたが、前を歩く鬼野に追いつこうと彼女は小走りに離れていった。
そう言えば俺も水着持ってないな。小学生まで使っていたカッコいいドラゴンがプリントされた水着ならあるのだが、流石にもう入りそうにない。あとは水泳の授業用の水着があるが、せっかくのビーチだし洒落たやつを購入するとしよう。
先程は冗談で女の子の水着姿が見たい変態のように振舞ったが、本来の目的は鬼野と親睦を深めることだ。そもそも紳士でジェントルマンの俺が女子の水着姿に欲情するわけもない。これはあくまで鬼野に気持ちよく買い物してもらい、さらに仲良くなることで暴力を振るわれない関係性になる。そんな狙いがあるのだ。したがって、俺は決してスタイル抜群の美少女二人の水着姿が見たいのではない。
大事なことなのでもう一度言おう。俺は断じて二人の魅力的な水着姿を見たいわけではないのだ。
俺は空を見上げた。水色の空に形の良い雲が浮かんでいた。その雲はビキニのような形をしていた。




