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規格外の『4倍バフ』で美少女と無双する。~褐色エルフと追放ざまぁ~  作者: 麗麗(レイレイ)


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7話。2614字。母のピンチ、スキル応用、金髪ピンチヒッター?

☆☆☆


走って走って走る。


転生して7年。7才の足じゃ大した速度は出ない。

俺の【素早さ】は平均やや上程度。


自分はスキルの対象にできない。

だから必死に走るしかない。


無事を願いひた走る。


「居た…………でもあれは?」


そして、西口へたどり着いた先に母親は居た。

ひときわ目立つ場所で戦っている真っ只中。


剣を片手に持ち、鎧は全身傷だらけ。


なのに。

ゴブリンの群れは、村を襲うこともせず距離をとって止まっている。


恐れるように、母親を見ていた。

息を殺すように、一匹のゴブリンを見ていた。


そこでは母親と一匹のゴブリンが戦っていた。

やたらと包丁の上手い母親が、身長2メートルはある筋骨隆々のゴブリンと戦っている。


マッチョなゴブリンが咆哮すると、母親の体が一瞬硬直する。

すかさずマチョゴブが大きく大きく振りかぶって、こん棒を一振り。


身をひるがえしマチョゴブの攻撃を大げさに避けると、さっき村で聞いた轟音の正体があらわになった。


ゴウン、と空気を強引に押し出す音とともに土をえぐり飛ばし母親の顔へ投げつける。


「なんでこんな田舎にゴブリンロードがいるのよ!?」


避けるとき予めとった距離を使ってギリギリで避けると、母親が身をひねりマチョゴブロードに剣を差し込む。


赤い血が舞う。

剣はゴブリンの腹部に深々と刺さっていた。


後は上に切上げて心臓を潰せば勝てる、と西口でバフのタイミングを掴み損ねていた俺はホッと息を吐く。

しかし、母親は剣を振り上げはしなかった。


「冗談でしょう馬鹿じゃないの!?」


出来なかったのだ。


マチョゴブロードが腹筋の力だけで剣を腹部に留めた。


「もう魔力も無いのに…………!」


結果、母親は致命的なスキをさらしてしまう。


「グギャハァァ!」


今から後退しても遅い。空間ごと、こん棒の一振りで抉られてしまう。

剣は動かない。


「もう駄目ね」


母親一人の力では剣は動かせない。

でも俺がバフをかければ…………。


「さよならリクト、あなた」


俺がバフをかければどうにかなると思うんだけどなァ!!

母親は既に諦めて俺と父親に言葉を残す心算だった。


母親からは魔力を感じられず、武器もなく敵の目の前。

俺はバフをかけるしか出来ない。


今母親にバフをかけても間に合わない。


マチョゴブロードがこん棒を強く握りしめ、大きく────


だから、これは賭けだった。

心で叫ぶ。


『レート4倍みたいなバフで最強目指しちゃう的なスキル』!!!


マチョゴブロードは、こん棒を大きく────大きく大きく大きく大きく大きく振りかぶり、バランスを崩して引っくり返った。


「え?」


突然の間抜け姿に母親が声をもらした。


賭けに────勝った!

こん棒が振りあがる瞬間、俺は咄嗟にマチョゴブロードにバフをかけたのだ。


いきなり【攻撃力】だけを上げ、途中でスキル解除。

重い物を振り上げたはずが急に綿菓子の様に軽くなれば誰だってケガをする。

その勢いのままこん棒は後ろへと飛んで行き、マチョゴブロードは転んだ。


「誰か分からないけど、ありがとう!」


その致命的なスキをA級冒険者の剣士は、母親は見逃さない。


────『レート4倍みたいなバフで最強目指しちゃう的なスキル』!

対象は母親、かけるバフは【最大魔力量】と【防御力】!


「なかなか上等!」


母親は倒れたマチョゴブロードの腹部の剣を手に取ると、剣に魔力を注いで強引に心臓へと振りぬいた。


体を左右に分けられ動かなくなったマチョゴブロードはチリへと変わる。


「えっぐいなぁ」

「何やってるのリクト!?」


あ。ばれた。

しかし、長居は不要。問答も無用。説教は御免である。


────『レート4倍みたいなバフで最強目指しちゃう的なスキル』!

対象は同じく母親。バフは追加で【攻撃力】と【器用さ】を付与!


問答無用で母親にバフをかけて、背を向ける。

逃げるが勝ちよ。


「授かったスキルがバフだった! 俺は後方に下がる!!」


俺が死ねば母親へのバフも消えてしまうだろうし。

【素早さ】のステータスだけ付与しなかったのはその為だ。


それだけ告げて帰ろうとした瞬間。


背後から声がかかった。

綺麗な声だった。


「いいや。その必要はないよ」


…………ありえないだろ!?

たった今振り返った俺の背後からの声に振り向くと、そこには中性的な金髪のイケメンが居た。


絶対の自信を持った声で、安心感を振りまきその男は言う。


「東、南、北にいるゴブリンの群れは既に僕の仲間が対応している。そして君より後ろにゴブリンが足を踏み入れることは絶対にない」


きっと事実なのだろう。


彼が目で追えない速度で剣を振るうと、剣先から斬撃が飛翔する。

ほんの一瞬で10の斬撃が生み出され、それだけで視界のゴブリンのほとんどがチリになった。


「あなたは?」


彼は言った。

憧れはこう言った。


「僕かい? 僕はただの冒険者だよ」


誰かを助けるその背中を見た時、俺の夢は決まった。


後に聞いた話だと彼はS級の冒険者らしい。

同じ場所を目指すと決めてから、俺は両親に頼み込み厳しい修行に明け暮れた。


そう、父親は生きてた。


後で父親に聞いた話だと、単純に距離を取ったらバフが解除されただけ、だそう。

考えすぎだったらしい。要研究だ。


さらに後に父親に聞いた話だと、その時に右腕を失くしたそうだ。


流石に見りゃ分かる。


…………強くなろう。


☆☆☆


それから、長い修行で強くなった俺は村を出てギルドに向かった。

最初はc級だったが、ザザ達と出会いパーティーを組んでからは早かった。


期待の新星と呼ばれ、二年でS級へと駆け上がる。

そしてついに、s級冒険者パーティーのバフ使いになった!


「どうしてこうなった」


そして追放。


「本当にどうしてこうなった?」


そして今、迷子になっていた。

慣れ親しんだ森は夜になって姿を変えたのか。


なんか妨害魔法とかで道に迷ってるだけって事にならないかな。


「想定より暗い。月が雲に隠れてきたか?」


パーティーもクビにされて、これからどうしたものか。


個人で戦う。あるいは、新しくパーティーを組む。

そもそも個人の戦闘能力に不足があるからこんな事態になっている訳で…………。


「はぁ」


木陰から奇襲してきたゴブリンの一撃を避け、返す刀で首を切り飛ばして、ため息を吐く。


「お先真っ暗──」


足りていない。


俺ほど基礎ステータスが大事な奴も珍しいし、努力を欠かしたことはなかった。

それでも足りない。

努力の方向性が間違っているのか、これが上限なのか。


「──俺は路頭に迷っているらしい」


これも人生の妨害魔法で迷ってるだけって事にならないかなぁ。



ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


完結保証。

18時10分に毎日投稿していきます。


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