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異世界ダンジョンの最強清掃員~パッカー車で転生したおっさん、ゴミをプレスし国宝錬成!悪党は分別処理して極上温泉スローライフを満喫します~  作者: トール
第五章:特任監査役の現場研修と、究極の福利厚生(スーパー銭湯)

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第024話:「芝崎湯」のグランドオープンと、ご褒美の「福利厚生」

 


 1.『芝崎湯』グランドオープンと奇跡の効能


 数週間におよぶ突貫工事の末、ついにその日はやってきた。

 かつて「呪われた館」と忌み嫌われていた王都貴族街の一角は、今や見渡す限りの広大な敷地を誇る、世界最高峰のインフラ拠点へと変貌を遂げていた。

 その中央に鎮座するのは、ドワーフの親方たちが不眠不休(ただし完全週休二日・残業ゼロ)で叩き上げた、豪壮にして優雅な和風木造建築――マイホーム兼・巨大スーパー銭湯『芝崎湯』である。


「よし! 本日10時をもって、『芝崎湯』グランドオープンだ! 怪我なく定時まで、気合入れて回すぞ!」


「「「はいっ!! 現場監督殿!!」」」


 芝崎一郎の号令に、黄色いヘルメットを被った孤児たちが一斉に元気よく敬礼する。

 木製の立派な門が開かれた瞬間、外で何日も徹夜で並んでいた群衆たちが、怒涛の勢いで雪崩れ込んできた。


「おおおおっ!! 開いたぞ! 救世主様の『奇跡の湯』だ!!」

「頼む、白金貨ならいくらでも出す! 私の長年の呪い(リウマチ)を治してくれぇっ!」


 王都の貴族、高位の冒険者、そして諸外国からの使節団。誰もが血走った目で、入浴の順番を求めて殺到している。

 無理もない。この『芝崎湯』の大浴場は、ただの風呂ではないのだ。


 ドワーフの最高技術によって打ち直された「エルフの伝説級純度100%ミスリル」の巨大な浴槽。そこに注がれるのは、世界を救った報酬である「ダンジョンコアの純結晶(欠片)」をボイラーの動力源として沸かされた、究極の神聖エネルギーを帯びたお湯である。


 その効能は、完全に常軌を逸していた。


「あ、あああ……っ! 嘘だろ、ドラゴンにちぎり飛ばされた右腕が、お湯に浸かった瞬間に生えてきたぞ!?」

「ひぃぃっ! わ、私の顔のシワが全部消えて、二十歳の頃の肌に……!?」

「不治の呪毒が、ただ浸かっているだけで完全に浄化されていく……!」


 男湯からも女湯からも、奇跡を体験した者の絶叫と歓喜の涙が響き渡る。

 いかなる高位の治癒魔法でも治せなかった傷や呪いが、ミスリルの抗菌作用とダンジョンコアの無限の清浄魔力によって、ただ「ひとっ風呂浴びる」だけで完全に治癒してしまうのだ。

 医療と保養の概念を根底から覆すこのスーパー銭湯の存在は、瞬く間に大陸中の権力者たちを虜にし、王都の経済の中心地は完全にこの『芝崎湯』とその門前町へと移行していた。


 2.門前町の繁栄と、孤児たちの立派な働き


「はい、大人一名様、白金貨一枚になります! 貴重品はこちらのロッカーにお預けください!」


『芝崎湯』の広々とした番台フロントで、テキパキと客を捌いているのは、現場監督見習いの少年・レオをはじめとする孤児たちだった。

 少し前までブラック冒険者に奴隷として虐げられていた彼らは、今や清潔な『芝崎清掃の蒼いツナギ』を着こなし、王都で最も高給取りで、最も活き活きと働く「正規スタッフ」へと成長していた。


「おい、そこの貴族のオッサン! 脱衣所に入る時はちゃんと靴の泥を落としてからにしろ! 現場のルール(マナー)が守れねぇ奴は、出入り禁止だぞ!」


 レオが厳しく注意すると、他国の大貴族でさえ「ひぃっ! も、申し訳ございません!」とペコペコと頭を下げて靴の汚れを拭き取る。

 もはや、この敷地内において「絶対的な法」は王国の法律ではない。芝崎清掃の『お仕事ロジック(現場のルール)』こそがすべてを支配するアンタッチャブルな領域となっていた。


「一郎さまぁ! 今日の売り上げも凄まじいことになっておりますわ!」

 番台の奥の事務所で、豪奢な出納帳を抱えたセリアが、興奮冷めやらぬ様子で一郎の腕に抱き着いた。

「ダンジョンからの魔石の回収利益に加え、この『芝崎湯』の入浴料、そして門前町のテナント料……。我が事業所の資産は、すでに三つの国家の予算を束ねても追いつかないレベルに到達いたしました! これでわたくしたちの老後は、文字通り世界を支配する王と王妃ですわね!」

 ギルド副マスターとしての権限をフル活用し、独占的なインフラ網を構築したセリアの瞳には、打算と野望がギラギラと渦巻いている。


「一郎様! このスーパー銭湯の脱衣所には、一郎様を讃える巨大な黄金の神像を建立すべきです! 私が毎朝、聖水でピカピカに磨き上げますから!」

 純白の特級聖女の法衣を着たリリィも、もう片方の腕に抱き着いて強烈なアピールを放つ。


「あなたたち、監査役であるこのわたくしを差し置いて、何を勝手に決めておりますの! 利益の配分と神像の配置は、王家の血を引くわたくしが厳密に監査デザインして差し上げますわ! も、もちろん、一郎様の寝室のレイアウトはわたくしが一番に……っ!」

 すっかりツナギ姿が板についたポンコツ王女・エレノアまでが、顔を真っ赤にしながら背中に密着してくる。


 王都で最も権力を持つ、三人の極上美女。

 彼女たちは全員、最強のおっさん清掃員に本気で惚れ込み、正妻の座を狙って連日のように激しいキャットファイトを繰り広げているのだ。

 だが、一郎の精神構造(ブルーカラーの美学)は、莫大な富を得ようが、美女に迫られようが、一歩たりともブレることはない。


「おいおい、お前ら。仕事中に騒ぐな。神像なんか建てたら掃除が面倒になるだけだろ。それに、俺は世界征服なんて面倒なことをする気は一切ねぇよ」

 一郎は三人を軽く引き剥がすと、首に巻いたタオルで汗を拭い、腕時計を確認した。


「よし、今は17時ちょうどだ。レオ! 今日の営業はこれにて終了だ! 暖簾を下ろせ!」


「はいっ! 現場監督殿! 本日の業務、無事故で完了しました!」


 レオの元気な声と共に、『芝崎湯』の入り口に「本日は終了しました」の立て札が出される。

 どれほど外に大貴族の行列ができていようと、定時になれば容赦なくシャッターを下ろす。それが、芝崎清掃の絶対のルールである。


「おう、みんなもご苦労さん! 怪我なく定時で上がるぞ!」

 一郎が声を張り上げると、ドワーフたちや孤児たちから「お疲れ様でしたーっ!!」という明るい歓声が響き渡った。


 3.営業終了。念願のマイホーム風呂


 夜。

 従業員たちが豪華な母屋(宿舎)で夕食を楽しんでいる頃。

 静まり返った『芝崎湯』の大浴場に、チャプン、と心地よいお湯の音が響いた。


「ふぁぁぁぁぁ……っ。極楽だぜ……」


 広大なミスリル製の湯船のど真ん中で、一郎は手足を大の字に伸ばし、至福の吐息を漏らした。

 コアの欠片から湧き出る、神聖な魔力を帯びた完璧な温度のお湯。営業終了後であっても、ダンジョンコアの自浄作用によって常にお湯が「一番風呂」の鮮度を保っている。それが、三十歳に若返った屈強な筋肉の隅々にまで染み渡っていく。


「いやぁ、やっぱり自分の家のでっかい風呂は最高だ。他人の目も気にせず、足を伸ばしてゆっくり浸かる。これがやりたくて、今までダンジョンの泥水すすって頑張ってきたようなもんだからな」


 高級温泉宿『翠明閣』の露天風呂も良かったが、やはり「自分の城」で入る風呂の解放感には敵わない。

 一郎は湯船の縁に頭を預け、天井の立派な太い梁を見上げながら、これまでの怒涛の日々を振り返った。


 ルール違反のゴミの爆発で死に、ポンコツ女神にパッカー車ごと転生させられ、ダンジョンのゴミ溜めを掃除し、悪徳業者をプレスして、世界の危機を救った。

 結果として、莫大な富と権力、そしてこんなにも最高なマイホームを手に入れた。


「経費ゼロの利益率100%。完全なる非課税特権。そして、毎日定時で上がって、この風呂に浸かるスローライフ……。完璧だ。俺の人生、完全に上がりだな」


 一郎が、男としての最高の幸せと達成感を噛み締めながら、目を閉じた、その時だった。


『――ガラッ!!』


 脱衣所と大浴場を繋ぐ引き戸が、勢いよく開け放たれた。


「……ん?」


 一郎が薄目を開けて振り返ると、湯けむりの向こう側に、信じられない光景が広がっていた。


 4.極上の混浴キャットファイトと、定時退社スローライフの極み


「い、一郎様っ……! お仕事、お疲れ様でした……っ!」

「さあ、一郎さま。約束通り、朝までみっちりと、お背中をお流しいたしますわね……?」

「か、監査役として、お湯の温度と、あなたの体の隅々をチェックする権利がわたくしには……っ!」


 そこに立っていたのは、特級聖女リリィ、ギルド副マスターのセリア、そして第二王女エレノアの三人だった。

 だが、その格好が問題だった。


 彼女たちが身に纏っているのは、宿屋にあったような布地ではない。王宮お抱えの仕立て屋、あるいはギルドの特別ルートに特注で用意させたという、極限まで薄い、透け透けのシルクでできた「極薄の湯浴み着(ほぼタオル一枚の面積)」だったのだ。

 しかも、入る前からすでにお湯を浴びて濡らしているらしく、薄い布地が肌にピタリと張り付き、豊満な胸の先端や、滑らかな太もものライン、そして腰骨に食い込む危うい曲線までが、完全に透けて見えている。


 王都で最も権力と美貌を持つ三人の女たちが、顔を林檎のように真っ赤に上気させ、男の理性を限界まで試すような破廉恥な姿で、仁王立ちしていた。


「お、おいおい……お前ら、なんだその格好は」


 一郎が呆気にとられている間に、三人はザバザバとお湯をかき分け、猛烈な勢いで湯船の中央にいる一郎へと突撃してきた。


「「「一郎様さまのお背中……いえ、前の方も! 私がお流ししますっ!!」」」


「うおっ!?」


 ドサッ! ムニュッ!

 一郎の背中から、右腕から、そして左腕から。

 極上の柔らかさと、火照った女たちの素肌が、三十歳の男盛りの完璧な肉体に、これでもかと押し付けられた。


「ああっ、一郎様の逞しい大胸筋……! 私、もう我慢できませんっ!」

 リリィが、純情を完全に投げ捨てたような熱い吐息を漏らしながら、一郎の正面に抱き着く。お湯の中で、彼女の滑らかな素肌と一郎の腹筋が直接擦れ合う。


「ズルいですわリリィさん! 一郎さまの広いお背中は、わたくしのモノです!」

 セリアが背後から、自らの豊満な双丘をこれ見よがしに押し付け、一郎の首筋にねっとりとキスを落とす。


「あ、あなたたち、はしたないですわよ! わ、わたくしは、監査のために、この逞しい太ももを……ひゃんっ!?」

 エレノアが横から潜り込もうとして足を滑らせ、一郎の足に自分の豊かな胸元を思い切り密着させてしまい、本気で色っぽい悲鳴を上げる。


「お、おいっ! お前ら、狭いぞ! 暴れるな! 溺れるだろうが!」


 湯船の中で、三人の極上美女による「背中流し権(正妻の座)」を巡る、激しく、そして恐ろしいほどエロティックな混浴キャットファイトが勃発した。

 お湯がバシャバシャと跳ねるたびに、透けきった湯浴み着から危うい部分がこぼれそうになり、石鹸の香りと甘い女のフェロモンが、密室の大浴場にむせ返るように充満していく。


 最強のブルーカラーである一郎の理性ブレーキが、かつてないほどの激しいノイズ(誘惑)を上げて軋み始めた。


「(おいおい……いくらなんでも、オッサンにはこのご褒美は刺激が強すぎるぜ……っ!)」


 右を見れば特級聖女の潤んだ瞳。左を見れば王女の透けきった素肌。背中には打算に満ちた副マスターの極上の感触。

 王都の頂点に君臨する女たちが、ただ一人の「おっさん清掃員」にすべてを捧げようと、本気で群がってきているのだ。


「一郎様ぁ……っ、私のこと、好きにしてください……っ!」

「さあ、一郎さま。今夜は定時退社じゃありませんわよ。徹底的に『夜の残業』をしていただきますからね……!」

「わ、わたくしも、監査役として、徹底的に暴かれますわぁ……っ!」


「馬鹿野郎! 風呂場じゃ走るな! 足が滑って転倒(労災)するだろ!」


 悲鳴にも似た一郎の安全指導(説教)は、発情しきったヒロインたちの熱気と、お湯の音に完全にかき消されていく。


(……まあ、たまには、こういう『福利厚生』も悪くねぇか)


 困惑しつつも、一郎の口元には、男としてのどうしようもない笑みがこぼれていた。

 ルール違反のゴミと戦い、現場の安全を守り抜いてきた男に与えられた、神様からの最大級のボーナス。


 白銀のパッカー車は車庫で静かに眠り、明日の業務に向けて魔力を充電している。

 そして、この世界で最も規格外の力と富を手に入れた最強のおっさん清掃員は、こうして利益率100%のビジネスの成功と、男としての最高の幸せ(スローライフ)を、たっぷりと、熱く噛み締めるのであった。


(第五章・完)


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